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15 羊たちの沈黙


<15 羊たちの沈黙>


「まあ、皆さん、いろいろとお疲れさま〜」


「玲子ママさん、こんちです~!」

「「ママさん、こんにちは」」

「玲子さん、こんにちは」


「ゆっくりしていってね~」




期末テスト最終日。無事終了して解き放たれた日の午後、鈴八です。


玲子さん、は、鈴会長のお母さん。そして鈴八洋菓子店のマスターです。


TMSは、ちょくちょくこのお店でも会議をいたします。

ぶっちゃけ、お茶しに来るのですが。




会長の名前は「八神 鈴」。

このお店の名前はたぶん会長からきているのかな?となっとくしてます。


洋菓子店ですがカフェでもあり、普段は玲子さんとアルバイトの女性一人で切り盛りしています。

学校が終わる夕方は満席になることも多く、よく会長も手伝いをしているみたい。

また、いろいろあるスイーツは鈴会長考案のものも多いらしく、仕込みなども

自ら行っているとか・・。いったいいつ勉強や僕たちと遊ぶ時間を作るのやら・・・。

この美人親子はとんでもスーパーウーマンです。


あ、玲子さんですが、なぜか僕のことを最初から「瑞樹ちゃん」と

とても親しげに呼んでいただいています。

そして、僕も「玲子さん」と呼ぶように強要されております。

「男の子におばさんとか、お母さんなんて言われると一気に老け込むからイヤ」

だそうで・・。




「リンは、将来のこと考えてる?」

「まだきちん決めては無いですの。でも、たぶん・・・」


・・・たぶん・・の後は、このお店で働きたいのかなと想像です。


会長は成績も優秀で、昨年は学年5番だったそうです。

優秀で美人、今では次期生徒会長の噂も出ているとか。

(これは、僕らが会長と呼んでますので、現生徒会長と勘違いしている生徒もいるらしいです。)


僕が見ても、すごく頑張っていると思います。

もしかしたら自分の力を試してみたい・・とかも気持ちに有るのでしょうか。

外の世界で・・・、この駅前だけでなく、もっと広い世界で・・・。

まだ高校2年生ですから決め込むまでもう少しは時間ありそうです。

(年齢は19歳・・・はありますが)



店が混んできましたので会長はさっそく手つだいに。

こちらも席を空けるため会長の自室へ移動です。


・・・初めてです。緊張です。




「ここが」

「会長のお部屋」


「そう!まあ気兼ねなく入ってね~!」


案内した蘭さんは、まったく自宅みたいなノリです。

まあ、いつもは逆に蘭さんの部屋を占領されてますので、持ちつ持たれつでしょうか。


「でね~、ここが下着ね、で、ここがベットね。これパジャマ。どこから見たい?」


・・・・・仕返しですね。明らかに。


「すんごいの有るよ~!私もビックリよ~!」


「え・・・スゴイの・・・とは?」


ああ、久々妄想が・・・




「スゴイのとは何かしら?私にも見せていただけます。」


「・・・あ~・・・・、すごい・・成績表?」




会長、お茶とケーキを持って蘭さんの後に。・・・なぜフォークを握っていらっしゃるのでしょう・・・。



「では皆さん、ごゆっくりおくつろぎぐださいね。少し席をはずしますが・・・あまり騒いではいけませんよ」


あ~、蘭さんを見て言ってますね~。同感ですね~。怖いですのね〜。




会長の部屋は、生活に最低限必要なものだけ・・・に見えます。

よくある可愛らしい小物や飾り物もなく、衣類のクローゼットと勉強机以外、参考書や本が目立ちます。

女性に必要な姿見も全身確認出来る鏡が一枚だけ。

少し拍子抜けかも?


でも、食玩のおまけだと思われる電車の模型が?

僕も持ってますが、ここに有るには異質ではないかと。

会を作るときに読んだ本かなにかの影響かも?


それにしましても、一切無駄の無い片づき方です。




「会長は、数年前にここへ引っ越してきたのですよね」

「ん~、そうだね」

「前はどこに住んでらしたのでしょう?」

「・・・あ~、・・・ちゃんと聞いたことないかも。玲子さんが離婚した後だと思うけど。」


そう、母一人娘一人なのです。


「アルバムとかお決まりのアイテム無さそうですね。」

「少し会長の謎が解りそうだったのですが」

春・夏・!残念そうに家捜しするな!





「そう言えば蘭さん、あのサッカー部の彼とのデートとか、予定大丈夫なのですか?」


「ん~・・・。別れた~!」


「え、ええ~?、まだひと月ほどですよね・・・」


「そうなんだけど、なぁ~んかイマイチ燃えなくて。最近面倒くさくなってしまうのが多くて。

もう年かな~!?」


・・・・17でもう燃えない・・・って・・・。

こっちは未だにその取っ掛かりすら経験できてないのですが。


「こっちでバカやってる方が楽しいしね。身体がうずいたら瑞樹ちゃんに消火してもらおうかな~」


こっちは丸焼けになりそうです!





「なるほど」

「これが会長のスゴイのですか」

「「確かに・・激しいですわ」」


・・・?おい!春夏〜!!なに広げているんだ〜!!!


「そ〜、ソレ!どうして使うかは〜、ご想像にお任せね」


・・・・・この人たちは聞いてなかったのか?命は大切にしたほうが・・・


「この使い方も、ぜひ教えていただきたいわ」

「おそらく二宮先生が詳しいでしょう」




元に戻しつつ蘭さん

「そうそう、もうじき夏休みだね~!みんなの予定は?」


「私たちは」

「少しアルバイトが有りますが」

「それ以外は特には」


「アルバイトですか。接客とかですか?」


「まあ、そう言えなくもないです」

「期間限定ですが」


「なんか、良いかもですね!人と接することが多い環境でしたら、トラウマ克服も

近そうです。」


「春・夏・は一時期バイト有り〜っと。瑞樹ちゃんは〜?」


「僕は少し撮影旅行を。夏季限定の切符が出ますので少し遠くまで」


「みなさん、充実しそうですねぇ〜、いいですねぇ〜。あたしとは違うですねぇ〜」


「蘭さんは何も予定ナシですか?」


「去年はいろいろと忙しい夏だったんだけれども、今年はなんもナシ〜。あ〜あ、寂しい女子高校生だわ〜」


「・・・・サッカー部の人と別れなければ良かったのに・・・」


「え〜いっ!過去は捨て去るの!! だ〜か〜ら〜、アタシもみんなと一緒にいろいろすることにしました〜!!」


「・・・?は?、一緒って?・・・アルバイトとか撮影旅行とか?」


「はい!それ〜!」


「それ〜って、そんな勝手なこと出来ないのでは?

旅行はさておき、春・夏・のはお仕事ですから採用されなければ・・」


「「大丈夫ですよ」」

「むしろ蘭先輩が来てくだされば喜ばれるかと」

「お盆の頃ですので準備も間に合います」

「それに、会長や瑞樹さんも参加されてはいかがでしょう?」

「さっそく後ほど確認してご連絡いたします」


「決定〜!今年はいちだんと楽しめそう〜〜!!夏樹ちゃんの旅行はいつ?」


「いつって・・・、七月後半の一週間ほどですが・・・、あの・・・、女性はちょっと無理かと。」


「なんで、だれか一緒とか?女の子?」


「いえ、一人ですが・・・、決まった宿に泊まらない予定ですので」


「なにそれ?キャンプ?」


「駅寝です。切符も普通列車しか乗れないので目的地まで時間かかります」


「なんかスゴイね〜!たしかにちょっとハードそうだけど、でも面白そう。」


・・・・しばらくブツブツ考えている蘭さん。


「じゃあ!瑞樹ちゃんの旅の途中でどこか1日合流とかしない!」


「ああ、それでしたら大丈夫かと思います。僕もなんか嬉しいですし」


「場所とか良く解らないから計画お任せね!よい所見つけたら日時連絡よろ!」


「解りました。希望とかありますか?」


「夏!と言えばやっぱり海〜!!。ポロリもあるかも〜!?」


・・・・おちついて旅を楽しめないかも・・・・






「あら楽しそうねえ、夏休みの計画かしら?」


ああ、会長。お手伝い一段落ですか。


「リン〜!楽しいイベント盛りだくさんだからね!期待してね〜!」


会長、嬉しそう!


「ところで、蘭が出したのかしら?」


クローゼットを指さしてます。・・・・まさか・・・


「え〜・・・、なんのことかしらぁ・・・?」


「タタみ方で解るの」


「・・・・・・・」


「あとでゆっくりお話しましょうね。・・・一条くん、何か見ました?」


「いえ、いえ、まったく見ておりません!!!紫色の布とかも知りません!!!」


「まあ、良かったわ。後で・・ゆっくりお話しましょうね」




<<出したのは春・夏・だろ!>>


蘭さんと僕の心の声。

いやいや、蘭さんは共犯でしょ〜。



その春夏姉妹は見つけた漫画に顔をうずめている。完全に逃げですよね。

ああ、ピョン吉ですか。ひろしですか。京子ちゃんは好きなタイプです。

面白いですが、40年前の少年漫画がなぜ今ここに有るのでしょう?

いや、それよりもピクリとも動かないのオカシイデショ!アヤシイでしょ!!




「お二人も一緒にお話しましょう」


「「・・・・はい」」






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