28 判決
<28 判決>
静かです。誰も居ないのでしょうか?
開いてるので入ってみようか・・・。
「遅くなりました~!」
もう一度声かけましたが、やっぱり静かです。
部屋の電気は灯っているけど・・・、なにかあったのかな?
「あの~・・・え!!」
皆さん居るではないですか!!
ですが、黙って僕を凝視して・・・・。
「・・・あの・・・」
「まずは・・」
「そこに座ってください」
「・・は・・、はい」
なんだか今日は有無いわせない指示が多すぎです。
とりあえず言われた通りに・・正座。
「では、お聞きしましょう。」
「この時間までの状況をです」
あの、春夏さん?・・・。門限を過ぎた理由を聞く親御さんのような口調です。
「お話されたことについての報告をお待ちしています」
「事の内容によっては、私も覚悟しますので」
。。。なんか、皆さん目が怖いです。
「えと・・、よく解らないのですが・・・、僕に好きな人が居るか調査しているみたいで・・・」
「「・・・・やっぱり」」
「・・・瑞樹ちゃんに、そんなイベントきましたか」
「・・・・・・・」
「・・・あの、皆さん・・・?」
「「・・それで!?」」
「え?・・それで?」
「「答えは?」」
「あ、・・・はい。居ますと答えたのですが」
「「「・・えええ~~~!!!」」」
「うわ!!いきなりなんですか!!」
ビックリしました!思い切り頭突き食らうかと思う勢いで4人が飛んできました。
「だれ?!だれのこと!それ!!」
「今更だまってませんですわよね!」
「断言しちゃうくらい当然な気持ちなの?!」
「いいから言いなさい!」
「・・・え、言うって・・・何を」
「「「好きな人」」」
「・・・思い浮かんだのは会長・・」
「!!!やった!!!」
「「「う・・・・」」」
「とか蘭さん・・」
「「「・・・???」」」
「とか春香さん夏美さんとか・・」
「「「・・・・・・・・」」」
「あ、あと玲子さんと二宮先生もとか」
「「「・・・・・は~~~~」」」
「・・・瑞樹ちゃん・・・」
「私たちは・・」
「とぉ~~~っても悲しいです!」
「・・・・ぬか喜び・・返せ」
・・・・今度は恨まれているような目です。
やっぱりマズカッタのでしょうか・・・。
「とりあえず、居るっていったわけね」
「あ、はい。」
「それで、お相手の方は?」
「えっと、解りました・・と言われて帰っていかれました」
「・・・それだけ?」
「はい」
「くいちがってる?よね」
「ええ、おそらく」
「「完全にですね」」
「「「は~・・・・」」」
「瑞樹ちゃんは、なんで呼び出されたか解ったの?」
「それが、さっぱりで・・」
「だよね~」
「鈍さに怒りを覚えますわ」
・・会長、怒ってますのでしょうか
「ハッキリと」
怖い!!マジに怖いです。目がすわってます。
「あのね~、下駄箱に異性からの封筒入ってたらさ~」
「ラブレターですね」
「普通は」
「・・・・・」
「はあ・・・、そうなんですか」
「そうでしょう」
「見たことないので、今度誰かにみせてもらって勉強します」
「・・・・、解ってる?」
「スミマセン、あまりよく解らないので・・・」
「瑞樹ちゃんへのラブレターですわよ」
「僕ですか・・・。僕へのラブレターですか。そうでしたか・・」
・・・・
「・・・・・・えええええ~~~~!!!!」
「あ~、今解ったんだ」
「僕へのラブレター!?だれが!!!」
「あんた!逢ってきたんでしょう!!」
「え!?いつですか!!」
「さっき呼び出されて、話してきたんでしょ!!」
「。。。。あ!・・・・、あの公園で?」
「ダメだ~。ほんと、この鈍さに私たちは苦労しているわけだ・・・」
「でも!え、ラブレターって・・・。どうしましょう!?」
「どうするも・・・、さっき答えてきたんでしょ」
「え?なんて?」
「ふってきたんでしょ~!」
振る?ふる?だれが?だれを???
「あ~・・、もしもし~?」
「どうしましょう」
「とりあえずほっておいて、こっちの話を固めようか」
「そうですわね」
皆さんなんか話しあい始めたようです。
僕は思考停止のまま、言葉が無意識に耳に入ってきます。
「まずはその娘が今後どう出てくるかだわ」
「フラれても追いかける、ですか?」
「あきらめない?」
「でしたら、なにか良く解る既成事実で防御が良いのでは?」
「そうね、でも何が良いのかしら」
「だれかとすでに付き合っている」
「そう見えるだけでも充分効果的ですわ」
「となると、いつも一緒に居るのを見られること」
「なんだか姑息なようですが」
なんとも不自由な皆さんです。・・・とは無意識な感想です。
「でも、肝心の瑞樹ちゃんの気持ちは?」
「今なら混乱中です」
「夢みてたことにしちゃえば良いのでは?」
「そうですわね。一発かまして・・」
「しかし、告られてから気持ちが入ることも有るし」
「あら、それは経験なのかしら?」
「ああ、蘭さんなら」
「アリジゴクですから」
「あ~そう!言うわね~」
「「いえ」」
「まあ、不潔だわ」
「おっと、リンには言われたくないな~」
「あら、なにかしら?」
「会長は涼やかに食べちゃいそうです」
「人生経験も豊富ですし」
「あななたち、だいぶこなれたみたいですわ」
「ほんと~、キスもしたことないのにね~」
「「今すぐ出来ます!すぐできます!!」」
「なんで・・・初ラブレターで固まっている人のために・・あたしたち」
「ラブレターなら私の方が沢山いただいてますわ。」
「しってます」
「私たちだっていただいてます」
「あら、男性が苦手だったのでは?」
「苦手でももらってます」
「やっぱ本人が正気に戻る前に記憶を消しちゃおう!」
「でも、相手の方って誰なのでしょう?」
「あ~、え~っと、瑞樹ちゃん~!相手の名前はなんていうの?」
「四谷 美香さんです」
「答えましたわね」
「ああ。答えた。」
「きっと、寝ている人に話すとしゃべるってのと同じでは?
「あれ、良くないって聞いたけど・・・」
「催眠術みたいなものでしょうか?」
「そうかもな~」
「なら、今のうちに好きな人の名前をすりこんでしまえば・・・」
「「「・・・・・・」」」
「えええい!抜け駆けはずるいぞ!!」
「そうです!無理やりはいけません」
「無意識にですわ」
「それよりも今はラブレターの話です!」
「四谷さんって知ってる?」
「もしかして、あのE組の・・」
「あ、すごく奇麗な?」
「え?美人なの?なにそれ、反則じゃん!」
「蘭さん、反則って・・・」
「どれくらい美人なのかしら?」
「ええと、・・・たぶん1年ではトップクラスかと」
「あ、あの弓道部の!?」
「はい、その人が入ったら部の見学者が倍になったとか」
「なんでまたそんな上玉が!」
「ほんと・・・・、つくづく想定外な男です」
「・・・ただでさえ面倒な敵が多いのに、またですの・・・。」
「「「面倒な敵って・・・」」」
「まあ、恥ずかしいわ」
「とりあえず、あまり近づかないようにして忘れさせる!」
「そうですわね。美人で性格良ければ貴女たちでは難しいでしょうし」
「ほお、自分の性格は良いと?」
「恥ずかしいわ」