Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #32
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #32
製作者心理として、アイテムやなにかを手に入れる直前にはかならず、困難を設定したがる
簡単にものを手に入れることを嫌がる
簡単に手に入れられるものは価値が低い 安い 粗末に扱われる
困難を克服することで達成感が発生する 手に入れたものに愛着、情が沸く 優越感
やっと手に入れた 克服したである
以前なら、ここで瓶を使う どちらでもいい 一時的に無効化する これでそこの鍵が手に入る
今回、その手は使えない
ぐずぐずしてはいられない
カウントは続く
狼狽えていてもいつかは終わる 戻される
約束された安息の地、なんてものはここにはない
薬剤室から出られずに終わる
それだけなんとしても避けなければいけない
同じことを繰り返すのはエロゲーのシーン回収だけで良い それ以外は愚か者のすることだ
手の届く範囲のドアに手をかけて、回す 開かない 大きくなるうめき声 近づいてはいないのに、近づいてくるように聞こえ来る声と歩き
看護婦長は変わっていない ここでならまだ気づかれない
ゆっくりと ぎりぎりまで近づく
なにかに気がついたように反応する 辺りを窺う
こいつは倒さないと先へと行けない
いまある手を考える ペン 紙くず 松葉杖 呼び鈴 よく持てたものだ
呼び鈴を左手で持つ 失敗したら詰む 女子トイレドア前が察知位置 抜けなければ気が付かれない
窓際に寄る なるべく 呼び鈴を放り投げる
当たらないように 祈る 祈る? そんなもの無駄だと知っているのに
左手で行うことには失敗確率が存在する かなり高い 完全ランダム 対象でそれが変わる、ということがない
たぶんそうなっている
一度で成功するときもあれば、永遠と失敗し続けることもある
ドアを明ける時も、鍵を明ける時の大きさも、転倒したときの振動さえも、すべてランダム 違う
幸運に慣れたものたちからしたら、そんなことは耐えられない
幸運であると思うことに慣れたものたちからしたら、それは耐え難い
上手い具合に呼び鈴はその向こう側へと届いた 落ちた 音を立てる
看護婦長が首を巡らせて 向いて 花を開かせる 頭を開く 猫背 音を窺う
背中を向ける
壁を杖代わりに一気に近寄る
こいつはここで倒す




