Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #51
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #51
「クワシマ」
まるで愛しい夫が帰ってきたかのような軽い感覚でジュディが飛び込んできた いままでのことがまるで嘘のような変わり身の早さ 違和感 これはまるで……
「やったわ、わたしできたの、すごい、すごいよね、まさかナースを2体も燃やすなんて、きゃー、うそ! すごい? ねえ、すごいよね? できるとは思ってもなかった…それにいった通り、カウントが治ったの、どうして? なんで知ってたの? ねえ? やっぱりクリアしているとそんなことまでわかるの?」
残念ながら女性を抱きかかるような文化はこっちにはない 入れ物がどうかは知らないが、拒否していないように受け流…「いまなんて?」
「カウントが治ったの、もうこれで大丈夫。次はどうする? これを……」
「いや、そこじゃなくて……」
「? 人形部屋まで行くんでしょ?」
なにいってるの? というような顔と目で逆に問い詰められる 両極端 さすがにこのゲームをしているだけはある
「ナースがどうしたって?」
いまので、いくつか聞いておかなければいけないことができた
「そうなの、蝕台を取ろうとしたら動かないの、どうしても取れないからどうしていいかわかんなかったらナースが入ってきちゃって…で、えいやって台を倒したらちょうどナースに当たって燃えたの。それで蝋燭が取れたから急いでクワシマのところへ戻って燃やしたってわけ」
すごいでしょ? と決めポーズをつける 可愛く…まあいい、燃やした?
「………どうやって火をつけた?」
マッチはまだ手に入れていない
「ライター」
「ライター?」
どこにそんな…
「持ってる。これで点けたのよ」
そういうとジュディはポケットからふたつ、アイテムを取り出した 赤い100円ライター それと…ガラスの管 これは……
「まさかライターでもいいとは思ってなかったからびっくりした」
「そうか…」
アメリカでガラスの管…使うのは限られている そこは…いい、保留にしておこう
するとあのナースはワンダリングだったのか 徘徊は色が違う? また、謎が一つ…違うな、確かめることが一つ増えた
「それで? 次はこれでサルどもを燃やす? ああ、ナースヘッドも……」
燭台を儀仗のように誇示する 首を振るだけにとどめる
「ジュディ、蝋燭は使用回数がある。しかもこれはランダムだ、1回で消えることもある。使えなくなったら…わかるな?」
こんな重要アイテムにまでトラップが仕込まれているとはふつうは思わない やらない 心理的ミスリードもここまでくると病的だ
「あ…そう、そうね、そうだったわね…うん、大丈夫。そうだ、そうだったね…気を付けないと」
途端に辺りに目をやり、ソワソワしだす 躁と鬱を行ったり来たりか 双極型か境界型か適応か…今はどうでもいい それよりも時間がない タイミングが合えばうまくいく ダメなら…ジュディだけでも逃す オレだけなら…何度でも死に戻るだけだ
突破できるかどうかはわからないが




