Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #43
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #43
「ジュディ」
声をかける 一瞬だけ、身体が硬直した おもむろに振り返る
驚愕 憤怒 泣き顔 それから
バシンッ
なぜか殴られた
「ホワァイ?」
思わずそんな疑問形 発音は…許してほしい
「ヒック」ボグッ
「ウウッ」バグッ
「グーッ」パグッ 「ウウッ」バグッ 「グウウッ」パタッ
「ああもう、泣くか殴るかどっちかにしろ」
何度も殴られる そのうちグーパンチになり、やがてオレの顔から胸に落ちて、止まった
ぽろぽろぽろぽろ 床に涙の雫が落ちて、跡を残す
なんてパターンな…そんなふうに思っていると歯を食いしばるジュディが顔を上げた
パグッ またグーパンチ
「あんたが死ねばいいのよ」
そんなこと…「あれはお前が悪い。警戒も何もせずにあんなことしたら死ぬ。それは分かっているだろう?」
このゲームをやっているのなら
「ぐうう」
これぞ、ぐうの音も出ない…か 出ているが
「痛みはなかったんだろう?」
あれならほぼ即死だ 痛みを感じると同時に意識が飛ぶ オレのようになっていなければ、の話だが
「あったわよ、なによ…ものすごく痛かった、やだもう、やだ、やだ。死ぬのなんてもうたくさん、一回だっていやだってのに…何度も、こんな、こんな死に方してどこが楽しいっていうのよ! もうやだ、帰して、なんでわたしだけ、こんな目に合わなきゃいけないの…ここもどこも結局一緒じゃない……」
そうか
「お前はひとつ、勘違いをしている」
「……何がよ?」
「ここで死ぬのは楽しくない、楽にもならない。ただ…戻されて絶望させられるだけだ」
「そしてその絶望こそが生への望み」
「……ばかみたい」
そうだな、そんな風にいっておいてなんだが
「自分でもそう思う」
どこまでいってもそうでしかないのが実情だ




