Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #55
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #55
薬剤室のドアの位置はL字になっている 東棟から入ると右に薬剤室が伸び、その先が中央へのドアだ ナースステーションはそれとは真逆 左右対象になっている
すぐ横のドアも開いている これは…まあいい そこから奥へ、ジュディが向こうの扉を開けて通ったことが目の端で見て取れた
こっちのドアはいい オレが通りやすくという配慮か ただ忘れてっただけか どっちでもいい
西棟への扉に隙間がある きちんと確認していないが…目の端でなんとなく分かる なんでドアをきちんと閉めて行きやがらねえ ちょっとだけ開けていく?
ドアの向こうで待ってる? 通りやすいように開けていった? オレがここを通り抜けられると踏んだ? 確かにその方がオレ的にはいい 人形部屋にも行ける
が、ここでオレが死んだらどうするんだ、お前は
全女性にはこういいたい
ドアはきちんと閉めろ
サルは扉を開けられない それはドアノブを回せない、という意味合いのほうが強い ボタンも押さない だが開いてるのならそこは通る 一階で開放した場合、この状況になって、廊下中を歩き回る
そのほうが楽な時もある ばらばらだからだが…いまは困る
ここでオレが死んだら、こいつらはたぶん、このドアを通って向こうへ行く
ジュディを追って
もう一度いう 全女性に対してだ
ドアはきちんと閉めろ
薬剤室、ナースステーション共に灯りがつき、明るい ここは錆びてもなく、赤黒くも、血飛沫の痕もない ただ荒らされているだけ
LEDでもない 昔ながらの蛍光灯 だから明滅するし、薄暗い
「キシャアアアアッ」
薬剤室は安地だ ここでリスタートがはじまる だからエレベーターホールから薬剤室へはバケモノは行かない 行けない そうなっていると考える 隣人だけはなぜか別 特別
だが…ナースステーションは違う こっちは向こう側だ
「ギャアギャアギャアギャアギャア」
目ザルが威嚇する 歯が見えないというのは視覚的威嚇にならない 恐ろしくない 生命はきちんとそういう風にできている
ゆっくりとナースステーションへと向かう 一瞬だけ視野が柱で途切れる そこを上手く…
ガツッ
いきなり足を殴られた ギブスの上 鋭い痛みが走る
まだ死んでねえのか こいつ
見ると血だらけになった耳ザルがない顔をこっちへと向け、出来てない威嚇をする 手を伸ばして足を叩かれる
起き上がる 同時に目ザルがものすごい勢いでカウンターへ来た
ここは狭い 燭台を振り回せない 耳ザルは起き上がったがまだ機敏に動けそうになく、ふらつく
「キシャアアアアッ」
唯一、無事な目ザルが、威嚇する 映画などでよくみるサルの威嚇行動の画 ただ、声だけでそれができるとか思っている時点で失敗だ
燭台を持ちつつ西棟へ続くドアへと近づく 気を抜くな 突くようにして、威嚇
あと少し 手を伸ばせ そう思った時
バタン
ドアが勝手に閉まった 思わず扉を凝視してしまう あいつ、気がついて閉め……
たわけではなかった
ガチャリ
鍵が閉まる 自動的に 閉まったドアの表面にペンキのような赤いインクでマークが引かれていく
×
………
いや、たしかにドアはきちんと閉めろとは思った 思ったが…こういう意味じゃない
封鎖してほしいわけじゃねえんだ そこはわかってくれ
そしてこうも思う
オレをここに閉じ込めたやつは、どうしてもオレだけは逃すつもりはないらしい
サルの腕がオレをぶちのめした
KnockOutDead




