第12話
(みきおは朝早く起きてチビを散歩へ連れて行った)
みきお
「なぁチビ、父さん最近お酒ばっかり飲んで、おかしいと思わない?
前まではそんなこと無かったのに、急にどうしちゃったんだろう・・・」
チビ
『ワン! ワン! ワン!』
みきお
「ごめん、ごめん、チビにこんな話してもわからないか・・・
よーし、今日も山まで競争だ!! よーーーい、ドン!!」
チビ
『ワン!ワン!』
(みきおとチビは山まで走り、その後散歩から帰ってきた)
みきお
「あれ?父さん、もう行くの?」
父さん
『ああ、ハナのデビュー戦だからな、こいつも緊張してるだろうから少し早めに会場に入るつもりだ』
みきお
「そういえば、かずお兄さんとは逢ったの?」
父さん
『ああ、朝母さんのことは聞いたよ・・・みんな大変だったな、
父さんも今日馬場レースが終わったら病院へいくつもりだよ』
(昨日の父さんとは違い、いつもの父さんに戻っているみたいだった)
みきお
「・・・そう」
父さん
『ハナのデビュー戦、もちろんみきおも応援に来るだろ?!』
みきお
「うん・・・でもボク母さんが心配だから・・・」
父さん
『そうか・・・ハナもみきおが応援してくれたら頑張れると思うんだけどな~』
みきお
「ボク、ハナにがんばれっ!って言ってくる! いいでしょ!」
父さん
『ああ、激励してやってくれ!ハナも喜ぶと思うよ』
(みきおはハナの居る馬舎へ向った)
みきお
「ハナ、頑張るんだぞ! ハナならゼッタイ頑張れるよ!
父さんにムチで叩かれないように、思いっきり頑張るんだよ!
ボクは応援に行ってあげられないけど・・・ハナ、思いっきり走れ!」
『フィフィーーーーーーン!』
(ハナはみきおの目を見ながら、顔を上げ大きな声で鳴いた!)
みきお
「レースが終わったら、たくさんニンジンあげるからな!がんばれよ」
(みきおはハナのたてがみをゆっくり撫でながらエールをおくった)
父さん
『よし、ハナ行くぞ』
(父さんはハナを馬舎から連れ出した)
みきお
「父さん・・・ハナをあんまりムチで叩かないでね」
父さん
『ハナが頑張ればムチで叩いたりなんかしないよ』
みきお
「ハナ、頑張るんだよ・・・」
(ハナと父さんは馬場レース会場へ向った、そしてみきおは
朝食後、よしお兄さんと母さんの病院へトラックで向った)
(母さんのいる病院へ着いたみきお)
みきお
「かずえ姉さん、母さんはどう?母さん大丈夫だった?」
かずえ姉さん
『今朝は熱も下がって、朝ごはんも少し食べてたからだいぶよくなったとは思うわよ』
みきお
「母さんは?起きてる?部屋に居るの?」
かずえ姉さん
『今、先生に様子を診てもらってるところよ』
みきお
「そっか・・・じゃあ部屋で待ってるしかないね」
(病室でしばらく待っていると母さんが診察から戻ってきた)
みきお
「母さん!大丈夫? どう?まだ顔痛む? いつ退院できるの?」
かずえ姉さん
『コラ、みきお そんなに質問攻めにしたら母さん困っちゃうでしょ』
みきお
「ごめん・・・」
母さん
『いいのよ、みきお心配かけてごめんね 母さんは大丈夫よ
でもまだ少し熱があるからもう一日だけ入院が必要みたいなの
明日になったら退院出来ると思うから、もう少しだけ我慢してね』
みきお
「・・・うん、でも明日ほんとに退院できるの?」
かずえ姉さん
『コラ、みきおいい加減にしなさい』
母さん
『うん、安心して明日母さんは退院してお家に帰るから』
みきお
「母さん約束だよ、ぜったい明日帰ってきてね!」
母さん
『ええ、約束よ』
かずえ姉さん
『母さん、みきおとそんな約束して大丈夫なの?』
母さん
『大丈夫よ、あなた達にもずいぶん迷惑かけちゃったわね・・・みんなごめんね』
かずお兄さん
『いいんだよ母さん、とにかくゆっくり休んで元気になっておくれよ』
母さん
『みんな優しい子ばかりで母さんはほんとに嬉しいよ』
みきお
「母さんが居ないから、としお兄さんが昨日夜ご飯作ったんだよ~」
母さん
『え?としおが?? あの子料理なんか出来たかしら・・・』
みきお
「うん、ゆで卵が上手に出来たって昨日自分で喜んでたよ」
母さん
『あはは、あの子らしいわね~そんなことより、みきお!
今日は馬場レースの日じゃない!ハナのデビュー戦の応援に行かなくていいの?!』
みきお
「でも・・・母さんが心配だったから」
母さん
『母さんならもう大丈夫よ、みんなの顔みて笑ったらなんだかすごく元気が出てきたわ!
今ならまだ間に合うはずよみきお!ハナはみきおが初めて世話した大切な馬でしょ!
今日のレースはみきおが応援してあげないでどうするのよ!』
みきお
「・・・うん、ボク ハナの応援に行ってくる!」
かずお兄さん
『おい、待てよ もう少ししたらトラックで送ってやるから』
みきお
「そんなの待てないよ!走って行った方が早いもん!」
(みきおは走って馬場レース場へ向った)