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30 本能寺


<30 本能寺>


時に噂は意思をもったように広がることがあります。


普段は名前を聞いても特にきにすることもなかったのですが。先週、夢での

出来事以来、なにかと耳にすることが多くなってきました。



「美香さん、だれかに告白したらしい」

「それもふられたとか」

「それが本当ならどんな相手だったか見てみたい」


そうです。1年生マドンナと言われています四谷美香女子。

ほんとに、先週まででしたら気にも留めない名前だったのですが・・。





「ご紹介しますわ。1年生の四谷 美香さんです」

「よろしくお願いします」


ここは会長の部屋です。そして、来客者は、あの四谷さん。

なぜ、今ここに彼女はいるのでしょう。

会長とお知り合い?とか・・・。


「瑞樹さん、先週はどうもありがとうございました」

「はい・・・・」


先週?夢での話?僕は美香さんと面識あるのでしょうか・・・。


「美香さんは、いろいろとお聞きしたいことがありますとのことで来られました」

「はい、先輩はじめまして皆さんに」




「じつは私、先週初めに瑞樹さんへお話したいことが有りまして、お逢いさせていただきました」


・・・初め、月曜日?


「お話の後、自分の気持ちをなかなか整理できず、翌日にも同じ場所へ出向いたのです」


・・・・翌日・・は、火曜日?たしか、会長と僕はお逢いしました。


「同じ時間、同じ場所で・・・。その翌日も、またその次も・・・」


水曜日は蘭さん、木曜日は春香と夏美。



「理由を聞かせていただけましたらと思いまして、鈴さんにお願いいたしました。」


・・・・月曜日からの出来事は・・、まるでらせん階段のように少しずつの違いで繰り返す時間軸みたいでした。

最初と最後は別の話みたいでしたが。


月曜日。それは四谷さんに呼び出された日。そしてある質問だけさえた日です。



「そう・・。見てたんだ」

「「毎日同じ時間で・・・、ただし逢うのは別人」」

「私はそのことを先ほどお聞きしましたの。それでこちらにおいでいただいたのです」




「お話は・・・、一条君にも聞いていただかないとダメなのでしょうか」


「もし不都合でないのでしたら・・・」

「そう」





「あなたに逢った後、一条君は私たちと会いました。一条君は美香さんとの

話を理解されてませんでした。」

「・・・理解してない?」

「はい。お話をお伺いしたこと、怒らないでくださいね。一条君も理解してないため

話されたと思います。

本人もそのような軽はずみな人ではありません。」


「でも、そのことと翌日からのことが繋がりません」


「そう。そこなのですが・・・。これを話すのが一条君にとって良いかどうか・・・」


・・・?僕に?ですか・・・。

なにかあまり良くないお話でしょうか・・・。


「このさい黙っててもいたしかたありません。私たちの気持ちです」


みんなの気持ち?・・・会長や蘭さん、春香夏美の・・・??


「私たちは皆、一条君・・、瑞樹ちゃんのことを守りたいのです」


・・?僕を守りたい・・





「瑞樹ちゃん・・。瑞樹ちゃんは・・・・」


会長・・・・・・


「バカなんです」


・・・・・・は?



「美香さんにも先ほど言いましたが、さっぱり理解されてませんでした」

「あ・・・、お聞きしました」

「なぜか。・・・それは、瑞樹ちゃんが女恐怖症で男と過ごすのが好きだからなのです。なので女性にはバカなのです」


・・・・えええ〜〜〜〜!?

会長〜〜〜〜!!何いってるんでしょう!!


「結果、美香さんからの言葉を理解することも、しようとも出来なかったのです」

「そ・・・そんな・・・。ゲイ?」


ちょおぉぉぉぉぉっ・・・と待ってください〜〜!!!

こ・・・声が・・・でません〜〜〜!!!

全力で否定しなければならないこの場面で!!!

・・・・・・ら・・蘭さんに抱きかかえられて・・と言うか、首・・入ってます!!

春夏!!口と鼻ふさぐな〜〜〜!!!苦・・・苦しい・・・



「ゲイ・・では無いのです。でも、これは心の病。」

「・・つまり、女の子とは・・話せない精神状態だと・・」

「そうです。」


・・・・・・あ・・・・何か・・・空から・・・・


「そこで、私たちは瑞樹ちゃんを救いたい・・と思ったのです。

美香さん、あなたに告白されたのと同じことを繰り返す。それも毎回違う女性と・・。」

「それは・・・、女性恐怖症のリハビリ・・?」

「そうです。同じことを何度も繰り返す。同じことですので安心感が心にゆとりを持ちます。

自然と女性への恐怖心も消えていくのでは・・・と」



「私は、あることから瑞樹さんのことを考えるようになりました。この気持ちは・・初めてでした。」


「勇気を出して・・・伝えたつもりでした。それが・・瑞樹さんにとって、瑞樹さんの病のせいで伝わってなかったのでしたら・・、

私も一緒に、瑞樹さんを助けたいとおもいます。」


「美香さん・・。ごめんなさい、とても不快なお気持ちにさせてしまいましたこと」

「いえ、私の方こそ、なにも知らなかったとは言え、たいへん失礼なことを・・・」


「今言われましたこと、ほんとうによろしいのかしら?」

「はい、ぜひお手伝いさせてください」

「わかりました。一緒に瑞樹さんを救いましょう。でも、しばらくは告白できませんよ」


・・・・・・はっ!!・・・死ぬかと思った・・・・。

「か・・・会長!僕はゲイではありません!!」


「一条君。わかってますわ。そのことは大丈夫です。私たちは皆解ってますわ」

「・・・・・女恐怖症でもありません・・。女性が少し苦手で」

「瑞樹くん。」

「はっ!?・・四谷さん」

「・・・わたしも・・・、これから私とも、お友達になってください」

「・・・・へ?・・・・あの・・・僕と?」

「はい!ぜひ!」




一瞬気を失ってて理解出来てません・・・。

会長は・・・・いつも通りまともに説明していただけなさそうです。

他のメンバーはさらに無理でしょうし・・・


なぜ、四谷さんと友だち宣言だったのか???ですが・・・。

・・・結局、僕の近くにまた美人の女性が増えたみたいです。

・・・ああ、じつはさっき死んだのかな?そうかもしれない・・。ここは・・あの世?


「美香・・って呼んでくださいね!」





「これでうまくまるめこめましたわ」

「とりあえず抜け駆け横取りされるのは避けられたんだ。」

「あんな強敵、かないません。」

「しばらくは安泰です」


あ〜・・・、連合組んだんですね〜。

しってますか〜?今日の見方は明日の敵・・・とか・・。

あ、すみません。無意識の言葉です。






翌日からよく僕のクラスへ遊びに来るようになった美香さん。

当然周りは大騒ぎです。二年の美人、そして一年の美人と、次から次と

はべらかしている地味男!・・・と。


ところが、その騒ぎも有る時いっさいなくなりました。

敵視する目も・・・。

なぜだか解らないのですが、ホッと一息です。





時に噂は意思をもったように広がることがあります。


あの、美女を何人もかかえこむ地味男の正体。


それは・・ゲイ・・・だと。





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