埋められていく外堀
外堀が埋められていく音がする。
何故か僕は上咲さんの両親の向かいのソファに座っている。
両方、とてもいい人そうで柔和な笑みっていうの?めっちゃニコニコしてるの。なんで?
そして、そんな僕の内心は助けて、これ一択。いつの間に僕プロポーズなんてしちゃったの?
彼氏でもないのに心臓バックンバックンなってるのはおかしくないと思う。
「霰、この子がママと霰が言ってた?」
「そう。厳刃 幻さん。」
「ふむ······幻くん。」
「はひっ!·····あ····」
やばい。これもう終わった?学園追放されちゃう?友達ひゃっくにんでっきるっかな〜♪の前に退学案件?
上咲さんのお父さんもプルプル震えちゃってるし····終わっ
「っふぅぅぅ。すまないね。こんな所で男の娘に出会えるとは···。しかも娘と恋仲だと言うではないか。っと、危ない。尊みが溢れ出るところだったよ。
さあ、気にしないで存分にラブコメしてくれ。」
····ってなかった?もしかして······終わってなかった!!??
「お父さん。」
「どうした?霰。」
「さっきね、プロポーズされたよ。」
「超展開キタコレ?マ?」
うん。さっきから微妙にって言うかだいぶズレてる気がするけど放っておこう。そうした方がみんなは喜んでくれる気がするし。みんなが誰かは、知らんけど。(テンプレ
そして、これだこれ!
「僕、プロポーズなんてしたっけ?」
「忘れてしまったのですか?『これからは僕に───』ってやつですよ。あんなに情熱的で感動的なプロポーズ、一生忘れられませんよ。」
「え?」
「「「え?」」」
あれってプロポーズ判定なの!?ちがうよね?上咲さんがお花畑なだけだよね?(何がとは言ってない)ていうか、まだ告白すらしてないのに·····って、まだって告白いつかはするみたいじゃん!
「とりあえず、あれはプロポーズとして言ったわけじゃ······え?」
「「グスッ·······グスッ·······」
え、えええ!?上咲さんと上咲さん父が大号泣!?僕が悪いの?
「いやぁ、いやだぁ!!けっこんすりゅぅううううぅぅぅうぅう!」
「男の娘が····男の娘が···男の娘が···」
理事長は呆れ顔である。んだコレ?
「阿鼻叫喚ですね。とりあえず、このアホ亭主は置いといて、どういうことか教えてくれます?責めてる訳ではなく、むしろ何故こんなおもしろ···ん゛ん゛ん、何故こんな状況になったのかが知りたいだけです。」
そうして僕は、部屋であった一切のことを話した。やましいことなんか微塵もないしね。
「あれ?うちの娘ポンコツ属性持ってたかしら?
まあ、幻くんに非は無いことは最初からわかっていたから学園追放ものに乗り換えはしないから大丈夫よ。」
なにやら意味深な単語が聞こえた気がするが、まあ気にしないでおこう。
「厳刃さん。」
「あ、上咲さん?正気に戻った?頭痛くない?だいぶ泣いたでしょ?」
「うう、正妻だぁ。結婚しよ?」
「嫌····ではないんだけど年齢考えなよ?僕達はまだ15歳でしょ?ていうか、お付き合いもしてない人に結婚なんて言っちゃダメだよ?」
「「「じゃあ付き合って!!!」」」
うおっ!?急におとうさん復活した!?
「娘からファーストハグ奪ってねぇ。」
なんすかそれ?
「私を騙して泣かせてねぇ。」
うぐっ
「うちの可愛い娘、可哀想に···」
うっっ
「わかりましたよ!付き合います!付き合いますから!」
「「「いよっしゃぁぁぁぁぁ!!!」」」
いやさ、すっごいチャラ男に見られないかなぁ。会って一日で彼女ってなんで?一目惚れってやつ?······ないか。
さて、外堀が埋められ始めてからが元喧嘩最強の見せ所やで!(エセ関西