登校・入学
NTRは禁忌。
ややあって、現在登校している。ランニングでこの辺りは通るので迷うことも無い。うちは駅とはほぼ真反対にあるためか人通りは少ない。
途中でちらほら同じ制服を見かけた。他学年は休みとなっているらしいので彼らも同じクラスになるかもしれない。
学校に近づいてくると、人通りも多くなり制服の人も増えてきた。大概の人は友達なんかと喋ったりしていて楽しそうだ。·····ぼっちは俺だけか。
べ、別に寂しくなんかないからな!
窓の前にクラス名簿が貼ってあった。···俺は1-3か(視力2.0)。出席番号は11番。1人だけ厳つい漢字をしていたからすごい分かりやすかった。
下駄箱に靴をしまって、学校指定の上靴に履き替える。1年生が1階A棟、2年生が2階A棟、3年生が3階A棟にそれぞれ1組2組3組4組の50人ずつのクラスがある。
教室に着いたら自分の机を探す。えーっと、どこだろ。あ、1番前じゃん。1列10人?まじか。アリーナ席じゃん。まあいいけど。
「よろしく。」
はぅあ!?話しかけられた!?僕が!?
「ぃよ、よろしく、」
「はいよろしく。俺の名前は田中 陽斗。よろしくな。」
「う、うん。僕は厳刃 幻。よろしく。」
「ああ!あのゴツい漢字!?てゆーか僕?男なの!?ボーイッシュな女の子かと思ってたわ。へー。まほろって読むのか。よし!今日から友達な!幻!」
「うぇ!?あ、ああ。うん。よろしく。」
そういうとどこかへ颯爽と駆けて行った。
···なんだか嵐みたいな人だったな。そう思わざるを得なかった。でも僕みたいな陰キャ気質の人からしたらあんなふうに明るく話しかけてくれる人の方が案外相性がいいのかもしれない。
「ねぇ。」
また話しかけられた。しかも女子だし。
「···はい。」
「正直言います。······すっごくどタイプ。もうやばいです。いやね、百合とかそういうのではなくてですね。·····ん?なんでズボン履いてるのです?え?男子?え?えええええええええ!!!!!」
悲報、僕は女子に見えるらしいです。
確かにね。身長は低いですよ。150台ですよ?でもですね。一応160近いんですよ?身長気にしてるんですよ?はあ、泣きたくなってきた。
「ごめん、ちょっと。異性にあなたがいるだけで神に感謝しかけてしまいました。フゥーッ、フゥーッ、ハァァァァァーーーーッ。危ない所でした。危うく犯罪者になる所でした。」
この女子はなぜか赤くなっていたがまあほっといて、これも何かの縁だろうし友達になっておきたいな。
「僕、厳刃 幻。趣味、筋トレとランニング、あと読書。」
「ん?ああ、自己紹介ですね。私は上咲 霰です。趣味は料理と同じく読書です。どんなジャンルを読んでいますか?私はラブコメ一択ですね。純愛しか勝たんです。」
「わかりみが深すぎるよ。NTRは忌むべき負の遺産だよね。」
「「うんうん。」」
なぜだろうか。この人とすごく仲良しになれた気がした。
「今日から友達でいいかな?」
「もちろんです!·····あなたが望むならそれ以上でもいいですけど。」
「え?ごめん、最後の方聞き取れなかった。なんて言ったの?」
「な、なんでもありません。」
「う、うん。」
女の子って難しい。
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「これで、106期生、入学式を終わります。起立、礼、着席。」
入学式はつつがなく進んだ。ただ、突っ込みたいところが2点。
その一。何故僕が首席合格なんだ!!もっと高得点いたでしょう!なんで!?
その二。上咲さん、生徒代表挨拶の時、こっちを向いて手を振るな!こっちは恥ずかしくて仕方が無いんだよ!
もう、ヤダ、、、。お嫁に行けないってか?元々いけねーよ!
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「今日からこのクラスの担任となる高輪 春名だ。出身校は清鸞高校からそこそこいいところに出ている。清鸞高校では4年目の教師だ。よろしく!」
うわ、出たよ熱血系女性教師。酒癖絶対悪いよ。
「みんなのことを覚えていきたいから···1番から順番に自己紹介してくれ!」
·······飲んでなくても酒癖悪かったわ。
教室が地獄の空気に染っていく中、ついに幻の番が来た。
「厳刃 幻です。」
「···それだけか!?誕生日は!?」
「2月14日。」
「趣味は!?」
「筋トレ、ランニング、読書。」
「好きな人は!?」
「いません。」
「元カノは!?」
「いません。」
「よぉーし、分かった!よろしくな!厳刃!」
·····一つだけわかったことがある。
コイツめんどくさい!!!!!
ヒロイン登場(高輪じゃないゾ)