Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #17
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #17
「ヒッ」
すばやく道具入れを閉める 薬品棚の下へと入り込む そう何度もこの手は使えない
こちらからは対象が見えない 中央への扉はオレが入ったところの反対、背中側にある ここを確認したいのなら道具入れから見るしかない
「ウゥゥウウウウウウ」
なにか粘っこい音と呻きを上げながらゲストが入ってくる ここにはバケモノしかいない 隠れてから…
しまった
気づく 隠れる必要がない 松葉杖を出したままだ
戻れるのだ 杖はアイテムでゲームでは狭いスペースに入っても邪魔にならなかった 死ぬほど痛く、その光景を見せられるが、それはたいしたことではない ここではこの大きさは邪魔になる
死んでも、ここから見ていても同じ 少なくとも対象を確認してからでよかった
何かを探すようなゆっくりとした足運び 一歩一歩 ものすごく遅い 記憶を探る
足が遅い 医師 二階にはいない では誰だ?
やがて足が見えた 斜め上に視線を送る
?
裸足 オレと同じ入院患者が着る病院服 襤褸で擦り切れていて黒い液体の跡がこびりついている
外側の肉がこそげ落とされた足 足首から上は骨が見えている 合間から筋か腱が垂れ下がる
わき腹が大きく切り裂かれている 皮が垂れ下がり、中は空洞 白く見えるのは肋骨か?
顔が…真ん中で半分に裂かれていた それぞれが左右の肩に乗っかって不規則に前後に揺れる
こいつは…どんなふうに世界が見えているのだろう?
少しだけ興味がわき、次の瞬間……
ドシャッ
という音とともにその場に膝をついた 両方の口が同時に開く 舌も半分だ…半分に切り裂かれていても同時に動くのか 神経で動いているわけではないのだろう 不思議だ
「グゥアアアアアアッ」
酷いダメ声を上げて、前後にヘッドバンキング 蠢く
その後ろ
ちょうど真後ろに
きれいな金髪をなびかせた少女が立っていた
手に血と粘膜をこびりつかせた、刃物を持って




