Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #119
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #119
雨が降っている
カードキー 簡単な話し…開くと閉まるのボタン 開くを押すと…スライドしてドアが開いた 自動ドア そこを抜けると……
「Help me……」
雨が降っていた しとしとしとしと 日本の梅雨のような降り方で 滴るように 染み入るように 小粒の雨が降っている ただ……
赤黒い 血の雨だ
「天井がないな……」
「ああ…それにやけに暗い。3階は…こんなではなかった」
3階 東棟 必ず来なければいけない所 ここの奥…E-304号室 スタート部屋の真上 そこにあるマッチ クリアするために絶対に必要なアイテム だが……
「Help me……」
その廊下 こんなではなかった どこからか聞こえる…助けての声?
辺りの壁 ただ上へと伸びて行く ほかと違い…ただ錆びて黒い その先にあるはずの屋根 屋上 天井 遮るものがない 壁は…無限に上へと伸びているような演出 だが、途中で闇に溶け込むようになくなり その先は…深淵 真っ暗だ
開け放たれた頭上 雨が降る 明かりはほとんどない 時折、白い雲か靄が通り抜ける
「寒いな」
半袖の腕をさするキム 扉の横にアイテムを置きながら 持てる物は全部 デッキブラシ 燭台 モップ 立て看板をドアの間に挟んでみる ここが開かなかった時のための…ムリだった
「ああ…ダメだな。あっちへと移動させられた……」
「Help me……」
まるで 向こうから誰かが引っ張ったように 戻っていった 誰がいるというか……
「マジかよ? こっちからは…開けられるのか?」
「お前はどう来たんだよ」
「取っ手があって…ねえな? どこいった?」
オレが聞きたい
ドアの固定は一旦 諦める こちらからは…開きそうにない 周りを触ってみるが…とっかかりさえない
マジか…ここもまた 閉じ込めるための罠?
辺りを確認 廊下は…下と同じ構造 ただ…天井がない そこから雨が降る
「濡れて体力を奪われることはなさそうだが……」
空気が澄んでいる 冷たい 吐く息が白い 血の雨なのに…生暖かくない 体が赤黒く染まっていくが…染み入る水分はすぐに乾き 濡れていく、という感覚もない 床には水滴が作る波紋 だが、水が溜まっているようなこともない 壁から滴るような水滴のエフェクトさえもない
「Help me……」
おかしい いやな予感しかしない
「下手に動くなよ、キム。ここはおかしい、何か…!」
まずいなこれは…直感的にそう思う なにがまずいのか? まではわからないが…とにかく、まずい そこにある階段 それにマップ それを確認しよう…とする前に キムが気づいた
「マイケル…あそこになにかいる? わかるか? モンスターか?」
「Help me……」
「ああ…だが…近づいてこないな? 待て、キム……」
無防備に 前へと出るキム 警戒はしている
「モンスターはおれに任せるっていったよな? ちょうど飽きてきてたとこだ…この辺で暴れないと体がなまっちまう」
「Help me……」
肩から腕を回し 三日ぐらい、ケンカしなかった不良 みたいにキムはいう お前な……
廊下の奥 真っ黒に落ちていく先に 僅かに Y字のように立つ何か 鈍い…グレイの光 磔にされたジーザスクライスト それに似ている
「Help me……」
声はそいつがいる 奥から聞こえている ような演出? これは……
「不用意に近づくなよ、キム。これは絶対罠だ」
「ああ…それぐらいおれにもわかる。ヤバい感じがビンビンしてるぜ」
ビンビンって…お前どこの昭和だ? 翻訳か……
ゆっくと 慎重に 近づく まるで…こっちへ来い そんな風に見える、頭の上に伸ばした両腕
「Help me……」
「助けてくれって…知らない奴にいきなりいわれてもなあ? そうだろ? マイケル…修道女と一緒だな、これは…行かないとわからないって奴だな」
「ああ そうなんだろう。だが、気を付けろ、何かがおかしい」
「んなこたあわかってる、だけどもう負ける気がしねえんだよ、ここではおれが一番だ」
そうかい…じゃあ、それはまかせ…!
なんだ? いま何か光った




