33 秋祭り
<33 秋祭り>
「コンテストですわ」
「・・・は?」
「来週、金十商店街のお祭りがありますの」
「・・・ああ、神社の祭りにあわせたアレですね」
「そこで、ミス&ミスターコンテストがおこなわれます」
「ローカルなコンテストですね」
「我がTMSも参加したいと思います。」
「・・・」
ああ、会長また変なスイッチが入ってしまいました。
「有力な素材を揃えております我が会です。それでも油断は禁物ですわ。」
たしかに有力な素材ばかりです
「そこで、全員での出場をと考えております。調査班から報告おねがいしますわ」
「参加は各個人とグループでとなっております」
「個人は男性、女性。グループは2人以上での参加です」
春夏さん、会長のサポートもしっかりと板につきました。
「そうしますと、会としてはグループ参加ですね」
「そうとも限りませんの」
「それぞれの皆さん光る個性があります。ただし、その個性もただ集まっただけでは
有効には働かない場合があるのです」
「なるほど。会長と春夏姉妹のイメージ、蘭さんと美香さんのイメージとなりますね」
「・・・一条君、その根拠はなにかしら?」
「・・?、なんとなくだったのですが・・、違いましたでしょうか。」
「Cクラス、Eクラス?」
「?・・・・・車?」
「 ”普通” か ”豊か” かですわ」
「すみません・・ほんとにただイメージで、ウラありませんです」
※注意:美香さんは豊かです。
「あ、でも・・・、蘭さんと二宮先生もどこか通じているかも・・」
「ほう?・・・さて、その意味は?」
「・・・・いえ」
「あと、隠し選考として、ベストカップル賞があります。」
「男女ですか?」
「基本的にはです」
「ゲイ?」
「違います」
「そのそれぞれの優勝者には、商店街各店舗の割引券。」
「そして各部門とも賞金10万円となります」
「身近だけどなかなかな賞品だな〜!」
「しかし、それを集めると莫大な資源となるのです」
「あ〜、それが狙いなのですね」
「そこで、今日はコンテストへ向けての作戦会議を行いますわ」
なるほど!一番強豪なのがグループ部門かも。
個人部門は華となるでしょうが、参加する方も充分な度胸と自信が必要でしょう。
それに比べ、グループだと皆で共有する=集団効果で気楽に参加できます。
また選考基準も綺麗や恰好良い以外の部分、楽しい、明るい、存在感などが
効力をもってきます。
これはなかなか難しい人選になりそうです。
「まずは、個人部門の人選からはいりますわ。ただし、皆さん自分からは
言い出しづらいかと思われますので、ここは異性である一条君からの
意見を基に考えたいとおもいますわ」
・・・・え〜〜〜!、ここで皆さんの魅力を分析して言え・・・と・・・
・・・怖い・・・・。あとが怖い。
「あの・・・、あくまで一般的な意見としてでしたら・・・」
「もちろん、そのことはわかってますわ」
「・・・・あとで・・・怒りません?」
「そんなことありません・・ですわ」
「では言います。皆さんはハイレベルな部分での比較になりますことをあらかじめ言っておきます。
我が高校のマドンナ、エンジェル、フェアリーなどの異名持ちですので」
・・・あ、なんか少し喜んでいるみたいです。
しかし、僕はこれからこの異名を持つ人たちのランキングをするんですよね・・・。
なんちゅう愚か者なのでしょうね。他から見たら「死ね」ですね。
「どの部分を魅力として見るか・・・なのですが」
・・・・なんか、また皆さん。目が怖いです。ほんとに死ぬかも。
「春香さん、夏美さんの場合、個々でも充分妖精といわれる力をもってますが、
やはり双子の威力を存分にだされた方がよいかと思います。」
「「私たちはセットのまま出ろと」」
二人とも目が怖い。
「おふたりとも、そんなにニラんだら一条さんが泣いちゃいますわ」
「そうだぞ〜、あくまで瑞樹ちゃんとしての意見じゃないと思えば」
・・・あの、泣きそうなのはあたりかもしれませんが、
会長も蘭さんもなんか喜んでません?
「あの、続けても・・」
「もちろんですわ」
「次にスタイルでの魅力ですが・・」
「ちっ」
「おほほほ!」
・・・・言いたくねぇ〜!!ほんと、全然意見として聞いてない・・・。
「蘭さんは・・・、その、・・・充分な能力をお持ちです」
「え〜!えへへへ〜!そうかな〜」
[[[・・このエロ牛・・]]]
↑・・僕ではないですから!
「また、おそらくですが・・・、美香さんも・・その魅力的なスタイルかと」
あああ、皆さん美香さんの上から下まで睨んでます・・・。目が怖いです。
「私の・・前に見た?」
「いえ・・・、見てません・・。想像で・・」
「想像・・・・・想像で・・・・、ぃゃ・・」
美香さん・・・、赤くならないでください!!妄想とかではなく、たった今
そうなのかな・・と想像したことですので!!
・・・会長・・・・、さっき春夏をなだめた言葉をそっくり言わせてください。
顔が・・・・見たこともないヤンキーです。僕、泣きそうです。
「スミマセン・・、続きを・・・。」
「・・・どうぞ」
・・・・・声のトーンがガッツリ下がってます〜〜〜〜。
「たいして・・、会長のすらりと延びた身長、全身からの知的なイメージ、
セミロングの黒髪、いわずと知れる整った小顔は清純な女子高校生イメージで
校内一かと感じてます。」
あ〜、会長泣きそう・・・僕よりも先に泣きそうです。
皆さんもくやしそうですが、無言でうなずいてます。
「そして再び美香さんなのですが、じつは美香さんも会長に続く知的イメージを
おもちです。なおかつ弓道部だからかもなのですが、キリッとした正義感も。
もちろん、美人なのは全校生徒の知るところです。
結果、蘭さんのセクシーな部分と会長の知的美人の部分を足したイメージです」
あ〜、ますます赤くなって下向いちゃいました・・・。見ててドキッとします。
・・・会長・・・、蘭さん・・。僕、殺される前に帰っても良いでしょうか。
「なになになに〜!私ってエロいけどバカッぽいってこと!?」
「わたくしは頭カチコチの凹凸なし女と?」
あ〜・・・、だからなぜそこまで極論になるのでしょう・・・。
よかった〜!、美香さんの所で「若いのも」と付け加えなくて・・・。
「で、誰がいいって?」
蘭さん、もうヤケになってますね。
「その、僕も解らないんです・・。美香さんの魅力はそうなのですが、魅力を魅きたてる
には、反対側、言い換えますと、マイナス部分になりうる要素も重要かと思われます。
会長ですと、すこし小悪魔的な部分。蘭さんは開けっ広げで落ち着かない活発さなどです。
それは美香さんには無いですので、このあたり審査員がどのように見るかかと・・・」
なんか、お二人納得したのかどうか、微妙な顔してます。
「まあ、しかし・・・、冷静になると、ほんと見てるね〜、私たちのこと。」
「ほんとうですわ。一条君の言っていることは薄々自分でも解りますし、
なにより他の方のイメージが納得ですから」
「ところでさ〜、春香と夏美は最初に除外しちゃったから聞いてないけど・・・」
「そうですわね。きいてみたいですわ」
「「聞きたい」」
美香さんまでこっちを見てます・・・。
「分析が正解か解りませんが・・・。彼女たちは見ての通り双子としてのイメージが
強く出てます。なので、他の方からは個別の魅力まで目が届かないかもしれません。
じつは、同じに見えて微妙な違いがあります。
春香は一応姉となっている分、妹を想う気持ちが行動の中に出ることがあります。
自分だけでなく妹も一緒に・・でなくてはならない。
たいして、夏美は妹である自分をよく理解してます。一歩ひいた気持ちがあり、
なにかある時は姉をたてる。そして、姉は先生であり目標である。
おたがいを立て、敬い、あこがれることで自然と強いつながりになっていると思います。」
「この魅力はなかなか見えることが出来にくいので、一時的なコンテスト向けではないかと思います。
性格と外見はさきにも言いましたが、充分な魅力をもってます。少しあどけなさの見える
全体と、大きな目や人形のような髪。もしも自分に娘がいる審査員でしたら、有無いわずに選んでしまうでしょう。」
春夏は黙って下向いてます。聞きたいとは言え、自分のことですから恥ずかしいのかも・・。
「なるほどね〜。そんな差が瑞樹ちゃんには見えてるんだね」
「ほんと・・・、憎らし人だこと」
「それぞれの魅力か・・・。一人を選べっていっても・・無理なのかもね」
だれにともなく蘭さんがつぶやいてます。
「コンテスト、出るのはやめますわ。私たちには無理そうですもの」
「会長、もうひとつご報告が」
「隠し選考のベストカップル賞ですが」
「「キス選考があります」」
「「「・・・・・・・」」」
「では、ベストカップル賞の出場者選考会議をはじめますわ」
・・・会長・・・。帰ってもよろしいでしょうか・・・。