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第四十五話 中東・2


アリクの話もあってか気持ちが解れた空真とレイ。

鼻歌を響かせるタクシーを尻目に支部に無事着くがそこで強烈な違和感に気付いた。

そう、支部や国政拠点がある中心地区は被害なく綺麗なのだ。


「政治家とWOOの癒着か、とか言わないでくれよ。」


装飾なく素朴で複雑な屈折をしたガラスが開かれ支部長(あるじ)が出迎える。


「住民に死ぬほど糾弾された上、君たちからもそう思われたら少し傷つく。」


屈託のない笑顔見せる浅黒い青年。彼の顔からはここが戦時下の国とは思えないほどの朗さ。




中東系、いや正確にインド系であろうか。




空真は一見でその特徴的な入れ墨と服の刺繍から知識の和を心中に結びだす。


「おー!よくわかったね!そうだよ。ボクの母国はインドさ。」


空気が凍る、時間が止まる、言葉が詰まる。

空真が無意識に言葉にだしたわけでもない。


「君がレイくんか。そんな気張らない気張らない。役に立つとか立たないとか、ボクは気にしないよ。」


「!?」


目が飛び出さんかぎりに眼を見開くレイ。

そう彼は――――。


「ん?そうだよ。ボクは人の、いや神経ネットワークベースなら全生物の思考がある程度分かるよ。」


「いや、あの…」


「ぶっ飛んだ能力だなんてそんな…人をバケモノみたいに思わないでくれよ。」


「ご、ごめんなさい。ではなくて…!?」


「あーなんで来るのが分かったかってこと?うーんどこから話したら…。」


顎に指を当て考え込む。その好青年ぶりはとても一支部の長とは思えない。


「(やりにくい…)」


当然この空真の本音も筒抜けである。


「あーボクが先回りした話は確かにやりづらいね。ごめんごめん、気遣いが足りなかったよ。」


慌てふためき幼さと男らしさの両面を併せ持つ顔から汗が吹き出す。身も蓋もない言葉で言えば相当な"イケメン"、だ。


「はい、能力オフにしたよ。言いたげだった言葉をどうぞ投げかけてくれたまえ!」


「では…。あのどうもこの周囲2km程度が妙に、いや普段と変わらないほど整ってるのはどういうことなんでしょう?」


レイの問いに空真も相乗りする形に続ける。


「ありえない。そうなのは分かってるが戦時下にしては異質だ。どんな理由が?」


「そうだなぁ…。うん、ここじゃなんだし兎にも角にも中に入りな。」


ウインクに招かれるまま2人は支部へと入る。





 *






オランダ バーク 国際司法裁判所内特定会議室



「これより非公開尋問を始める。」


「被告、名前を。」


「本名を言いなさい。」


裁判長と思しき3人の言葉により始まる。


「あら、尋問なのに弁護士も検察もいないのはどういうことかねぇ。」


「どうもこうも無いわよ。」


「困ります。非公式といえど勝手な発言は・・・。」


「黙りなさい。次()()()()()に異論を唱えたら二度と木槌握れない職に飛ばすわよ。」


大統領(オカマ)の一声が場を支配する。


「些か遺憾ではあるが米国の発言に同意ですな。これは"私たちの場"。あなたたちは黙ってこの場を用意する、それだけでいいのです。」


髭を蓄えた老獪は睨みをきかす。

ドイツの頂きに立つ者の凄みである。


「米、中、露・・・、それに独、日、英、仏とは恐れ多いねぇ。」


尋問(処刑)は、始まったばかりだ。

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