臭い
[おちねえ、落ちねえ あの臭いがどうしても落ちねえ」
会社のシャワー室から聞こえてくる不気味な声。
「落ちないんだ。 落ちないんだよ。」
僕は、カーテン越しに声をかけた
「何が落ちないんだよ。 ペンキでもこぼしたのか?」
「落ちないんだよ。臭いが、、よ。洗っても洗っても落ちやしない」。
思わずカーテンをめくった。中で何が起こっているのか、
やつはこちらに目もくれず、必死に、石鹸で両腕をこすっていた。腕は摩擦で充血して今にも皮がやぶれそうだ。
僕は思わず後ずさりをする。 まさか こいつ!?
以前から危ないやつだと思っていたが、ついに手をかけたのか?ひ、人に!?
ブツブツ声は次第に大きくなっていく。そしてやつはついに絶叫した
「落ちないんだよ。臭いがよ!職に、、職に、、、俺はついに手をつけちまった。リーマンの臭いがおれから消えないんだ。 頼む!!おれをおれをニートに戻してくれ!!。労働が嫌いだったあのころにおれを戻しておくれ」
やつを日本でみたのはそれが最後だった。噂によるとやつは今、世界中をコンサルタントの仕事で駆け巡る傍ら、サンカラストーンとドラゴンボールを集めているらしい。世間的には幸せの絶頂にいるあいつ。神龍とシヴァにこれ以上、一体何を願うのだろう?