Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #42
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #42
意識が戻る 恍惚感と後悔 ふらふらする 余りの多幸感に意識を失いそうになる
薬剤室
ふらつく ふらついた頭で中央へのドアを開ける
呆気にとられたように耳ザルがこちらを向き、飛びかかってくる 遅れて目ザル 鼻ザルがつづく
殴られる 殴り倒される なにが楽しいのか、床に触れ伏したオレをサルたちはその手で殴り続ける
骨が軋み 傷む 何度も床に頭を打ち付けられ、跳ね返り、それが気に入ったのか 繰り返される
足に 手に 噛みつかれる 腕を引きちぎられて、右肩から先を失う
その腕をこん棒のように使って、殴られる
ギャアギャアギャアギャア うるさい奴らだ
オレはこっから先に用がある お前らに関わっている暇はない 退け 先に行かせろ
「ギィヤャアアアッ」
サルの顔面にペンを突き立てていた
残りのサルが怯えたように一歩だけ、退いた 顔のない顔で威嚇する体表現 無意味
サルが腹ばいになって…背中を見せて 手足をばたつかせる 激しく動いた後
血走った目でオレを激しく叩く へっこんだ顔に不自然にペンが刺さっている 顔の内側にある目に憤怒の表情が浮かぶ
「がはっ」
胸を潰される 息ができない 肋骨が折れた感触 肺に突き刺さって抉られる 傷む 呼吸ができなくなる
ざまあみろ
そんな意識をしたまま 殴られ続けた
そして画面が落ちた
LungCrushDownDead
ホールにジュディの身体はなかった
意識が戻る ふらつくがそれだけだ
ああ…本来ならここでこういわないといけないのかもしれない
この乱場・ラル 戦いの中で戦いを忘れた
やってしまった 余りの心地いい死に方に我を忘れてしまった
あの死に方なら何度でも試したい 楽しみたい 味わいたい
という感覚と
ここからどうやって進める 脱出する?
という意識がせめぎ合う
あの部屋はあんなんじゃなかった
攻略が違う
もう少し慎重に 死に戻りを考えて
そう思ったとき
目の端の違和感 意識を向ける いつの間にか
017
数字が変化している
短いようで、長い どうやって変わるのか、法則がわからない
左手も足も、背中も首も頭も眼球でさえ、痛みがない 包帯を解く 傷なんて元からなかったような左手 直る身体
なんてゲーム的な
まあいい いまは考える時間がいる
あまり長くは考えていられないが
中央の扉へと向かい、鍵をかける 大きく鳴る音 直後
ド、ドドドドドドンドンドンッ
「ヒィッ」
猛烈にドアを叩かれる ドアが揺れる、演出 開けられないくせに騒ぐな、サルども
これをどうやって抜けるか…手段を考える
「ウッ ヒックッ スッ スンッ スゥッ ウッ ウウウゥ」
いい案は浮かばない
嗚咽のような鳴き声 静かに囁くように秘かに 漂う
ただ泣いている
「ウウウッ」
道具入れを開ける 声はそこからしている
「!」
器用に こちら側に背を向けて ジュディがそこで泣いていた




