Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #85
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #85
カメラが切り替わる ここからは時間との勝負
カウンターの下を確認する事もなく 奥へと進む隣人 その気配
残念だったな
そこにオレはもういない その少しだけの ほかに興味…ヘイトを向けた できた時間 十分だ
スニーク N’ ハイド やっとその真骨頂 しゃがみ歩き エレベーターへと近づく
動くものさえなければ…こいつらはヘイトを変えない いまは音の方が優先 ならバレなければ、見つからなければその間だけ、有効
足元にあるモップ 鼻ザルが死んだとき 落ちた 拾う 用心の為
あと 一階へと降りた後にある あいつらの為
用意しておく よく保つ なんだっけ? ドロなんとかみたいだ
しゃがみ歩きでは…足のギブスが邪魔 だがもう痛みはない 急ぐ
エレベーターはこの階にある 動かしてはいない ならここにある ボタンを押す
これもしゃがんだままできる ゲームでは立たないとできなかった 有利な点
さあ開け 開いて…閉まればオレの勝ちだ
?
ボタンが反応しない 光らない 上のカウンターも…暗いまま
何度も押す まったく反応しないボタン 動く気配すらないエレベーター
………どういう…そういうことか
キムの話し プレイヤーの認識がゲームを上書きする? 思考を読み取って そうする
脳裏によぎる そんな考え では…こうバケモノがいる 出てくるのは…オレの思考?
そんなことを考えている暇はなかった
「グワアアアアアアアッ」
後ろ ナースステーションから隣人が姿を現す 歓喜に呻く 蠢く 向こうのドアから出て行ってくれてよかったのに
そんな好都合にはいかない どうしてもオレへの標的は変えない
仕方がない…でももうここにサルはいない 死に戻っても…なんの問題もな……
ガッ
隣人のスピードが一気に上がった ドアの前から…目の前へ 最期に近寄る時のスピードが…まるでサルのもの テレポーテーション
サル真似
まさか 能力を奪ったのか? 倒したから?
喰った奴の能力を奪うってんならわかる いや わかりたくもねえ
でもこれはサルのものに近い ワープ
ありえるのか? そんなこと いや このゲームではありえない
この思考さえ 心理的誤謬
そう思わされているだけの 生き残れると思わせられる糧 目の前のニンジン 二本でも…なんだったか
片手だけを前に伸ばした隣人はオレの顔面に手のひらを押し付けた 殺人犯が良くやる 見ている人に対する、恐怖を演出する動作 視界を遮られることを人は恐れる だから成立する挙動
骨と皮だけの掌 固い指先 しわが皮膚へと食い込む 指紋も生命線もない 死んでんだから当たり前か
背後へと押し付けられる 女性とは思えない力に頭蓋骨が軋む また指を目に入れられる 簡単に潰れる眼球 右目もどうしても潰しておきたいか 善良な生者ならやらない仕打ち
そのまま
頭蓋骨が砕けた 内部にあるものが…握り潰される おお?
SkullSquashedDead
レアだ!
頭蓋骨が推し潰される時…かなり痛い そのあとも痛みが続くが…こんな死に方 会ったことがない
そのまま オレの身体はエレベーターのドアを背に、ずるずる、と滑り落ちる それを不思議そうに見送る隣人
へたりこむような姿勢になったオレを隣人は…喉元を掴んで ホールへと投げ捨てた
べしゃり
そんな音を立てて死体が床にへばりつく
背中から馬乗りされる 簡単に割られる背中 僧帽筋、背筋を無理矢理 両手で力任せに引きちぎる 背を開く 肺は無視だ 背骨が邪魔なのか…ちょうどいいところでふたつに割った
背中から背骨を出した哀れな屍体
そうしてから…胸のあたりに反対側から手を入れ込む ぶちぶち 動脈、静脈が引きちぎれる音 心臓を取り出す
喰う
あらゆる内臓を引きちぎって…喰っていく 一番うまいという太ももの肉 ハラミなんかは無視 男性のハラミは旨くないか あれは女性のか、牛のだから美味いんだ
背中を割られて 反対から内臓を引きずり出される 即死なのに…その痛みを感じさせられる
そして喰い終わる 満足する 立ち上がると……
エレベーターの前に立った
そうなるだろう
自然に不自然に
そのドアが開いた




