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32 夜の大捜査線

<32 夜の大捜査線>


「眠いです・・」

「昨夜はすごかったからね〜」

「___あ〜、ツッコミも出来る元気ないです」



もう拷問状態。本人はあの後瞬時に眠ってしまいましたが、こっちは蘭さんの

いたずらにもヘトヘト、複合された疲れがピーク・・・。

浅い眠りにしか入れなかったです。


「今日はもう何もないんだよね」

「はあ、そうですね。あとは帰って寝ようかとおもいます」

「そんなに興奮して寝れなかったの?」

「おかげさまで」

「あたしはいつでも良いって言ってるのに。安全日だし」

「すみません、ツッコミスルーさせてください」

「・・・ツッコミ、する?」

「・・・・・」



「あのね、あたし、ちょっと途中下車して寄り道しようかな・・と思うの。

だから、先に帰ってて」

「あ、なにか買い物とかですか?」

「んん〜・・・、見物・・かな」


なんかいつもとは違う笑い方が気になりました。なんでだろう?


「あの、おじゃまでなければ付き合いましょうか?」

「眠いんでしょ?」

「外歩けば目もさえそうですし」

「ふ〜ん・・・。じゃ、一緒に少し散歩しようか!」





途中下車したのは旅館の駅から2つ目。まだ松林の海岸が続いているくらい近くでした。

海岸にはもう泳ぐ人は居ませんが、散策する家族や

釣りを楽しんでいるグループなどでけっこうにぎわっています。


蘭さんは駅からの脇道をすり抜けて気持ちの良い松林に入っていきます。


「なんか、まったりとして心地よい時間だわ〜!瑞樹ちゃんとも一緒だし!」

「ええ、ほんとうに。気持ちも和らぎます」

「あっ!また写真撮ろうよ!もういたずらしないから!」

「いたずらナシは少し残念・・とか冗談ですが、蘭さんの写真は素直に撮りたいです」


蘭さんは昨日のままの制服です。いつものエロ話しなければ

無条件で魅きこまれてしまいます。我が校2年生のエンジェルと

言われるだけのことはあります。


歩きながら、時には波打ち際で。そして松林の中で。自然なそぶりの蘭さんを撮影。

これって、カメラの腕関係なく、間違いなくベストセラー写真集にできます。



「あそこに座るね!」

しばし松林の中を歩いたころ、蘭さんはひとつのベンチを指さしつつ近づいていきます。

丁度、遊歩道になっている両側に互い違いにあるベンチで、座ると海の方ではなく、

松林の外側を向くことになります。


「瑞樹ちゃんは自由に散策してていいから!」

「そうですか・・。では少し堤防のほうまで行ってみようと思います。」




堤防は数百メートル向こうに見えてます。釣り人の脇を僕はゆっくりと先端まで行き、

遠くまで見晴らせるようになった松林を撮影したり見たりしてました。


近くにあった自動販売機で飲み物を2本買い、蘭さんにも届けようと蘭さんのベンチへ

向かします。姿を確認するところまで来たのですが、

表情が・・・すごく真剣なのに気付きました。


なにか一点を見続けています。

目線の先をたどってみますと松林の外に一軒の住宅。そこでは家族らしい人影が

なにかワイワイ賑やかに工作をしているようです。


なぜか解りませんが、僕も動けないまま、蘭さんと家族をぼんやりと見続けました。



どれくらい時間すぎたのでしょう。家族は家の中へ入り、

蘭さんも目線を回りに戻し始めたのでゆっくりと近づきます。


「すみません、遅くなってしまいまして。

蘭さん、コーヒーと紅茶のどちらが良いでしょう?」

「あ!あっりがと〜!じゃあ紅茶!」



横に座りながら缶をさしだします。

蘭さんはいつもの感じに戻ってます。

蝉がまだ居るとか、松くい虫ってのがはやっているとか・・、

普通に話をふってきます。


ふいに、横から腕に抱きついてきました。

「ちょっと眠くなったから、休ませて」


腕に埋めた頭は、そのまま僕の胸に強くおしつけてきます。

僕は・・・どうすれば良いかも解らないので、

そのまま黙って座ってました。






「さっ!帰ろう!」


時間は解りません。

蘭さんが言うのにあわせて僕も立ち上がり、

駅の方向へ歩き出しました。




電車で隣り合わせで座ってます。ここからだと2時間ぐらいかかりそうです。


「今度眠っても、どちらか起きれば良いので気が楽だわ〜」

「で、二人で寝過ごしたらどうしましょう?」

「その時は、山の温泉宿に泊まろう!。今夜は寝かさないわよ〜」


いつもの蘭さんです。

ほっとしたら、ほんとに眠くなってきました。肩には蘭さんが寄り掛かってます。

半分夢心地の中

「瑞樹ちゃん、ありがとう」

聞こえたようなきがしました。





<次は金十、かねとです>


「・・・・あ、そろそろ着きそうです」

「え?瑞樹ちゃん下りるの?」

「はい!ついでなので、会長にお土産わたそうかなと」

「おみやげ?そんなの買ってたの?」

「ええ、干物ですけど」

「・・・真面目ねえ〜」


「蘭さんはどうします?」

「あ〜・・・あたしは、今日はやめとこうかな〜・・。

なんとなく危険な香りがするし・・」

「・・?危険?」


<お出口は左側です>


「あ、着きますので下りますね。ではまた明日にです!」

「うん!ありがとね〜!」


電車がホームに滑り込んで・・・止まる?・・・会長??

開こうとしているドアの外に、仁王立ちの会長がいます!?

え?どこかに行くのでしょうか??


「あら、一条君、奇遇ですわ。まあ、蘭。2時間ほどお待ちしてましたわ」

「あ!あ〜・・・リン!ご機嫌うるわしく・・・?」

「ええ、今とても麗しくなりましたわ。さあ、お二人とも行きましょう」

「へ?会長、どこへ?」

「私の部屋へですわ」






見えないアームで捕まったように、会長の後を歩く二人。


「ターゲットA、およびBを発見。確保完了。基地隊も撤収ののち合流のこと」


会長・・・・、今の電話は何かの作戦でしょうか・・・。

私服、ジーンズ初めて見ました。ああ、何でしょう?ロープお持ちですね。

あ、どこからか現れたのでしょうか?四谷美香女子ですね〜。やはりジーンズが

似合ってますね。





「一度着替えさせていただきますね」

美香さんと出ていかれた会長は、数分後に黒い短パンに履き替えてきました。

美香さんはミニのスカートです。


「こちらのほうが窮屈で無いですので」


・・・・会長。あんなに隠してた蜂の絵が見えます。

「やべ!リンったら本気だ・・・」

なんすか!その不吉なツブヤキは・・!!


やがて春夏姉妹も部屋に入ってまいりました。

今日は学校無いのですが・・・、みなさん集合ですね〜・・・・。


「ああ、皆さんに甘いものをご用意いたしました。お食べになってくださいね」


ああ、これはおそらく会長特性パフェですね〜!すごく美味しいので大好きです。

・・・・が、二つだけ色が違うような・・・・


「蘭さん、一条さん。さあ、遠慮なさらずにどうぞ食べてください」


会長自ら差し出してます。あ、スプーンに盛って・・はいっア〜ンのポーズ・・。


「・・あの、会長。・・怒っていらっしゃいます?・・」

「まあ、恥ずかしいですわ。これを食べていただけましたら少しだけレベルが下がるかもしれませんわ」


・・・あっ、蘭さん一気に食べ始めた〜!!・・・なんか目をつぶって耐えてますが・・・。


「さっ、一条さんもどうぞ」




・・・・・・・・・・・





「では、お話をしましょう。」

会長の・・・、お話・・・。怖い・・・。


「一条さんはたしか模型の方へ行かれたとか?」

「は、はい!イベントを見に行きました」


「まあ、それはそれは楽しかったみたいですね。」

「はい。楽しかったです・・」


「でも・・・、昨日のお話ですわよね」

「・・・・・」




「蘭さん、競技会はいかがでした?」

「え!あ!、なかなか良いタイムを出しまして」


「まあ、それはそれは!」

「えへへ・・・・・・」


「で、そのあとどなたかとお遊びになったようですが」

「あ・・・、リン、ありがとう〜。助かりました・・・」

「それは何よりですわ」


「それで、その方は今どちらに?」

「え・・・・・・・・・・」


「たしか、弟さん・・・との設定でしたわ。蘭さんよりお若い方なのでしょうか。」

「え〜・・・・・・・・・」


蘭さんがリン会長に根回ししてましたので、まあ内容はバレバレですね。



ああ、周りの女性はじい〜っと見てます。パフェにも手を出されないまま・・・。


「一つお聞きしたい重要なことがあるのですが。・・・解りますね?」


「はい!そこだけはきちんと!」


ジイ〜ッと見つめる皆さん。




「・・・・。解りましたわ。・・・でも、そこだけ・・の前はいかがかしら?」

「あ、ああ〜・・・・」


会長、そこで僕の方に向き直ります。


「一条さん、いろいろと楽しまれたのかしら?」

「え?あ〜、はい」

「それは何よりですわ。そうそう、そのバッグの中は?」

「あ・・・・、これは会長にお土産で買いましたもので」


「あら、とても嬉しいですわ。何かしら・・?。まあ、干物ですわ」

「はい、丁度地元のお店が」

「あら、海が近かったのですね」

「・・・・・あ〜・・はい」


「そこのカメラにはいろいろと写っているのかしら?」

「!・・・」

「!!!」


「見させていただいても?」

「・・・・どうぞ」





「まあ、いつ撮られたのでしょう?奇麗な蘭さんの写真がいっぱいですわ〜。」

「「まあ、ほんとに」」

「まるでなにかの写真集のようですね」

「あら、風景もいろいろと有るのですね」


「とても良い写真撮れてますわ。ほんとに・・・うらやましいですわ」

「「「「ほんとに」」」」


あの・・・、弁護士呼んでもよろしいでしょか。




会長はそこで一枚の写真を見続けてます。


「蘭・・・、いかれたのかしら」

「・・・・、うん、近かったから・・・」

「そう・・・」


それはベンチに座っている蘭さんを遠くから撮った写真です。

あの時、なぜか一枚シャッター押してました。

その写真を見た時、静かに蘭さんに問いかけた感じです。





「蘭さんを信じますわね。これはここまで。さあ、皆さんも食べてください」

「やっと落ち着きました」

「「もうフライングはしばらく勘弁ですから、蘭さん!」」


「めんご!」


ふ〜!緊張が解けました。

蘭さんと宿泊したのはバレバレでしょうが、我慢しておいて良かった・・と実感。


「理性を我慢されました一条さんからのお土産は、皆さんで分けましょう」


男の苦悩を解ってらっしゃいます・・・・・。





「ところで・・・一条さん、模型の写真は無いのですか?」

「ああ、これは前の日でしたのでこちらに」


「まあ、細かい模型ですわね」

「すごい作り込みだな」

「「人がいっぱい・・。おじさんいっぱい」」

「次回は誘ってくださいね」



・・・あ〜、やっぱり?

皆さん連れて行くの、気が重いです。






「「「あら?」」」

「・・・これは・・・」


「?・・・・!!!」



「随分となまめかしいお姿ですね〜」

「みごとにフェロモンを表現している」

「「・・・浴衣、風呂上がり」」

「そこだけ・・・の前がいっぱいありますわ」


「神に誓って・・・終点には行って無いです」



「「「・・・!!!・・・」」」



「・・・ずるい」

「「・・・・私たちもコレ欲しいです」」

「・・・・まあ」


・・・、会長以外の方々は再び目つき変わりましたですね〜。

あ、会長。部屋にある写真立て、仕舞い始めましてね。

なにか立場が悪くなるものでもあるのでしょうかね。




「だって・・私も欲しかったんだもん」


あ〜蘭さん、可愛らしくいわないでください。

あちらの方々に油そそいでますので。




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