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第14話 新パーティ結成 その4

「クルミさんの適正があるクラスは……」


 魔法の水晶球に、クルミの手がかざされている。

 これは古代魔法王国時代の品で、その人がどういうクラスに向いているかを決定するものだ。


 不思議なことに、これで○○の適正がある、と分かった瞬間、その人物にはそのクラスの能力が備わるのだ。

 隠されていた才能を明らかにしているんだろうか。


「出てきました! クルミさんは、レンジャーの適性がありますね!」


「クルミ、レンジャーですか!」


「レンジャーですねー。ゼロ族の人なら、ピッタリのクラスじゃないでしょうか」


 受付嬢がにっこり微笑んだ。

 クルミもニコニコする。


 多分クルミはよく分かってないよね、これ。


「クルミ、レンジャーって言うのはね、屋外で活動するのが得意な人だよ。あとは射撃戦闘や短剣やナイフを使った戦いもこなす。持ってると便利な総合クラスだね」


「なるほどー!」


「俺もレンジャーとしての能力は持ってるから、色々教えてあげるよ」


「ハイ! よろしくお願いします!」


 クルミがよいお返事をした。


「じゃあ、クルミさん。あなたはこれからEランク冒険者です。仕事を十回こなすと、Dランクになりますからね。まずはそこを目指しましょう」


 受付嬢が、クルミの胸元にEランク冒険者のバッジを付けてくれた。

 このバッジ、初心者の証なんだよな。


 だから、Cランクまでしかない。

 逆に言うと、バッジを付けてない冒険者はBランク以上で、一人前ということになる。

 ただしそれじゃあ、自称冒険者と区別がつかない……って言うんで、パーティ証の提示で身分証明になるようになる。


 まあ、Bランクを超えてくると、大抵のところには顔パスなんだけどね。

 この俺、オースは、ろくにモンスターもテイムできなかった割に、ギルドでトップクラスの冒険者の一人、Sランクなのだ。


 今ならブランもいるし、胸を張ってSランクを名乗れるな。


「ああ、そうそう。オースさん!」


「はいはい」


「クルミさんと、外にいるワンちゃんでパーティでしたよね。名前は決められてるんですか?」


「あ、名前か……」


 俺はちょっと考え込んだ。

 ショーナウン・ウインドは、あいつの自己主張が激しいパーティ名だった。

 俺はもう少し謙虚でいたい。


「モフ・ライダーズで」


「はい、モフ・ライダーズ」


 モフモフしたモンスターが今後も集まってくるであろうこと。

 そして多分それらに乗ったりすることを考えての命名だった。


 モフモフをたくさん集めたいという、俺の願望も入ってる。


「パーティランクは、クルミさんがEランクですから、上限が自動的にCになります。Cランクパーティとして登録しますね」


「了解了解」


「センセエ!!」


 クルミが元気よく手を上げた。


「はい、クルミ」


「なんでCランクなんですか?」


「うん、いい質問だ。それはね、クルミみたいなEランクは、冒険者なりたての初心者なんだ。そんな人を、難しい冒険を受ける高いランクのパーティに入れたら危ないだろう?」


「危ないのです?」


「この間のバジリスクみたいなのがわんさか出てくるんだ。危ないに決まってる」


「ひええ、ほんとです!!」


 クルミが尻尾まで震え上がった。

 とても物分りがいい。


「だから、Cランクで止めておくんだ。あまり難しい依頼は受けられないランクだからね。クルミがBランクになれば、モフライダーズもBランクパーティになれる」


 実質、Bランク以上のパーティは、構成員も全員Bランク以上ということだ。


「考えてみたら、俺はSランクパーティ結成のために、おまけでSに上がったのかもしれないな」


 ふと思いついたことを呟いたら、受付嬢が笑った。


「あはは、ナイスジョーク」


「えっ、なんで!?」


 他の冒険者達も、ゲラゲラ笑っている。

 なんでだ。


 ともかく、今日はショーナウンの奴らとも再会したし、クルミの冒険者登録も澄ませた。

 バジリスク粉はかなりのお金になったしで、大満足の一日だった。


 明日はクルミの装備を買いに行こうじゃないか。

クルミの適性が明らかに。

そしてオース安定の謙虚さなのである。


本日は休日なので三話更新。

お昼過ぎと、夕方に更新します。


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― 新着の感想 ―
[一言] 明らかにオースがいたからSランクだったんすね(笑)
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