Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #67
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #67
目が醒める 寝ている…薬品棚の中か 燭台が食い込み痛い スピンナーを…ガラスがないかズボンの上から確認する
ある 二つとも残っている 痛いのはガラスか…なんとか取り出す ? スピンナー ガラス破片 それに…紙? これも入れておいたか? 分からないが…手に入れたものは所持していることになっている? なんてゲーム的な
体も直っている 左手の傷も頭ももうない いや頭はある 首の傷もない
そっと、棚の中から斜め見る 即座には出ない 誰もいな…いや
誰かが立っていた…男? キムか?
ただ…動きがおかしい 左右に揺れ、意識がないようにふらつく
いわゆる…立ち気絶というやつだ なんで格闘ゲームはわざわざ立ってふらつく? 気絶したら昏倒するのが普通だ
ゲーム的優位性というやつか 這い出る
目の前に立ったというのにキムの目には生気がない こちらには気づかない 回った目でふらつくだけ
これは何回か死んだな
死に戻るとこんなふうになる 意識が戻るまでに時間がかかるようになる 死に慣れてその快楽に酔うようになり、生への不愉快さに意識が覚醒を拒否する
寝ているのと同じだ
「キム、おい、大丈夫か? 気がつけ」
頬を叩く やや間 やっとキムの目の焦点があった
「ああ…マイケルか? あんた…なんだよあれ! なんだあのサルども! あんなの…インチキだろうがっ!」
そう叫ぶ ゲームの難易度に文句をいっても仕方がない
「三匹もいるって聞いてないぞ? なんだよあれっ」
胸ぐらをつかみオレに迫る
「オレに文句をいってもなんの解決にもならないぞ」
「はあ?」
今にも殴り掛かりそうな勢いでキムは目をむく だから脳筋はバカなのだ
「お前…相手がどんな風に動いているのか見てもないだろう? それでは格ゲーもハンターもハクスラでもダメだ。自分が相手を叩くだけでクリアできるのなら、モグラ叩きでもやっていればいい。そうでないから、そんなゲームをやっているんだろう?」
頭を使え 知恵を巡らせ 相手を見て先を読め それができないのなら…下手の横好きだ
さっきのオレ自身の行動は…誰も見ていない いう必要もない
「サルどもには明確な知覚感知がある。どれも分かれている。目がいい、耳がいい、鼻が利く。出た瞬間、襲ってくるのは耳ザルだ。アイツは物音に敏感でドアの開く音だけで飛んでくる。次が目、範囲内で動くものにはとにかく飛びつく。最後が鼻、上手く隠れたとしても臭いで気づかれる…臭いとかいっているがゲーム的になにかほかの感知範囲があるんだろう。アイツらはハイドNシークを完全に潰しにかかっている。三匹同時に相手をするのは無理だ。お前の腕の攻撃範囲はどれくらいだ? 全員を巻きこめるのか? でなければ…個別に撃破するしかない」
そのための武器アイテム ユニーク装備だ 銃でもいい
「だからって……」
そこまでいうと明らかにキムは消沈した こいつもか…いや、この国の奴らはどうも精神的に、というか心理的に脆いところがある 国家の栄華が自身の自尊心になっているが、それが必ずしも救いになっていない 虚栄
隣のどっちの国かはわからんが
「お前は…偉大なる熊の子孫なんだろう?」おまえの国なら教科書でそう教わっているはずだ「なら倒せるはずだ。ここはそうなっている」
たぶんな
「ああ、そうか…なんにでも攻略法はいるんだったな、確かにそうだ」
うむ、無双脳はこうでなければいけない
「本来なら…ネタバレは嫌いなんだが…攻略法を教えてやろう。見ていろ」
中央へのドアへと近づく 都合のいいことにドアが開きっぱなしだ そこから手を出してドアを叩く
?
耳ザルがこない
何度か叩く だが、耳ザルが飛んでこない ホールを斜め見ると…耳ザルが少し離れた位置でこちらを凝視し窺っていた
学習するなAI 攻略法が違ってくるだろうが
「なんだよ、なんも起こんねーじゃねーか」
そうだな…やはりムサい男では幸運は起こらないな
なにか…ふと、あるアイディアが浮かんだ




