26 恐怖の報酬
<26 恐怖の報酬>
「まあ、海の幸がこんなに」
「さすが採れたて新鮮が自慢の宿ですわ」」
「「刺し身に焼き物にといたれりつくせりです!」」
「まあ、あたしがちょっと本気をだせばこんなもんちょろいぜ〜!先生を見直したかね〜、諸君」
「先生に話をもちかけて大正解でした〜!」
夏休み、七月の終わりの話をやっと落ち着いて言える精神になりました。
海水浴&温泉の旅で訪れた東北のとある海。老舗の旅館であります。
小さいながらも風情の有り、静かに癒しを求める人々の隠れた人気スポットとして
けっこう有名らしいのですが、なんと、二宮先生の実家!
そのような訳で格安お泊まりにありつけたみたいです!
なお、この情報は合流するまで一切知りませんでした。
まあ、いつものことです。気にしません。
「ただな〜、只今アチコチ改修中でな〜、ちょっと不便かもしれないけど、我慢してな」
「とんでもないです!我慢どころか恐縮しっぱなしです!」
なんでも不備な部分の指摘をされたそうで、このかき入れ時に臨時休業中。
だから身内のこの団体以外、宿泊ナシだそうです。
少し安心。ぜ〜ったい何事もなく過ごせない方々ですから旅館のイメージに傷つけそうでしたので・・・・。
「今日は両親しか居ないし、最低限のこと以外は自分たちでしてくれ。布団とか」
「先生は旅館の後を継ぐなどされないのでしょうか?」
「う〜ん、・・・・・ツブしてしまいそうでな・・・」
・・・・・・・なんだか解ります。
「弟も居るけど、そっちもその気が無いみたいで・・・、いつかは私が婿取りしなくちゃなんだけど、・・・・時間はまだタップリ有るし!」
・・・・・・・先生、時間はすでにマイナス突入なのでは・・・かと思われますが。
「若いの捕まえたら安泰だからな!」
「・・・・、自分は働く気、ないのですね・・・・」
婿さん=やとわれ旅館主人としか思ってない?
なんか、そのあたりに敗戦の原因があるような。
「瑞樹ちゃん、どう?」
「・・・・いろいろな状況から、非常に答えづらいです」
「おおっ!いっそのこと若い男限定の旅館にして、良い素材を手に入れるか!」
「・・・・・・自分の欲望でツブすな。間違いないな」
「先生〜!まあ、ここはどうぞ!」
「悪いな〜!風呂あがりのビールは最高だぜ!あ、玲子ママも飲もうぜ!」
「あまり強くは無いですので、少しだけ」
・・・・しかし・・・・・
良くある若い性を引き込むビデオ出てきそうなくらい、フェロモン全開のお姉さん二人。
たった一人の男なんて気にしない・・・かのごとく、無防備な態度は勘弁して欲しいです。
思春期なのです。不安定な年なのです。妄想魔神が暴れまくりです。
「「「ごちそうさま〜!!」」」
「「たべましたわ」」
「腹っぱいだ〜!!もう何も食えねえ〜!」
「こんなに食べたら太ってしまいます。もう若くないのですから蓄積しちゃうし」
「ママは欲望に素直な人ですわ」
「ほんとに、美味しかったです!」
「いや〜、喜んでくれて両親も喜ぶよ〜!。」
「じゃあ、僕はお風呂に行こうかと思いますので」
「あっそうか、さっき入れてないものナ〜!皆で行く?」
「・・・・・勘弁してください。倒れてしまいます」
改装中なので、お風呂ですが今は一つしか利用できないとのこと。
女性陣が食事前に入ってました。
なので、自分はこれからです。なんか・・・、同じお湯に入るの、少しドキドキします。
「毛、探すなよ」
「そこまでフェチではありません」
露天風呂です!波の音と月が心地よいです。ほんとにゆったりと・・・。
なんだか・・・、だんだん眠くなってしまいます。
そういえば昨夜もろくに寝れなかったし、今日は海で疲れたし・・・・
・・・・・・・・
あれ?なんか声が・・・
気がついたら部屋で寝かされてます。
「・・・!えっ?」
「ああ、気がついた〜!」
「お、起きたか。」
「びっくりいたしましたわ。遅いので様子を見ましたら、お湯の中で完全に寝てましたですの」
「ええ、あ、スミマセン〜!!。ほんとに疲れてたみたいで・・・。ご迷惑おかけしました」
「いえいえ、しょうがないですわね」
玲子さんが笑って・・。やっぱりお母さんですね。なんだか自分の子供に向かっての感じです。
・・・・・、え〜、皆さん、静かにトランプしてますね。
・・・。静かですね。会話ナシですね。
我に返った時から気にしていることが有るのですが・・・・、聞きたいけど聞きづらい。
「あの・・・、僕を運んでいただいたのは・・」
「ああ、皆で運んだんだ!。やっぱり意識無い男って重いから大変だったよ〜!」
「ほんとうに。初めてしりましたわ」
皆で?・・・全員で?
「「「はい」」」
「あの、お風呂でしたよね。僕」
「「「はい」」」
「塗れたまま寝かした・・・でも無さそうですね。」
「「「はい」」」
「・・・・・裸でしたですよね」
「「「はい」」」
「・・・、僕を起こそうとは・・・?」
「「「・・・・・」」」
「全員で?」
「「「はい」」」
「・・・何か・・・、見ました?」
「まあ、恥ずかしいわ」
「えへへへ〜!」
「私は教師だからな。恥ずかしがること無いぞ!」
「お母さんですのも。恥ずかしくないですよ」
「「・・・・・・」」
「身体も・・・、拭いていただいたのですね」
「まあ、おほほ」
「うふふふ〜!」
「教師だからな、触られても気にしなくて良いからな
「おかあさんですもの。大丈夫ですよ」
「「・・・・」」
「・・・なにか・・・感想は・・・」
「まあ、言えませんわ」
「立派だ!」
「教師だからな、生徒の安全を確認したたけだから気にするな」
「おかあさんですもの、成長は嬉しいものです」
「「・・・・あんなになるのですね」」
・・・!だ〜!!!何した〜!!
・・・・・ぜったいに面白がっている!完璧だ!
起こすどころか、皆を呼び集めたに決まっている!!!
・・・・・ああ、お母さん、僕はどんどん違う道を進んでいるのでは無いでしょうか。
女性を見る目が・・・・違う道へ・・・・・。
「あの・・・、寝てもいいですか」
寝よう。疲れたから寝よう・・・・。
「これから面白いのに〜!!第2回暴露大会するのに〜!」
「寝かせていただきます〜!」
「瑞樹ちゃんはこの部屋使ってね」
案内されたのは離れの一部屋です。
「私たちと一緒がハズカシイのかしら」
「なにもしないのに〜!」
「そうですね、皆さん寝るまではなにもできません」
「「・・添い寝」」
・・・・最後の玲子さんの言葉、とても意味不明です。
しかし、なぜ皆さんもゾロゾロ着いてくるのでしょう?
「場所確認しないと、いざって時に困るじゃん!」
「・・・・いざって、どんな時でしょう・・」
「ま、いざって時ね!」
・・・・・・
「ここは元々私の部屋だから、気にせず使ってくれ。」
「・・・・、先生・・・・。布団」
「ああ、私はベッドが苦手でな。いつのまにか落ちちゃうんだ」
「・・・いえ、そうではなく。・・・布団が2組有りますが・・・」
「だから私の部屋だって」
「・・・・・・まさか、先生も並んでと?」
「いくらなんでも一緒の布団にでは解りやすすぎだろ」
「まあ、それでは先生もこちらで」
「・・・・ずるい!」
「あら、もう一組お願いしようかしら・・」
「「・・・・私たち小さいからひと組みでも可能」」
「・・・・ほかに部屋は?」
「無い」
「お願いです!僕に安らかな眠りを!」
「ああ、だから一緒に寝ようと思うのだが、イヤか?」
「安らかに出来ないかと。しかも布団の隙間もまったくないです」
「そうか、一人で寝るか?大丈夫か?」
「こどもではありません!」
「でもな〜・・・」
先生、窓のカーテンを開けます。
「慣れないとけっこうキツイぞ」
え〜、・・・・沢山の石の柱や木の棒が影になってみえますね〜。
ああ、そうですか。ここは墓地なのですか。
離れのウラは墓地でしたか。あ、なにか光るものが見えたような・・・。
う〜ん、良くは解りませんが、柱の間に少し暗くなった人影みたいなものが動いている気もします。
いや〜、僕にこんな見える力あるのですね〜!知りませんでした。
冷房モ無いのに涼しいです。少し震えてます。
「このあたりは土葬がデフォルトだ。嵐の後などはよく土から出てる」
「・・・・・あの・・・・先生」
「どうする?」
「・・・・・どうしましょう・・・」
「「闇の怨念が満ちているわ」」
「ママ・・・、私・・・少し怖い」
「あら、これはずいぶんとハッキリしたエリアですわ。鈴さんも苦手でしたものね。」
「だれかに抱きつきたい・・・」
「しょうがないなあ〜、私はもう慣れてるから一緒に寝ようと思ったけど・・・。
皆で一緒が良い?」
「「「「はい」」」」
結局・・・、皆で一緒に寝ることにしました。
ええ、男とか女とかどうでも良いかも。
・・・・、ええい、しがみつくな!春夏!
・・・蘭さん!押し付けないでください!!・・え?玲子さんでしたか
スミマセン・・・・ではなく!!!
「男の子って可愛いわ。私もそろそろ再婚を考えても・・・」
「玲子さん、男の子供がほしいのですか?男の人ですか・・」
腕に・・・会長が・・・
すみません、しおらしく震えながらしがみつかないでいただけますか!
「守ってね・・」
そのギャップに僕の脳がこわれてしまいそうです。
暑い・・・重い・・・
あ、いいですから、大丈夫ですから〜!先生!脱がさないでください〜!
先生も脱がないでください!!!
「瑞樹ちゃん、永久就職・・・どう」
「先生のご期待にそえなく、残念です・・・」
・・・・てか、なんでこの狭く小さな布団で一緒に寝るんですか〜!!!
皆で大部屋で寝れば良い話でしょ!墓地も無いし!!!
え、戻るの怖い?・・、おしっこ??
・・・・どうぞ行ってください。蘭さん。
今日も安らかな眠りとは縁がなさそうです。
あ〜、取り憑かれた気分です。
早く・・・・朝になって欲しい。