Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #33
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #33
夢の中で走るかのようにその進みはゆっくりだ 時間の歳差知覚 それでも心臓は跳ね上がる
息が上がる アドレナリンが分泌されたような身体 視野狭窄
なるべく音を立てないように それでも急ぐ 転んだら終わる 松葉杖は使用できない
壁を手に駆ける
もう少し 振り返るな ここまで来たら気が付かれても良い 脇に抱えていた杖を取り出す 振り上げる
体ごとこっちへ向き直ろうとしていたヘッド・ナースの茎首、目掛けて松葉杖を振り下ろす
ブッ
鈍いタイヤでも叩いているような感触 杖が弾かれて跳ね上がる 体勢を崩す
「ブゥギュビュベラグヴュウェアー」
意味不明な声を上げて、ヘッド・ナースが首だけをこちらへ、体は向こうで そんな体勢となる 頭だけを上から折り曲げて、こちらへと伸ばす ひとつひとつの瘤の内部のびっしりと並んだ細かい歯 開け閉めをし、不規則に動かし、噛み付こうと、首ごと伸ばす
四つ腕も振り回すがそれはわかっている 背中のほうには伸ばせない 人間らしく作りすぎだ 身体挙動
右手を差し出す 噛み付かれる 防ぐ 痛む だがそれだけだ
ゲーム的にはそうなる ギブスを噛まれる こちらでも上手くいった
杖で体を押す 叩く 短い距離だが威力は…現実的には落ちる どうなる?
ヘッド・ナースがギブスの味を嫌がり、離れる 怯む
叩く 現実には女性を叩く趣味はない スパンキングをするぐらいで許してくれ
四回目で杖が壊れた Y字の先で割れる 粉々に…?
割れた?
尖った先端がそこにあった
瘤がオレの頭、目掛けて噛み付こうと首を伸ばす 無視する 左肩に鋭い痛み 包帯がなかったら耳を持っていかれていただろう
左目の包帯が外れて、邪魔をする 気にせず突き立てる
体ごと尖った杖の先端を、身体へと 突き立てる 鈍いやや厚い肉を貫く感覚 音
意外なほど、看護婦長の体は柔らかかった




