表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
reunite  作者: 季樹
1/7

第1話

将来を誓い合った二人がいた

二人は小さな頃からいつも一緒にいた

互いに相手を思いやり、誰もが羨むような、そんな二人だった


だが、それも束の間のこと

やがてそのすべてが壊されてしまったのだった―――――




不意に誰かに呼ばれたような気がして、燕は立ち止まった。

「ん?どうかした?」

急に立ち止まった燕を、詩音は不思議そうに顔を覗き込んだ。

「ううん、なんでもない。なんか、誰かに呼ばれたような気がして……。」

振り返り、あたりを見回してみるが、誰もそんなしぐさをしているような人物はいなかった。

「気のせいでしょ。」

「だよね。」

大したことでもないだろうと、二人は他愛のない会話をしながら歩いていく。

その様子を遠くから見つめている男の視線に、その時二人は気がつくことなどなかった。



「……やっと見つけた。」



数日後、燕は一人昼食をとっていた。

お昼時ということで、店内はやや混雑し始めている。燕は2人がけのテーブルに座り、ぼんやりと外を眺めていたのだった。

「ここ、よろしいですか?」

一人の男が手にトレーを持ちながら微笑んで立っている。

「え?……ああ、どうぞ。」

つられて笑顔になりながら、燕はテーブルの上の場所を空ける。男は「すみません」と席に着いた。

「ここはいつもこんな感じなんですか?」

「え?」

「いつも、こんな風に混むんですか?今日、初めて来たので……」

「ああ、まあ、お昼はだいたいこんな感じですよ。」

男の唐突な質問に戸惑いながらも答える燕。納得したように頷くと、男はパスタを食べ始めた。


「僕のこと、覚えてませんか?」

そろそろ店をでようかと立ち上がった燕に、男は再び声をかけた。

「いえ……あの、すみません、どこかでお会いしましたっけ?」

首を傾げ、燕は記憶を辿るが、全く覚えがなかった。

「そう……やっぱり覚えてないんだ……」

男の顔に影が差したかと思えば、今度は薄く笑ったように見えた。

「……?」

「いえ、突然すみません。急にこんなこと言われても困りますよね。」

一転、警戒心を失わせるような表情で、男は再び微笑みかけた。

何がなんだかわからない燕は、ただただ唖然とするだけだった。

「あの……」

「それじゃあ、またどこかでお会いした時は、その時はもっとゆっくりお話できることを期待してますからね。」

一方的な男は、未だ動けない燕をよそにさっさと店を出て行った。

「なんなの?あの人?」

あれだけ印象に残るような人物をそうそう忘れるわけがないが、以前に会った記憶など燕には一切無かった。それでも、不思議と初めて会ったような感覚が燕にはなかったのは、男の声がどこか聞き覚えのあるような、そんな声だったからだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ