25 度胸だめし、肝試し(夏美)
今回は双子姉妹の妹、夏美の心視点です。
<25 度胸だめし、肝試し(夏美)>
そう、もうダメかと思いました。
捕まってします。全ての忌まわしい秘密が、そしてこの幸せな生活が願わない方向に戻ってしまう・・・。
飛び込んできた白い色は・・・瑞樹くん。
幻を見ているようでした。
会長に呼ばれました。そして、はじめて私たちは走るのをやめて、何が起きているのか考えることが出来たのです。
口から出た最初の言葉
「瑞樹くんが!!___お願いです!・・・瑞樹君を助けてください!」
会長は指さした方向を見ました。と、そのまま飛び出して・・・。
戻ってきた会長と瑞樹くんはとても痛々しい感じでした。
そして・・・、会長の顔に涙の跡が・・・・。
「二人とも。大丈夫よ。心配しないで、今日はおうちへお帰りなさい。」
とても優しい言葉です。ただ、いつもの会長とは違って、悲しそうな顔をされてました。
会長の言われてた通り、私たちは忌まわしい記録を取り去ることができました。
これもすべて会長のおかげです。
そして、それが出来たのは・・・・瑞樹くんのおかげ。
少し前、先生にお聞きした気持ち。これはやっぱりトラウマの反動では無いと思います。
瑞樹くん、瑞樹くん、瑞樹くん!
もう離れないんです。
二人で確認しました。春香も同じです。
こんな時は、嬉しいのと困惑とが混ざり合って困ります。
だって、同じ気持ちのライバルがこんなにも身近に居るのですから・・。
・・・・。いえ、もっと大きなライバルが居るのを知ってます。
鈴会長。・・・そして、おそらく蘭さんも・・・。
なんで、女である私がみても魅力的な先輩方が、
あんなに目立たなく、地味な人のことを・・・。
とても、私たちが入れる隙間は見えません。
おかしな話です。この4人とも、うすうす気付きあっているみたいです。
そして、自分が前に出れないと思いあっているのです。
だから・・・、今の関係を無くさないように、壊さないように気持ちを伝えない。
瑞樹さんは、そのことを薄々気がついているとは思います。
ですが、信じないようにしているみたい・・・。
4人の女の子が自分に好意を持っているなんてと。
ほんとに・・・、おかしな話です。
あの日、蘭先輩がお礼をしようと言いだしました。
とても良いことだとすぐに賛成しましたが、まさか・・・キスするなんて。
そのことは、もしかしたらこの微妙な関係が崩れてしまうかもしれません。
しかし、あることに気付いたのです。
蘭せんぱいも、当然その危うさを思わないはずありません。
では、なぜ?
一つだけ、答えを見つけました。
それは・・・、鈴会長を・・、鈴会長のために行おうとしているのだと。
子供の頃、とても辛かった時にそばにいてくれた年下の幼なじみ。
そして、大人になりかけの不安定な場所から、並々ならぬ努力の力を導いてくれた幼なじみ。
私たち以上に辛い目に有っている時、助け出してくれた幼なじみ。
年下の幼なじみは、鈴先輩にとって全てになっているはず。
それなのに、自分からは決して言い出せない。求められないと決めつけている。
あまりにも見えすぎた痛々しい心を開放したいのだと。
そう、蘭さんの決断は、鈴会長が自分を取り戻すために言い出したことなのだ。
私たちに異存はありませんでした。
蘭さんが自分を抑えてまでやり遂げたいのでしたら、私たちも、その蘭さんの気持ちのためにするだけです。
蘭さんの作戦。
強引な理由でキスすることにしたのですから、鈴会長も黙って見ていないはず。
自分からキスしたい。告白したい。との気持ちを増幅させることに。
瑞樹くんも同じく、どうしても自信が持てないのでしたら、それ以上に巻き込んで
しまえば、本能で走り出してくれるでしょう。
だから・・・・、私たちは、ただ二人に考える時間を作らせないことにしたのです。
ええ、最初からうまく二人がキスするとは思ってませんでした。
少し意識しあう気持ちが大きくなったでしょうか?そのことが重要なのです。
瑞樹くんが他のだれかとキスしたかもしれません。
きっとその相手は、もう二度とないだろう思い出をてに入れたでしょうね。
ちょっとだけ、神様がくれた幸運かもですね。
他のだれかがキス・・・の場合は、鈴会長の抑えている気持ちが揺れはじめていたはずです。
いきなりでなくて良いです。じっくりと、前にすすんでいかれましたら。
心からそう願ってます。
それにしても、蘭さん。
わたしたちと同じで、初恋・・だと思います。
ほんとうに・・・・好きになったんです。たぶん初めて。
親友の幸せを見たら・・・泣いてしまうかも___ですね。