08 ひとさじの砂糖
<08 ひとさじの砂糖>
「あの、会長・・・。」
「なにかしら?」
「その携帯の画面なのですが」
「見られてしまいましたのね。いけないわ」
「・・・・先ほどの蘭さんの・・・写真ですよね。僕が撮った・・」
「はい。ありがたく使わせていただきます。」
あれです。あの最後の大きな・・・ナニの画像です。
ええ、しっかりシメられた元凶の・・・。
「なぜ!そんなの持っているのですかー!!!」
「デジタルカメラのデータを私の携帯へ送ったのです。普通はそのようにして手にいれるかと思いますが」
「そ、そうです。・・・ですが、カメラからどうやったらデータを飛ばせるんですかー!!」
「ああ、そのことでしたら簡単です。あそこの親切な方のPCへ一度コピーしてから私の携帯へつなげただけですわ」
「親切な方って・・・・・・、あの眠っているサラリーマンの手にあるパソですか!?」
「安心して、もちろん形跡はすべて消してますので」
・・・・・なんていいますか・・・・、むちゃくちゃです。
・・・で、でも、なんでわざわざ携帯にいれるのでしょう?
「ああ、これ着信の画面で設定しましたの」
「わ、がああぁー!!!、そんな、そんなことしたら蘭さんに殺されますー!!」
「大丈夫よ。蘭には絶対見られることないもの」
「なにいってるんですか!会長と蘭せんぱいって、とおぉおおっても親しい仲でしょう!」
「嬉しいわ」
「でなくて!だから見られる危険が渦巻いてます!!」
会長、ふふっと目が笑いました。
「蘭からの着信に設定した画像なの」
「・・・・へ?」
「説明しますと、蘭が私に電話しますね」
「・・・はい」
「で、私は蘭の大きな・・、いえ、可愛らしいお尻・・ではなく、後ろ姿を見て電話に出ます」
「・・・なんか変な組み合わせですが・・・、そうですね」
「では、その時、蘭はどこにいるのかしら?」
「・・・・・あっ!」
「ふふふ、おわかりね。で、絶対に見ることが出来ないのです」
そのネタの怪しさ・・は別にして、ほんとうに関心してしまいました。
目の前に居る人にわざわざ電話しませんから。
「あら、うっかり忘れるところでした。」
「何でしょうか?」
「その蘭から先ほど電話があったの。ああ、だから横にいたあなたに見られたのですわね」
ああ、さっそく活用されたのですね。そのお尻画像。
「目標を捕捉したみたい」
「・・・目標?」
「お〜また〜!!。連れてきたよ〜〜!!」
あ、その蘭さんが来ました。
後になにやら黒い服を着た女性が二人います・・・・が・・・・
あれ?春夏姉妹??
「「ハルナツシマイ・・・」」
「あ、ではなく!「はるなっと」のお二人です!」
「「・・・キサマ、ヨイドキョウダナ」」
「え?」
「ボルト・ナット・ヨバワリトハナ」
「・・・・はるなっつのお二人でぇす」
「イマサラオソイデス」
「ソシテ、ヨセキノシカイカ?」
「・・・・・誤りますので、普通に話してください」
「デキヌ」
「ナゼナラ」
「「ワタシタチハ、シッコクノマドウシ。ゲセンノモノドモ、トハ、チガウノダ」」
・・・・、はい、下賎ね、僕は下賤。・・・・下船したい。
「無事にお話ついたみたいですのでお食事にしましょう」
「いよ〜!!!待ってました〜!!!」
「「お待ちしてました〜〜!!」」
・・・下賤に落ちるの早いなあ〜?漆黒の魔道士さん。
会長は持っていた大きなカバンからいろいろと出し始めました。
そういえば、今日はまた不思議な服装です。黒くてスカートは長くて、少し膨らんでます。
あ、帽子もかぶってますし、雨でもないのに傘持ってるし。
で、この大きなカバンはまたアンティークな・・・。
「・・・・会長、今日はまた何か?」
「ふふ、メアリーって呼んでね。メリーだと羊みたいだから」
「読みましたか・・・。メリーポピンズ」
「いいえ、見ましたの。ベータよ」
・・・ベータ・・・ってビデオか?
・・・・会長、昭和の人か?
目の前に広がるのは色とりどりのランチ!
これ、会長が作ったのでしょうか?
でも充分に考えられます。だって、パフェの事実も見せつけられましたし。
「まて」
「「「は、は、は・・」」」
「よし」
「「「いっただっきま〜!!」」」
「お〜!美味しい〜!!美味しいよ〜〜!!」
「あら、うれしいわ」
「ほんと腹へったらなんでも・・・」
バキッ!
「あら、傘が開いてしまったわ」
「・・・言葉を出す前に考えます。」
「それは良い心がけだわ」
あ〜・・・、蘭さんの顔にサンドイッチが張り付いてますが・・・、気にしないことにしましょう。
それにしても、ほんとうに美味しいです!気持ちの良い天気で、新緑が爽やかな木々と芝生です。
電車の撮影中止でも、まったくもって文句ありません!
「ところで、春香ちゃん、夏美ちゃん。お話があったのでは?」
「あ、はい!」
「瑞樹さんにお願いしてたことがあったのです」
お願いって・・?この前の渡り廊下でのアレ?でしょうか・・・。
突如思い出しました!なんだかとても緊張してきました・・(興奮?)
「「私たちの・・、恥ずかしい姿、撮ってほしいのです」」
「まあ、大胆なお二人だこと」
「お〜!!脱ぐか!?脱ぐのか!!!」
蘭さんが乱さんになった。オヤジか!?
「じゃあ、私も脱ぐ〜〜!!」
え、え!、えええ!!!
ここで、そんな。。。!!、ああ、手をかけた!ええ〜〜!!一気に下ろした〜〜!!!!
・・・・・
あ〜・・・、さっきの競技場での姿に戻ったんですね。
そーでした。そのまま着てました。
「興奮したか?どうだ!」
勝ち誇らないでください。
「いいぞ!おかずにしても。一回500円だ!」
「なにが一回なんですか!そしてそのお金は使用料ですか!!」
「2回だとなんと800円!お得だぞ〜!」
「。。。は〜・・・。蘭さんって、その方面のネタはセクハラとか言って怒ったと記憶してますが・・」
「お〜!そうだったな!心境変わった。瑞樹ちゃんなら許すぞ!」
「・・・・・小銭稼ぎでしょうか?」
「3回だと1,000円!これはもう大サービスです!今すぐお支払いを!!」
・・・・・
「で、なんの撮影だって?」
あ、戻るんですね。ええ、もう興奮しません、恥ずかしいとか聞いても。
「「この姿よ」」
「・・・ああ、コスで」
なんとなく安心しました。
「あまり知らない人にはお願いできなくて・・」
「瑞樹さんなら安心ですし」
無害確定ですか。嬉しいような寂しいような・・・。
「あら、では私もお願いできます?」
もちろんです!
「なら、わたしも〜!!」
あなたは先ほどカッコいいの撮りました!
「え〜・・、ずる〜い!だってあれ隠し撮りじゃん!」
「違います!。誤解されるようなこと言わないでください〜。」
で、美味しいご飯の後で、皆さんの撮影会になりました。
回りでもそれぞれコスの撮影されている方が大勢いますので、自然と緊張もせずに。
それにしても、すごくキワドイ方も居ますが・・・なんかエロさとカッコ良さで不思議な感じです。
う〜ん、初めてですが、コスって芸術かも。
「あ〜!!楽しかった〜!!」
「ほんとに。私も初めてですが良かったわ。クセになりそうですわ」
「「瑞樹さん、ありがとう」」
「いえ、僕も電車とかと違い、撮影が新鮮で楽しかったです!」
「でもさ〜、リンと春夏の3人ならぶと、なんかスゴイ迫力ね!黒いし」
確かに!春夏姉妹は4回ほど服チェンジしてましたが、今は元の魔道士?に
戻ってます。真ん中に会長で左右が春夏。
基本、顔も似ている作りなのでなおさらです。
「かいちょ〜、またひとつクリアーだね!」
「ふふ」
蘭さんの言葉で楽しそうな会長です。
「そろそろ帰りましょう。ここからだと少し遠いから」
「そうですね。蘭さんも疲れたでしょうし」
「あ〜、でも充実感〜!今日はすっごく濃い日になった〜!」
「「わたしもです!」」
みんなでお片づけです!
「あら?私、携帯どこに置いたかしら?」
「では僕が電話して鳴らしましょうか?」
「お願いできます?」
「あ〜、わたし今持ってるからかけるね〜!」
・・・・・
ダン・ダン・ダン・ダダダ・ダン・ダン・ダン・ダダダ・・・
なんだこれ?七人の侍?・・・・
なんちゅう呼び出し音を・・・・
あれ?なんかひっかかりますが・・・・
「あ〜!あったよ〜!。これだよね〜!」
パカッ
「・・・おうっ!・・・、あの画面は・・・。皆で見いっている・・・」
「・・・・・リン、これ、リンの携帯だよね」
「あら、そのようですわ」
「この着信の名前ってアタシで間違いない・・よね」
「あら、そのようですわ」
「「まあ、大きな・・・・」」
ああ〜、春夏〜〜〜!!言うな、それ以上言うな!!!!
「みぃ〜、ずぅ〜、きぃ〜、ちゃぁ〜ん」
「・・・・はひ!」
・・・・・以下略。
「では、目の前でカメラから消してもらおうか」
「はい!!・・・・、あれ?・・・・??」
「まだ何か言いたいことでも?」
「いえ!いえ!!・・・・、画像がないんです・・・」
「消して有るの?」
「いえ、まだ僕は整理してませんでしたので・・。それよりも、さっきの競技会のが・・、
全部無いんです。」
「・・・え?、私の走っているアレ!?」
「・・・・・・・はい・・・」
「ええ〜〜〜〜!!、なんで!!、上書きしちゃったの!?」
「いえ、そんなことしてないはず・・なのですが・・・」
どうして?間違ったのか?・・・・
混乱中の自分です。
「あのね、私がさっき全部消しておいたの」
「。。。。、えええ〜〜〜!!!」
「会長!!!なんで!」
「だって、蘭が消してと言ったでしょ」
「そりゃ言ったけど!それはあの、お尻・・じゃなく、最後のあの画像を!と」
「ごめんんさいね」
「ああ〜〜、せっかく気に入ってたのに〜・・・」
「でもね、ここにデータコピーしたメディアが有るわ」
「。。。。。会長〜!!!!」
いったいいつの間に!!
「ほら、先ほどの優しい方がコピーしてくださったの」
・・・・・コピーしてって・・・・。かってに人のメディアにコピーして、しかもいただいてきたんですか!!!
「大丈夫よ、まだ封を剥がしてないのを持ってたみたい。私がマクを破いたわ」
・・・・・・わざとですよね、会長。その言い回しの言葉、わざとでしょう。
「出血大サービスだわ」
・・・は〜・・・・。そろそろ傘を開いてお空へお帰りいただきますか・・・。