タワーマンションは本当に「成功の証」なのか? それとも「馬鹿と煙は高いところへ上る」のか?
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は各都市で見られる「タワーマンション」の価格が高騰していることについて、その価値に相応しいものなのか? それとも買っている方が愚かなのか? について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
最近は中古のタワーマンションの価格が下落したという報道があったんですけど、基本的には右肩上がりと言われています。どれぐらい上がったんですか?
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000336.000018769.html
筆者:
上の記事と同じマーキュリーの調査ですが、2004年では東京23区で5,300万円、大阪市で3,864万円だったものが2023年には東京23区で1億1764万円、大阪市で7,863万円と共に平均価格は2倍以上の金額になっています。
https://www.kenbiya.com/ar/ns/research/price_trends/8700.html
東京都都心の不動産価格ではあの80年代のバブルの頃を超えた金額となっていまして、
それだけこのタワーマンションが価格を押し上げていると言えます。
◇タワーマンション購入者の戦略
質問者:
正直言って、展望台などはたまに見るからこそ新鮮味があるのであって毎日見て景色は飽きないんですかね?
筆者:
そもそも、そう言う思考でタワーマンション購入者は買っていないと思います。
なぜならこのように中古価格も含めて20年で2倍ということは買って住んでしばらくして飽きたら売る――この工程で「家賃が無し」若しくは「売却益」が出る状況になってきたんです。
普通の新築の家であれば入居してすぐに売っても「中古」扱いになり価格が10%以上下がることになります。そのためにローンを組んだ後、すぐさま離婚をして家を清算しようとしても売却価格が残ローンを下回るという「オーバーローン」と言う現象が起きてしまいます。
それに対して、価格が20年で2倍に上昇してきたタワーマンションは通常の新築の家とは全く異なり持っているだけでお得という「存在そのものが規格外」とも言えるので買っているのだと思います。
質問者:
それならどうしてそもそも価格が上昇しているんでしょうか?
日本は人口減少なのにタワーマンションだけ価格が跳ね上がるなんて妙です……。
筆者:
これは過去の要素ではありますが、2024年までは相続税や固定資産税においてタワーマンションは売買価格よりも安くなっており有利になっていました。
https://chester-tax.com/encyclopedia/26808.html
そのために、相続税対策のためにタワーマンションを買うセレブな高齢者の方が多かったわけです。
また、最近では減っているようですが、2024年ぐらいまでは中国人がかなり買っていたというデータもあるようです。
最近では台湾の方も増えているようですが、外国の方の購入率がそれなりにあるのは「円安」の影響を大きく受けており、日本円からするとバブル更新ですが、世界的に見れば安い方なのです。
さらに近年では株高などにより、1億円以上の資産を持つ方が3%にもなっています。
いわゆる「億り人」と呼ばれる方が出てきているために元手のある方が増えているのです。
これらの要素から日本人の人口減少とは対照的に「買える人は増えていた」と言う歪な要素があるんです。
※逆に言えば格差が拡大しているとも言えます。
質問者:
日本の景気が良くなっていないのに妙な株の上昇による格差拡大や、円安と言った社会問題がタワーマンションの暴騰を生んでいるわけですか……。
◇タワーマンションの難点
筆者:
しかし、タワーマンションに大きな問題があることも事実です。
例えば階層が高ければ高いほど降りて上るのに時間がかかります。
駅の近くにタワーマンションがあることが多いですが、エレベーターのスピードや台数次第では意外と早く家を出なければ電車に間に合わないことも多いようです。
また、災害時においてはエレベーターが止まるので徒歩で何十階も上り下りしなければいけません。「セルフ箱根駅伝」が始まるんです。
更にタワーマンションは海が見渡せる景観が良いところに建っていることが多いので、地震が起きた際には液状化や地盤沈下のリスクもあります。
勿論、災害対策が盤石なところもあると思うのですが、平屋や低層マンションにはないリスクがあると言えます。
質問者:
確かに高い階層であればあるほど価格は高いですが、その分リスクもありますよね……。
筆者:
お金がある方は「時間を買う」ことが出来るポイントも多いと思うんですが、タワーマンションは「金を払って時間を浪費」しているという皮肉なことになっていますね。
また、景観や安全面、強風による飛散防止などの理由から、高層階ではベランダでの洗濯物干しが禁止されているところがほとんどです。
つまり常に室内での乾燥を求められ電気代が上がります。
更に高い管理費・修繕積立金がかかり、余程余裕がない方でない限り普通に暮らしているだけで出費が低層よりもかかってしまいます。
質問者:
だからこそ「タワーマンション居住者=お金持ち」というイメージにもなると思いますけどね……。
筆者:
ウーバーイーツの配達員がタワーマンションへ入れない、または届けたがらないことがあるようです。https://financial-field.com/living/entry-502101
主な原因は、厳重なオートロック、入館受付やエレベーターでの長時間の足止め、それに伴う配達効率の低下があるからです。
そのために、配達品を取りに行くためにわざわざ下に取りに行かなくてはいけないこともあるそうです。
質問者:
筆者:
都市伝説的な話では6階層以上では妊娠率の低下するなどの健康問題が心配されています。
https://medicaldoc.jp/news/news-202408n0798/
30年以上前の研究であるために最新の研究が待たれますが、
階層が高いほど電磁波を浴びやすいことや低層から上がる際の気圧の変化など様々言われています。
またこれは場所やタワーマンションの質にもよりますが、日射による高温化、遮音性の問題、インターネットの回線が遅いところもあるようです。
◇「ホンモノ」ならば問題ない
質問者:
何だかそんな情報を聞くとタワーマンションってかなり危ないような気がしてきますね……。
筆者:
ただ、一つ勘違いしないで欲しいことがありまして、
「タワーマンションにも種類がある」
と思うんです。
一等地にあり、セキュリティも完備され上の課題の大半が解決・軽減されている「ホンモノ」であるのなら、メリットの方が遥かに大きいという事です。
しかし、世の中には「なんちゃってタワーマンション」と言うのも多くあるんですよ。
質問者:
筆者:
建築基準法で高さ60メートル以上――だいたい20階建て以上の建物を「超高層建築物」と呼び、その20階を超えれば大抵は「タワマン」と勝手に名乗れてしまうんです。
先ほど質問者さんがおっしゃっていたような「タワーマンションに住んでいる方はお金持ち」という感覚が社会通念上広まっているために、「見せびらかしたい」という欲求を持っている方御用達の「なんちゃってタワーマンション」と言うのがあるんですよ。
こちらの1級建築士のNOTEによりますと、
https://note.com/kenchiku_career0/n/na645e3a16f8e
デベロッパーは24年ごろから販売価格を上げつつも「マンクラ語法で減点されない範囲で、見えないところを削る」戦略を取り始めているそうです。
※マンクラ語法とは購入した物件を将来売却する際の「資産価値・換金率」を示す業界用語のようです。
具体的には
・スラブ厚の薄化
⇒ かつて250〜300mmが標準だった高級タワマンで、200mmに戻す事例が増加、遮音性の低下に繋がる。
・直床への回帰
⇒ つまり上の階からの音が聞こえやすくなる
・ハイサッシの削減
・共用部の簡素化
・基準階を増やす
⇒ 同じ規格を量産すれば安くなる。
と言った事をやり続けているようです。
このようにグレードが従来より下がったものが24年ごろから増えているのもタワーマンションの値段高止まりの要因なのかなと思います。
質問者:
なんと……新築でもそんなにグレードが下がったのであればスペシャル感がありませんね……。
筆者:
ですが「ブランドイメージ」と言うのは凄まじく「高い=良いもの」みたいな先入観も強いです。
しかし現実は「ただ単に値段が高いだけ」である可能性もあるんですね。
そうなると、タワーマンションだけでなくホンモノと紛い物を見分ける力と言うのも大事かなと思います。
表題の『タワーマンションは本当に「成功の証」なのか? それとも「馬鹿と煙は高いところへ上る」のか?』の答えについては、「モノによる」し、見極めた人次第と言う感じです。
もっとも、僕のような庶民としては平屋を立てて住むぐらいが最大の贅沢と言えると思いますけどね(笑)。
本当に価値があるものと言うのはお金では買えない信頼だとか愛情だとか安らぎと言ったものなのかもしれませんけどね。




