銀のつまびき
銀月がかがやく頃、どこからか琵琶のつまびきが聞こえてくる。うつくしい調べ。月が花嫁を呼んでいるのだ。
今日は佳き日。月と花嫁の祝言の日。
けれど小夜(さよ)はそんなことを知るよしもない。ただただ、姉との別れを受け入れられずにくすぶっている。真黒な感情が小夜(さよ)をつかまえに来て、だから森のなかをひた走る。途方に暮れてさまよい出たのが、この祝言の席だった。
これは銀月夜のちいさな幻想譚。(2006年執筆/一部改稿)
今日は佳き日。月と花嫁の祝言の日。
けれど小夜(さよ)はそんなことを知るよしもない。ただただ、姉との別れを受け入れられずにくすぶっている。真黒な感情が小夜(さよ)をつかまえに来て、だから森のなかをひた走る。途方に暮れてさまよい出たのが、この祝言の席だった。
これは銀月夜のちいさな幻想譚。(2006年執筆/一部改稿)