第14話
(ハナが走った後も、まだまだレースは続いている)
みきお
「ねぇハナ、ほかの馬達もすごく速いね・・・がんばってるね、
ハナよりも速い馬いるかな・・・ハナ3位までに入れるかな・・・」
(ハナは結果などどうでもいい様子で水を飲んでいるが、みきおはやはり結果が気になる)
父さん
『おい みきお、ハナの様子はどうだ?大丈夫か?』
みきお
「うん、今は落ち着いているよ それより父さん、ハナ・・・3位までに入れそう?」
父さん
『レースはあと二組残っているけど、今のところハナのタイムが一番だぞ!
3位以内・・・いや、優勝もあるかもしれないぞ!』
みきお
「え?ほんと?! やったー!!ハナやったーー!!」
父さん
『おいおい、まだ決まったわけじゃないし残り二組は予選の
タイムがよかった馬達が走るんだから最後までわからないぞ!』
みきお
「うん、でもハナが頑張って速く走ったことには変わりはないもん!」
父さん
『そうだな、デビュー戦にしてはハナはよく頑張ったとおもうよ』
みきお
「ハナ~やっぱりハナは速いんだね!えらいね~すごいね~・・・」
(みきおはハナと一緒に走っていた頃を思い出しながら喜んでいた)
父さん
『最後の一組が走り終わったら結果発表があるから、それまで
父さんは本部席の方にいるからな、みきおはここに居るんだぞ』
みきお
「うん、ボクはハナと一緒に居るね」
(嬉しくなったみきおはハナにたくさん話しかけていた)
みきお
「ハナ、覚えてる?ハナが生まれた時ボクがこうやってハナの身体を拭いてあげてたんだよ!
そしたらハナが急に立ち上がりだしてボクに寄り添ってきたんだよ、嬉しかったな・・・
ハナのお母さんはハナを産んですぐに死んでしまったけど、でもハナを産んだとき
とても嬉しそうな顔をしていたんだよ、ハナはみんなに愛されて生まれてきたんだよ。
ハナはすぐにボクより足が速くなってしまったけど、それでもいつもボクと一緒に
楽しそうに走ってくれていたよね、ハナのそのとても優しいところがボクは大好きなんだ!
ボクもハナみたいにもっともっと強く優しくなれたらいいな・・・・」
(そして最終組のレースが終わり、あとは結果発表を待つのみとなった)
父さん
『おい、みきお そろそろ結果発表だぞ!』
みきお
「・・・うん」
(みきおは緊張した表情に変わり、ハナに寄り添った)
父さん
『5位からの発表だから、名前を呼ばれるのが遅ければ遅い方が順位はいいからな』
みきお
「うん、わかってる・・・」
(そして会場アナウンスが始まった)
アナウンス
『只今より、第8回馬場レースの結果を発表いたします!
呼ばれた馬と馬主は本部前へお越し下さい!それでは第5位から発表いたします!』
アナウンス
『第5位は・・・コウタロウ!』
(会場からたくさんの拍手が送られている)
アナウンス
『第4位は・・・コジロウ!』
(会場からはひときは大きな拍手が送られた)
みきお
「父さん、大丈夫かな?ハナ呼ばれるかな?」
父さん
『3位以上は賞金が出るからな!いつ呼ばれてもいいぞ!』
アナウンス
『そして第3位は・・・・ユキコ!』
(会場からは歓声と大きな拍手が沸き起こった)
アナウンス
『そして第2位は・・・・・マサムネ!』
(大歓声と拍手で会場は大盛り上がり)
みきお
「父さん、どうしよう・・・ハナが呼ばれないよ・・・」
父さん
『おかしいなぁ・・・ダメだったかなぁ・・・』
アナウンス
『そして第8回馬場レースの優勝馬は・・・・ ハナ!!』
(会場は割れんばかりの大歓声に包まれた)
みきお
「え?ええ?父さん、今ハナの名前呼ばれなかった??」
父さん
『ああ、呼ばれたよ!みきお!ハナが優勝したんだよ!!』
みきお
「え?ええ?ハナが優勝したの?? ハナが優勝したの??」
(みきおは何度も何度も父さんに聞きなおした)
父さん
『そうだよ!今年の優勝はハナだよ!!』
みきお
「・・・ハナ・・・・ハナ・・・・・やったね・・・よくがんばったね・・・・」
(みきおはハナにしがみつき大粒の涙を流した)
父さん
『ほら!みきお!泣いてないでお前も来い!優勝馬を会場の皆に見せてやるんだ!一緒に来い!』
みきお
「うん!よし!ハナ一緒に行くよ!」
(ハナを連れて父さんとみきおは本部へ向った、
本部へ向う間も会場からは歓声と拍手がハナへ送られた)
みきお
「父さん、ボク気持ちいい!こんな気持ち初めてだよ!」
父さん
『そうだな、父さんもなんだかすごく気持ちがいいよ!』
(ハナは表彰され、優勝のトロフィーと賞金をもらった)
アナウンス
『優勝馬ハナの記念撮影を致しますので撮影台へお越し下さい』
(記念撮影用の台にハナを立たせ、父さんとみきおは横に立った)
父さん
『おい みきお!お前ハナの背中に乗れ!』
みきお
「え?いいよ、恥ずかしいから・・・」
父さん
『せっかくの記念なんだからハナの背中に乗れって!』
(そう言うと父さんはみきおを持ち上げハナの背中に乗せた)
みきお
「ハナ・・・ほんとうによくがんばったね」
(みきおはハナの首を優しく撫でたあと、記念撮影用に背筋を伸ばした)
父さん
『みきお、いい思い出が出来たな』
みきお
「うん、ハナのおかげでボクすごくいい思い出が出来たよ!
ハナ・・・ほんとに、ほんとにありがとう!!」
(記念撮影も終わり、父さんとハナは帰り支度を始めた)
みきお
「ボク、母さんの病院へ行ってくる!」
父さん
『え?お前今朝行ってきたんじゃないのか?!』
みきお
「そうだけど、母さんにハナの優勝をすぐに教えてあげたいから!
ボク今から走って病院に行ってくる!!」
父さん
『・・・そうだな、みきおが母さんに教えてあげた方が母さんも喜ぶだろうな、
父さんもハナを戻したら病院へ向うから帰りは一緒に帰ってこような』
みきお
「うん、わかった!じゃあ行ってきまーす!!」
(みきおは母さんの病院へ向って再び走り出した)