10 白鯨とエイハブ
<10 白鯨とエイハブ>
見とれていました。並んだ女神・・・、いえ、そんな高貴な言い回しが
自分の頭に浮かぶわけもなく・・・。まあぶっちゃけ
「しびれまくりな女たちだぜ、もうたまらねえ!」
「声、出てますわ」
あ~・・・、またです。
「まあ、素直な男子高校生の感想として許しておこう」
ありがたきしあわせです。周りからも感謝の言葉が聞こえているような・・・。
「これを着けてね」
「・・?これは・・・、皆さんが足に着けているサポーターみたいなものですか?」
「そう。重要なアイテムなの」
「はあ・・・・。」
そう、ここに並んだ女性達はみな左足のももに黒いサポーターみたいなものを着けています。
「ほら、蘭が虫の印を隠してた絆創膏。あれでは少し目立ってしまってかわいそうなのでね」
「・・・・でも、なんで皆さん同じように着けているのでしょう」
「それは蘭だけでは可愛そうですし、わたしたちグループの目印にもなるからそろえようかと思ったの」
「あ~、共通の印・・・みたいなのですね」
「それに、何かあったらすぐ身元が判るから」
・・・・何かって・・・・不吉な・・・
「やはり救命方法はマウスTOマウスがよろしくて?」
「気をつけます」
謎です。でも、目立つから・・・の割に、ぎゃくに目立ってしまっていますが。
しかも・・・ちょっと目線を上げるとキワドイ部分に・・なので自然と見てしまいますが・・・。
「まあ、嫌らしい目だわ」
顔、赤くして言わないでください!!目はすいぶんと小悪魔です。
会長は白のビキニで・・・右横がヒモ状に布地無いデザイン。
あ、なんでしたっけ・・・、ストール?をさっと巻きましたので、今はもう見えません。
「次のサービスタイムは1時間後だわ」
そうですか・・・。
蘭さんはワンピース・・・でしたっけ、上下一体のなのですが、
なぜでしょう?すごく身体の凹凸が強調されて見えます。ああ、ダメです。
直視できません。
「頑張っているねえ~。だいぶ鍛練できてるんじゃない~?ほら、ほらぁ~、どうだ!」
ヤメ!!!やめてくださ~~!!持ちません。
「「・・・・・何?」」
やあ、なんだかホッとしました。
純粋な高校生がここに居ます。じつに健康的な少女二人。
「いいのかな~?」
「そんなこと思ってて??」
・・・?
両サイドに立たれた。やな予感。
「「ねえ、お兄ちゃん」」
「な・・・・なんで腕に身体を押し付けるのですか~~!!」
「写真の」
「お礼です」
「「今日はわたしたちを深く感じてくださいね」」
あ~~~、今、自分の人生で最高地点なのかもしれません~!!
このまま奈落へ落ちるのか?俺??
「そう!ハッキリ言って今日はお礼だな!」
「写真を撮っていただいたお礼よ。」
「「二度とないかもね~」」
え、今日限定・・・、残念・・だけれど、今日を最高な日にしなければ!
「私はメアリーの格好だったから、今日、沢山撮ってあとでいただけます?」
「・・はい!もちろんです!!全力で撮らせていただきます!!!」
「恥ずかしいわ。全力での攻めって」
あまりおおっぴらには撮影できませんが、アレコレとメンバーの「健康的な」写真が
撮れたと思います。自分的にはもう少しつっこみたいのですが、抑えることが良策。
しかし・・・・、思春期の青少年にはキツい・・・。蘭さんこそ抑えて欲しい。
・・・・!あ、会長に睨まれている・・・。脳内スキャンされている?
あああ・・・・平静平静、モハクハキハ・・
「・・・蘭」
「?ん?何~!?」
「・・・・食事にしますわ」
あ、危険回避出来たのか?ちょっと安心だけれど・・・後でお目玉・・とかもコワイ」
今回も!会長自らのお弁当〜!
手軽な感じでホットドックとか、シザーサラダとか!
とは言え、どこか一手間入っているようです。
「会長、いつもすごく申し訳ない気持ちで・・!」
「気にしないでね。好きでしていることだから」
「いや〜!リンちゃんってスゴイ!いつの間にこんな才色兼備なお嬢様になったの!?」
「まあ、おだてないでください。」
「でも、会長って」
「不思議な謎がいっぱいですね」
ほんとに、謎だらけです。
蘭さんとかはなんとなく解ります。直線型なので。
春・夏・姉妹も謎だけど、その方面キャラかな?でわりあい可愛い系?
慣れてくると普通に喜怒哀楽が有るようだし。
でも会長って、実際にアダルトな時もあれば、意外な少女的な時もあります。
基本は自分を出さない謎キャラ?
「僕も思います。会うたび会長の深さが魅力的。。。と言いますか・・・」
「あら、もっと言ってよろしくてよ」
「・・・はあ。・・・。では、なんかお姉さんってな感じです」
「実際に学年上ですから」
「いえ、もっと違った・・」
「・・・そんなにおばさんくさいかしら」
「・・・、そんな極論言ってません〜!」
「いいんじゃないの〜!そう見えるなら見えても〜!」
「「会長の落ち着きが、すごく安心・・・と思えるのかもしれません」」
「嬉しいような、複雑な心境だわ」
「あ〜、あたしももう少しリンみたいに大人になれれば、良い男を入れ食いだろな〜」
「蘭は充分じゃない。悩殺ボディーで・・・ですわ」
「ありゃ?今なんか微妙なこと言われた?」
「いっぱい食べてね!」
「リンだって充分・・・・ね」
「あら、もう食べないの?残念ね」
「・・・美しいです」
「嬉しいわ」
なんだか会話の間に妙な空間があります。平静でいようっと。
「会長。昔からそのようなかんじだったのですか?」
春香の質問。
あ、なんか吹いたような?
天井に何かあるのでしょうか?会長。
「蘭さん、どうでしょう?昔の会長って?」
夏美の質問。
あ〜、食べてる食べてる・・・。口に入りきらないようですが・・・蘭さん。
じいーっと見入る春・夏・姉妹。なんだか逃がさないぞ風です。
「あ〜、それじゃあ、謎を暴露大会しちゃう〜?」
「ら、蘭!。・・・何を言われますの?謎なんてありませんもの」
「まあね〜。なにか秘密をカミングアウト大会〜とか!」
「なによ、秘密って」
「う〜ん、そうね〜。好きな人が居る・・とか?。いわゆる恋バナ〜」
「そんなのあなたが一番有利じゃない!」
「なんでよ〜!?」
「年がら年中発情期なんだから」
「うわっ!そりゃひどすぎ!」
「事実でしょ!」
「う〜、もう!こうなったらリンの秘密もばらす!」
「・・・無いわよ!」
「・・・あのさ、リン・・・。さっきからちょっとキャラ変わってるけど?」
「・・・・! まあ、私としたことが。恥ずかしいわ」
会長のなにかが見たような・・・、聞こえたような・・・。
「「で、蘭さん」」
「会長の秘密」
「その1をお願いします」
容赦の無い春・夏。姉妹です。
「ききた〜い?」
「「ぜひ!」」
「蘭!」
「あれ〜?無いんでしょ〜!?秘密」
「・・・う」
「じつはね〜、リンはね〜」
「・・・」
思いっきり睨んでます!なんかコワイ・・・。
「私より年上よ」
「・・・?え?」
「「会長、同学年ではないのですか?」」
「それは間違ってない!」
「?」「?」「?」
「ダブったの!」
「え〜!!会長が!!!」
「「そんな!会長がですか!?」
「だってたしか成績優秀とか!?」
「あ〜、成績はすごく優秀よ!」
会長、横向いて黙ってます。怒っている顔ではなさそうですが・・・、少し寂しそう。
「じつはね、リンは2年ほど学校お休みしてたんだ」
「・・・・あ、休学?」
「「・・・・それでですか」」
「そっ!で、去年1年で、今年2年に進級したのよ〜!」
「・・・では、ほんとうに会長は大人の女性なのですね」
会長、顔が赤い。少し恥ずかしそうにしてます。
「お体が悪かったとか?」
「たんなる家庭の事情っての」
「「そうなんですか」」
「もう、蘭ったら・・・。」
そこで、会長、あきらめたみたい。
「ご免なさいね。ほんとうは前から言おうとしてはいたのだけれど・・・、なんとなくタイミング逃してしまって。」
ああ、ほんとにすまなそうに・・・。
「あまりにもみんなと楽しかったから。だって、やっぱり年が離れていると少しひいちゃうでしょ」
「会長!まったく無いです!とは言い切れませんが、今の僕は、もうそのような遠慮する気持ちは無いと思います。」
「「わたしも同じ気持ちです。前も今も会長は会長のままだと思います。」」
「ほんとに嬉しいわ。みんな、これから同じように遊んでいただけます?」
「「「もちろんです!」」」
「ね!リン気にしすぎだったでしょ!」
「ええ、そうね。すこし楽になって、ほんとうに嬉しいわ」
「ほんと、心から入れなかったのはリンの方だと感じてたから。無理やりだけれど
走らせてもらっちゃった!」
「わたしを思って?」
「もちろんよ〜!」
「ほんとに?」
「・・・・、少しカチンとしました」
「・・・・」
「「ご免なさい」」
最後は二人で謝りあってます。
ほんとに仲の良い二人。
「でも、蘭さんもスゴイです!まったくのため口だから思いもしませんでした!」
「まあね〜!長いつきあいだからね〜」
「・・・蘭?」
「!てことで!はい、これからもTMSをよろしく〜!」
と言って立ち上がる蘭さん。
バッ!
「キャ!」
「サービスタイム午後の部始まりです〜!」
会長のストールをはぎ取って高々と!
あああ!白いビキニが目に焼き付きます!!
あ〜、もう逃げられない。このドキドキ生活から逃れられない自分。
これからもずっと、この白色を追い続けそうです。