Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #24
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #24
道具入れを閉める ジュディがなにかいいたそうにしていたがそれは後だ
松葉杖でそこで待つ 隠れる必要はもうない 何度か死んでみないとわからないことがある
扉が開く うめき声が聞こえない?
「うっわっ どうしたんですか? こんなところで? ここは薬局で、入院患者さんはあまり入らないでもらいたいんですが……」
男だ 眼鏡 短髪 白衣を着て、神経質そうな痩せこけた頬と目
誰だ? このゲームにこんな奴は出ない
そもそも……
バケモノが徘徊しているところを無傷で通り抜けてきた?
オレが驚愕しているとそいつは手短にあったカルテを取り、ペラペラめくり、何かを調べて
「ああ、なるべく早く出ていってくださいね? もう看護婦たちはなにしてるんだか…わたしは忙しいのでこれで…ここは危険な薬品があるので、あなたも病室に戻ってください」
そういって…入ってきたドアとは反対のドアを開けて出ていった
追いかける
そっ
といま、男が出ていった扉を開ける 無条件にドアが開き、通り抜けて、動けるのは向こう側…なんてことはない
息をのむ
明るい 普通のようにみえる暖かみのある病院の廊下 淡い色の壁に太陽の光が反射している
ただし
誰もいない
シン、と異様なまでの静けさ 空気が振動していない真空のような冷たさ
ドアを閉めて、鍵をかける 鍵は普通にかかった
道具入れを開ける ここにジュディがいなかったら…それはそれでいい
立っていた 存在している
なんでかこちらの推移を見守っていたらしい
「なに? いまの?」
「わからない」
嫌な予感がして、中央棟へのドアを開ける いま、男が入ってきたところを確かめる
同じだ
明るい 錆びひとつない廊下 淡い色に包まれている 血痕も血飛沫の痕も何もない
ただし
誰もいない 外からの音さえない 異様なまでの静寂な空間
遠く、どこからか鐘が鳴る音がした
今日が本当のクリスマスらしいです




