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賢者の石・設定資料

はい、お騒がせしました! 第二期開幕です! ああ、やめて! 石投げないで!

《世界観》

・土地

 《蔵書の女神》によって作られた名もなき世界。

 大陸等の形状は現実の地球に酷似しているが、相違点も多数ある。

 北マリューヒル(北アメリカ大陸)は天空に浮かぶ浮遊大陸。

 南マリューヒル(南アメリカ大陸)は峻厳なる山岳大陸。

 アスリア大陸(アフリカ大陸)は、巨大な大河たちに大陸を分断された大陸

 イビルフォール(オーストラリア大陸)は大穴があいた海の底にある暗黒の大陸。

 唯一まっとうなのはウラシア大陸(ユーラシア大陸)のみであり、古代からの人類の繁栄圏でもある。



・魔力

 この世界に存在する不可視のエネルギー。本来持つ属性は、高度な自我を持つ(言語が理解できる)存在の意識に反応し、変化する万能エネルギー。

 各文化圏によって呼び方は異なるが(霊力・法力・チャクラ・マナetc..)大本は同じもの。

 だが、意志に反応し変化するという性質をもっているがゆえに、人びとが未熟な技術で調べた《霊力とはこういうモノ》という研究成果=信仰によって性質を変えてしまい、今では様々な制限と、複雑怪奇な手順を用いなければ正しい変化ができなくなってしまっている(魔術・神術・陰陽術などはその手順を体系化したもの)。

 本作品の舞台――日ノ本においては、《霊力》と呼称される力であり、変質する前の意志だけで変化させることができる霊力を《原始霊力》と呼んでいる。

 後者は主に神霊などが使うものであるが、ごくたまに《自分に不可能はない》という強い自信を持っていたり、神々の加護を得たりした人間がこれを使う場合がある。


…†…†…………†…†…


《種族》

 この世界には多種多様な種族が存在しており、人間以外にも多くの知的生命体がいる。


:人間

 もっとも数が多い知的生命体。ウラシア大陸を中心に生存権を展開しており、莫大な人口と多数の国を要する。だが、それゆえに国家間での争いが絶えないうえ、寿命が短いので、過去の知識が失伝する場合が多く、歴史的に見て反省することが少ない種族。

 同族同士の殺し合い(戦争)や、自分たちが世界で一番偉いという勘違い(人種差別)が絶えないということで、他種族からは敬遠されている場合が多い。


:獣人

 哺乳類は当然のごとく、蜥蜴や虫すらいるというかなり種類が豊富な種族。

 というよりかは、猿から進化したのが人間で、それ以外から進化して人型になったのが獣人。つまり、ルーツ的にはほとんど人間と変わらない。

 物語の舞台における日ノ本においてはそれが周知されているため、ごく一部を除き迫害を受けることはないが、イウロパ(ヨーロッパ)では人間と比べて数が少ないため、迫害の対象となっていた。


暗黒(アスリア)大陸人

 イウロパ南部にある暗黒大陸――アスリア大陸には、多種多様な種族がいる。

 獣人・蛇人・魚人・精霊人・魔眼人・人(肌が褐色)その他もろもろ……。

 未開の土地である上に、それぞれがそれぞれで少数の部族を作り、村落単位での閉鎖的なコミュニティーを構成しているため、正確な種族数と人数は、把握されていない。

 そのためここではアスリア大陸人ということで一つにまとめておく。


吸血鬼(ヴァンパイア)

 元人間であったものが、ある人物からの呪いを受け変質し、莫大な力を持つようになった存在。

 さまざまなものに変化し、人の生き血をすすり、活力に変えることができる。

 厳しい階級制度によって縛られる彼らは、すべての始まりである《大母級(マザーブラッド)》を頂点に、

真祖級(トゥルーブラッド)

上級(エルダーブラッド)

中級(ミドルブラッド)

下級(レッサーブラッド)

 という風に実力による強固な身分制度を構築している。いちおう言っておくが、上の方が強く下に行くほど弱くなる。

 もとは呪いから生まれた存在であるためか、その呪いをレジストできる真祖級・上級あたりは人類の手に余る怪物たちだが、それより下は呪いのレジストに失敗し弱点目白押しなため(銀製武器・白木の杭・十字架等)、何とか人間の知恵で殺すことが可能な存在。

 現在では人類との共存が進められており、定期的な血液パックの保証を条件に、人類を襲撃することはなくなっている。(なお襲った場合は通常の暴行罪犯罪者としてしょっ引かれる模様)。



《精霊種(霊力生命体)》

 生物学的な進化の樹系図が当てはまらない存在=霊力によって生まれた存在。

 この世界において神々が生まれる原理は以下の通り。


『人びとの信仰に反応した《霊力》がその役割を果たせる能力を持った存在をつくり、それに人格付与し、神として形成する』


 ごくまれに偉業を果たした人間の魂(=これもまた霊力らしいが、蔵書の女神曰く霊力を生み出す炉のような特殊な霊力らしい)に霊力が寄り集まり、神として形成する場合があるが……この場では関係ないので横に置いておく。

 とにかく、神・精霊・妖精・妖怪等はこのようにして発生し、この世に生を受ける。

 だが、霊力が変質し、複雑化する中、より安定した種の存続を求め、肉体を構成する霊力を物質に変え、血肉ある存在として現世に降りた種族がいる。

 これが霊力によって生まれた存在=精霊種である。

 現在では多くの精霊種が確認されており、高い霊力制御技術を持つということで、各地で重宝されている。


:ドラゴン

 または《竜》。主に北マリューヒルを生活圏としている精霊種であり、高度な知識と高い霊力。そして、ほぼ無敵と言っていい強度を誇る肉体を持つ、翼の生えた蜥蜴たち(というと怒られるので本人たちの前で入ってはいけない)。おおよそファンタジーのドラゴンを思い浮かべてもらうとこいつらになる。

 四本の強靭な四肢と翼をもつ《四足竜(バハムート)》種。

 蛇に翼が生えたような姿をしている《有翼蛇(ケツァルコアトル)》種。

 後ろ足が退化し、前足と一体化した強靭な翼と、分厚い頭蓋を持つ《翼手竜(リントヴルム)》種。

 という三種類の竜種がおり、南マリューヒルの住人達に神のように崇められながら生活している。

 種族的に見ても地上最強の生命体。

 時たまマリューヒルになじめなかった(もしくは飽きた)竜がイウロパに降りて暴れまわったため、イウロパには多くの邪竜討伐伝説が残る。

 現在では超大国リメリカの住人となり、普通の人間たちと変わらない生活を、送っているとかいないとか……気まぐれな種族なため現在の生活様式には個人差がある。


:エルフ・ドワーフ等の妖精種族

 北欧原産の精霊種で、主な生活圏もそのあたり。ファンタジーにおけるエルフとドワーフの姿を思い浮かべてもらえばいい。

 ただ、エルフはその美しい見た目からイウロパの人間に奴隷としてとらえられた歴史があり、中世では多くの奴隷商たちがエルフ乱獲のために北欧へと渡った。

 それを憂いたエルフたちはイウロパ内の国を一つ占拠し独立国家を樹立。多くの妖精種族たちを保護しながら、人類に対し強い圧力をかけた。

 なお、現在では人類との和解が達成され、多くの精霊種の国民とともに人間も暮らす多民族国家となっている。


:魔獣

 イビルフォールよりやってくるといわれる、人型種族に敵対的な種族。

 魔神なる存在に作り出された精霊種であり、様々な姿をしている。筆頭として挙がるのはゴブリンやオークなどと言った怪物連中。

 世界中に張り巡らされる霊力の流れ――霊脈(レイライン)を通して、イビルフォールから呪いのように送られてくる彼らは、地面から湧き出るように現れ、手近な生命体を襲う。日ノ本においては魑魅と呼ばれ、恐れられていた。

 また、他者を殺すことによって成長する特殊な生態系や、殺した魂から霊力を抜き取り、それを使って様々な技術を習得する《ステータス化》という固有魔法を所有しており、その成長速度には目を見張るものがあった。


:魔族

 魔獣が成長した果てに至る進化形態。見た目はより人間に近づき、高度な知恵をつけ人語すら理解する人型の魔獣。

 中世イウロパにおいては、人間と同等の知能を持つまでに成長した魔族の中の英雄が《魔王》として国家すら持ち、人類の存続すら危険にさらした。

 だが、この世界の第一次世界大戦=《人魔大戦》によって勇者が魔神を殺した際に降伏・和睦。現在では比較的被害が少なかった日ノ本を中心に、人類と友好的な関係を結んでいる。


:妖怪

 日ノ本固有の精霊種。こちらの世界の妖怪を思い浮かべてもらえばこいつらになる。

 元々は人をおびえさせ、そこから生まれる負の感情を食らうという生態系を持つ精霊だったのだが……安条時代(こちらで言うところの平安時代)に生まれた陰陽師や、対魔師によってボッコボコにされたため人類との共存を決断。

 最強の妖怪種族である鬼を筆頭に、今では日ノ本の国民として、平穏な生活を送っている。

 なお、人類との共存を選んだ鬼の代わりに、反抗的な妖怪を取りまとめているのが《天狗》なのだが、鬼との上下関係がはっきりしているうえ、個人主義という種族柄、組織だって反抗しているわけではない。せいぜい山にこもって人間に対する愚痴を漏らしているくらいである。

 現在ではほとんどの妖怪が人間との共存を選び、戸籍も作って税金も払っているが……。


:怪異

 鎌蔵時代後期から現れ始めた、人類との共存を良しとしなかった妖怪たち。

 古き良き「人に懼れられる存在」としての妖怪にこだわり、世界に自分の存在を《現象》として焼きつけた存在。

 具体例を挙げると《夜爪切り》と呼ばれる怪異がいる。夜中に爪を切っているとどこからともなく表れ、背後から爪を切っている人物に攻撃。頭部を箱に詰めたのち、刀によってその首を切断。絶命した人間の頭部をそのまま箱の詰めて持ち去るという物騒な怪異なのだが……この妖怪は現象として世界に焼き付いたため、自我を持っているわけではなく、《夜に爪を切る》という行為をトリガーに発動し、《首を持っていく》という現象を起こす、霊力現象(自然現象?)なのだ。

 実体を持っていないがため、物理・霊的攻撃は一切通用せず、『空気が動けば風が吹く』『マッチをこすれば火がつく』といった自然現象と同列のような存在なので、いかなる手段をもってしても回避・防衛は困難を極める。

 ただ、そういった強力な存在にまで自らを押し上げるためには、同時に弱点も一緒に作らねばならず、現在ではほとんどの怪異がその弱点を知られている。口裂け女がポマードポマードと唱えれば逃げるように、赤いちゃんちゃんこから逃げるための呪文があるように……怪異にはそれぞれ、その被害を回避するための方法が存在するのだ。

 ちなみに夜爪切りの弱点は油である。これを首全体に塗っておくと、夜爪切りの刀が滑って首を斬れなくなってしまい、夜爪切りは箱だけ回収してすごすごと帰っていく。首が脂肪で埋まっている状態でもよく、発生当初は夜爪きりの被害を回避するために、よりふくよかな体系になることが推奨された。まぁ、単純に夜中に爪を切らなければいいだけの話なのだが……。


…†…†…………†…†…


《国》


:日ノ本(=日ノ本議国)

 ウラシアのはるか東。極東と呼ばれる地方にある島国。日本を思い浮かべてもらうとここになる。

 本作品の舞台。

 人間と同じ時期に獣人が発生したため、人間と獣人が共に暮らす変わった国であり、人間以外の種族の数の方が多い珍妙不可思議な国。

 この国において人間は猿型の獣人ということになっているので(実際間違ってはいない)、種族的な迫害も起きていない、そういった意味では平和な国。

 なお、とある歴史から狐獣人に対する偏見を強く持っており、恵土(えど)時代に至るまでは狐獣人はひどい迫害を受けていた。

 国教は、《神祇道》と呼ばれる、八百万の神を崇めた日ノ本土着の神話に基づいたもの。ただ、宗教に関しては非常に寛容なお国柄なため、現代では諸外国より流入した無数の宗教によって祭りが変質。はたから見れば一体何を祀っているのかわからないような奇祭が、全国各地に存在する。


:央国(=央旗人民共和国)

 ウラシア東部のほぼ全域を支配する超大国。

 ただ、歴史的に戦乱が多く、王朝がしょっちゅう変わってしまう為、情報伝達が未熟な時代は、周辺諸国からは王朝の名前ではなく《世界の中央の国》=央国と、呼称された。

 古の戦乱で活躍した英雄たちを殭屍(キョンシー)として保存しており、個人戦力の最強度で言えば世界トップクラス。神様が肉体持って地上で暴れているような奴らが百体単位でそろっている。ドラゴンとも素手で殴り合える。

 ただ、王朝が何度も変わってしまっため、長い歴史を持つにもかかわらず無事な歴史的文化遺産などは少なく、かつて持っていたはずの神話すら失われている。

 現在は共和国家として安定した統治が行われており、平和な国家である。

 なお、無類のモフモフ好きの国民性であるらしく、毛皮のある動物は無条件で愛する上に、隣国の日ノ本の住人の耳や尻尾をモフモフしたいと、常に虎視眈々と狙っている。

 動物愛護団体が最も多い国にして、日ノ本への観光客人数第一位の国。


:イウロパ地方

 ウラシア大陸西部の人類生活圏ヨーロッパもどき。無数の国家が乱立しており、複雑な勢力圏を構築する国のジグソーパズル地帯。そのため各国の権益が絡んだ戦乱が絶えず、これまた国の勃興が激しい地域。

 だが、第一次世界大戦によって西部の人類国家が魔王たちによって一掃され、歴史的なターニングポイントを迎えることとなった。

 その後、異世界から召喚された勇者=勇気英雄により、迫害していた亜人や、吸血鬼・竜種と和睦。魔族を駆逐し、他種族とも迎合の道を進み、迫害も減った(なくなったとは言っていない)。

 現在では、魔族以外の種族は大体いる多民族国家の集合体となっている。国家同士の経済同盟も結ばれているため、歴史的に見ても稀な平和な時代を謳歌している模様。

 最近では新たな仲間として、魔族移民の受け入れに積極的な国も増えつつある。

 イウロパのほとんどの国家が崇める世界三大宗教の一つ――《イリス教》を主な宗教としており、星となった聖人――救世主イリスを崇め奉っている。シンボルは十字星。


:リメリカ合衆国

 北マリューヒルに建国された超大国。アメリカを思い浮かべてもらうとここになる。もとは、イウロパ各国の植民地であったが、独立戦争に勝利することによって独立。

 竜種たちの支援をうけながら、世界一幼い先進国として産声を上げた。

 ただし、資源・土地・人の数は一級品。竜種の強力な支援もあってか、現在では世界で並ぶものがいないほどの力を持つ大国となった。

 自称《世界の警察》を名乗っており、国際機関の本部もほとんどこの国にある。

 現代における世界の中心と言っても過言ではない国。

 一応国教はイリス教だが、多民族国家なため、宗教事情はかなり入り乱れている。


:インダ

 正式名称インダ共和国。日ノ本で長く親しまれる、聖者・(シン)・アルダータが作り上げた宗教――《真教》発祥の地であり、ウラシア東部最大の神秘の国。

 宗教は意外なことに二種類あり土着の多数の神々を奉る《ヒルディー教》と、世界三大宗教の一つである《真教》が混在している。

 世界各地から修行僧が集まる聖地であるがゆえに、ウラシア東部の国々からは恐れ崇められている。

 たまに修行によって人外染みた力を持った僧侶が現れることで有名。この前は山一つを念力で浮かせた人が話題になった。


:アスリア大陸

 一応国際的に国と認められる共同体はあるのだが、ほとんどが昔ながらの民族分立を維持。

 いまだに集落単位での社会形態を構築している。

 それでも他国に付け込まれたりしないのは、あまりに厳しすぎるアスリア大陸の自然環境があるが故。

 かつての征服者曰く――人間が住む土地じゃない。とのこと。

 たまに無謀なテレビ取材クルーが、大自然の生贄になるとか……。

 動物系のパニック映画の舞台は大体ここ。

 宗教はまちまちだが、すべての部族が崇める五大精霊が存在しており、かれらが主な取りまとめを行っている。


…†…†…………†…†…


《その他用語集》


:《五山頂》

 かつて存在した鬼の頭目たち。それぞれ絶大な支配力と、人外染みた能力を持っており、人びとを恐怖へと陥れたが……安条の陰陽師たちの手によってほとんどが討ち取られてしまい、現在生き残っている五山頂は二体のみ(あと一体いると思われるが、そちらは生死不明の行方不明)。

 双方ともに人類との共存の道を選んでおり、ひとりは楽士(ぼうけんしゃ)。一人は大学府の学長を務めている。


楽士(がくし)

 日ノ本固有の職業。西洋で言うところの傭兵・冒険者。

 かつてあった傭兵制度《楽士楽座》が元となっており、公的軍隊に頼めないような民間の依頼――小規模な魑魅の討伐や、採集依頼などを請け負う戦闘職。

 なるために資格などは特に必要ないため、畑を継げない農家の二男坊以下の兄弟たちや、脛に傷を持つ人物の食い扶持を提供している。また魑魅討伐で武勲を上げれば、地方領主たちに召し抱えてもらえる場合もあり、身分が低い人々が出世するためのもっともポピュラーな方法として親しまれた……(ボソッ:命を落とさなければだが)。

 現在でもとある事情で復活しており、日ノ本にはかなりの数の楽士がいる。


:《(あやし)

 精霊種(妖怪)未満の精霊種? 精霊種のミジンコや、ゾウリムシと思ってもらえればいい。

 その小ささゆえ、感知が非常に難しく、物理被害も非常に小さい存在であるため、知られていることはかなりまれだが……玄人の術者たちはその存在を知り、かれらが起こす様々な異常を直して回っている。

 具体的な例を上げると、探している小物がいつのまにかどこかへ消えている《小物隠し》。夜中の闇の中から誰かが見ているような気がする《暗目》。確かに正しく書いたはずなのに、誤字脱字などが生まれる《文字揺らし》などがいる。


:幕府

 鎌蔵時代から近代までの間、日ノ本の政治をつかさどった軍事組織。各地を統治する領主たちを取りまとめ、様々な政治・政策を実行する機関。

 だが、本質としては神皇家より統治権を賜り、それを代理として振るっているだけなので、神皇家の機嫌を損ねると統治権を返さなくはならないという、便宜上は雇われ政治家。

 もっとも、その神皇による統治権返上命令が出されたことは少ないが……。


:神皇家

 かつて日ノ本を作った神々の血を引く、日ノ本で最も貴い血を持つ一族。要するに日ノ本の皇族である。

 祖先である龍神の血を引いているため、龍の鱗を体のどこかに生やしており、戦闘の際には龍神の血を活性化させ、顔を除く全身に鱗を生やした、《龍人》となる。

 そのほかにも鱗から莫大な霊力を噴出して加速したり、口から光線を吐いたり、片手で竜をなぐり殺したりともうやりたい放題。

 種族的に見れば恐らく日ノ本最強の血統を持つ。だが、神皇家統治の頃に起こった数度の政治腐敗や、もう政治そのものが面倒くさくなったということから、現在は統治権を幕府に譲り安条京の宮殿にて引き籠り生活を送っている。

 ただ、神として奉られた歴代神皇の魂と交信することができるため、過去の失敗のフィードバックができており、統治者としてはかなり有能。

 幕府が腐敗などした場合は、遠慮なく強権(物理)をふるい、その統治権を強制返還させる。


:皇続十二院

 神皇家の血族が還俗した際に与えられる《院》の苗字を持つ高等貴族たち。幕府に統治権が移って以降、日ノ本には貴族がいなくなってしまったため(貴族位を幕府に返還する代わりに武士としての身分を得た)、純正貴族と呼べるのはこの十二院のみ。

 といっても特に権力とか持っているわけではなく、だいたいは維持管理費が馬鹿にならない京域のでかい屋敷をどうしようかと思い悩みながら、平民と変わらない商売をしながら過ごしている。

 だが、その血統と院の名前が持つネームバリューはピカ一であり、多くの商人と提携を結んで、皇族御用達の商品を作り売り出していたりする、日ノ本の《財閥》の原型となった人々。

 総資産的に見れば幕府を軽く上回るとかなんとか……。


:《神階迷宮》

 現代に入ってから確認された、世界の頭上に広がる、異なる空間にある迷宮。

 莫大な資源と、広大な土地……そして強力な武器などが眠っており、人類は新たなフロンティアとして、この迷宮の開拓にいそしんでいる。

 ただ、この迷宮には《守護獣(ガーディアン)》と呼ばれる、怪物たちが生息しており、その探索は困難を極めていた。そのため、世界各地で、なくなっていた傭兵制度が復活させ、民間人の力を借りてこの迷宮の探索を行っている。

 発見したのは日ノ本議国で、発見当初はこの迷宮の利権をめぐり第三次世界大戦が勃発した。

 現在では世界各国に存在することが判明しており、各国は戦争よりもまず神階迷宮の探索を優先している状態である。

 世界で初めての世界平和を実現させた存在。



《主な登場人物》


:賢者の石(賢気朱巌命さかきあかいわのみこと

 日ノ本創世神話に記された、天地を切り裂き二人の神々を呼び寄せた、知恵の神にして創世神。その実態は、荒れた央国から二人の子供をひきつれて日ノ本へとのがれてきた、《始皇帝》兎嵐の神器の一つ。

 元は蔵書の女神によってこの世界に転生させられた、転生者だったが……身動き一つとれない宝石へと転生させられたあげく、与えられた異能――《最適解》に洗脳されたうえ、友人であった兎嵐が権力に狂いもろもろ挫折。紆余曲折あり本編では神様兼、娘の面倒を見る父親として、気楽な宝石ライフを送っている。

 およそできないことはなく、死者蘇生と対軍攻撃以外なら、なんでもできる。蔵書の女神の制限により、回復魔法のみは日ノ本で認知されている医療知識以上のものはできないようだが……外科手術も、内科的医療も前世の現代知識を遠慮なくブチ込んだため、本編では、前世よりも高度な医療を実現することが可能。癌だってノーリスクで根治可能だったりする。


豊穣院稲成(ほうじょういんいなり)

 賢者の石が面倒を見ていた、神皇家の末裔の女性が拾った養子。狐獣人の女性である。諸事象によって一度死にかけ、賢者の石が不老不死の存在として復活。現在は、金矢穂群女(かなやのほむらめ)という女神に仕える不死の巫女として、諸国行脚をしながら狐獣人の迫害を無くそうと活動している。

 元神皇の養子ということで、神皇家の血はひいていないが例外的に、皇続十二院・番外として数えられている。


尼野弓剣(あまののゆつる)

 日ノ本最強と謳われる剣士。所有者に不老不死と無敵の肉体を与える刀――《天下五剣》百足丸の所持者であり、寄辺流抜刀術の使い手。

 安条時代より生きているその剣術はもはや人外の領域にあり、視認・感知共に不可能な速度で振るわれる、絶対破斬の斬撃を放ってくる。

 だが性格はまさしくダメ人間。酒を好み、色を好み、かつて失ってしまった女房をいつまでも思う……重たい()

 そう。ガチ百合である。


永休(えいきゅう)僧正

 ウッカリ人魚の肉を食らい不老不死になった生臭坊主。酒も女もしっかり嗜み、いつでも火をつけたキセルを咥えている。

 自分の霊力を注いで形成した煙の式鬼――煙々羅を使役しており、もめ事になればこれを用いて相手を、文字通り煙に巻く。

 ただ頭は非常によく、屁理屈をこねさせれば天下一品。頓智を効かせれば並ぶものなし。

 本編では弟子と共に諸国行脚をしつつ、被害が出始めた怪異の弱点探しを行っている。

 稲成の同業者。


:ルルエル・ラクローン

 永休の弟子にして、不老不死にして無敵の体を持つエルフ。別名、《鉄の乙女》。おそらく神霊を除けば全世界最年長。

 死に場所を求め日ノ本に流れてきたところを、永休に説教され改心。尼僧になり永休の弟子を務めながら、彼について諸国行脚の旅を行っている。

 ただ、どうしようもない生臭坊主の師匠のありさまに、最近ちょっと判断を間違えたかと後悔ちゅう。弟子になるにしてももうちょいましな人の弟子になるべきだったとか思っている。

 まぁ、なんのかんのと愚痴りつつも結局永休につき従い続けるようなので、師弟関係は悪くはない模様。

 卓越した弓使いであり、魔法使い。放った矢から木々を急成長させる魔法が使え、局所的な森林地帯を、瞬時に作り出すことができる。


:時廻童

 安条の頃に現れた妖怪。日ノ本大妖怪の一角。もともとは日ノ本出身の神仙であったとか……。

 見た目は至って普通の子供だが、時間を操る怪しげな能力を持っており、過去現在未来を自由に行き来し、自分で形成した結界内部であれば、周囲の時間さえ自在に操れる。

 安条時代に神隠し等の被害を出していたところを陰陽師に討伐。本編ではあんまり迷惑をかけない程度に悪戯を加減している。

 だが、時間関係の問題があれば大体コイツのせいと目されてしまうため、現状は大いに不満らしい。

 いや、実際時廻童のせいだが……証拠もなく無条件で疑われるのが不本意なのだそうだ。


岩守塚女(いわかみのもりめ)

 日ノ本神話で記される大神の一人。《天剣八神》と呼ばれる自然が人格と力を持った神々の一柱であり、本性はある山の山頂にある巨大な岩。

 賢者の石とは神代からの付き合いであり、ともに日ノ本の神話を作り上げた盟友。

 賢者の石に気があるらしいが、賢者の石の鈍さ(?)と、岩守塚女自身のノンビリさが相まって、本編に至るまで関係の発展は一切ない。恋人未満友人以上と言った立ち位置。

 ただ、普通に百年単位で顔を出さない場合がある賢者の石の態度には非常に不満がたまっており、彼女の本拠地の近くを通ったのに顔を出さなかった日には、賢者の石に対して盛大な説教をかます。


…†…†…………†…†…


《年表(という名の話の流れ)》

:神代:日ノ本創世神話の時代。まだ神々がいたころ。

・年代不明

 賢者の石(=賢気朱巌命さかきあかいわのみこと)、瑠訊(るじん)(=流刃天剣主(るじんあまつるぎぬし))と、瑠偉(るい)(=流慰天瞳毘売(るいあめのひとみひめ))を伴い日ノ本に上陸。二人が生活できる環境を共に創っていく。

 これが後の神話制作時に、創世神話となる。


・年代不明

 仲間が増え、それが瑠訊たちとくっつき集落がにぎわう。賢者の石が鮫から進化させた鮫の獣人――夜海(よるみ)(=霊依産毘売(たまよるみひめ))と瑠訊が結婚。猿から進化した人間――大風彦(=国常大上彦命くにとこのおおかみひこのみこと)と、瑠偉が結婚。

 賢者の石が兎から進化させた兎獣人――否麻(イナバ)(=因幡羽翔姫(いなばはねかけひめ))が仲人を務める。

 同年、夜海が瑠訊との子供――大和(=大和高降尊やまとたかふりのみこと)を出産。だが、出産時に大量出血しそのまま帰らぬ人となり、のちの黄泉の女神として奉られた。


・年代不明

 日ノ本統一を狙う龍人の姫――龍神姫(りゅうじんき)(=断冥尾龍毘売(たちくらおたつひめ))との戦争勃発し、《天剣八神》の力を借り、賢者の石たちが勝利する。

 神話において、日ノ本統一を行った神話=《天剣神征神話》として記される。

 同時期に、罪を悔い改めた龍人姫による謝罪旅行が始まる。龍人姫は天剣八神たちにより八つの呪いを受けたが、黄泉にいた霊依産毘売により何とか甦る。後に大和と結婚。


・年代不明

 瑠訊崩後……後すぐに神格化。この時は神様も普通に見えたため、非常に気まずい空気を味わう。

 その後夜海を迎えにいくための黄泉への侵入を敢行。だが蔵書の女神により黄泉の女神の甦りが規制されており、失敗。

 国家の神として奉られれば、力を増し、黄泉を切り開くことができるかもということで、国の建国と王朝の拡大を開始する。(後の黄泉返り神話である)


…†…†…………†…†…


《古代》

神が神として扱われるようになった時代。王朝が形になり始める。


・600年代

 征歩神皇即位。徳政太子(♀)が宰相にとなる。

 だが、征歩神皇は妾の子供であったため、十二貴族に反発を食らう。

 この十二貴族は後の十二支の原型となった。

 異世界十二支:龍・狼・兎・虎・人(猿)・馬・鷹・蛇・牛・鼠・狐・猪・雉


・605年

 央国王朝・瑞からの使者がくる。

 国としての体裁を保ち、攻めづらいと思わせるため、征歩神皇主導で、海上に兵隊を並べて歓待する《海上歓待》を行う。これにより手腕を認めた十二貴族の態度が軟化する。


・606年

 遣瑞使派遣。


・613年

 瑞王朝にて、大妖狐による王朝転覆計画が判明(=封獣演義)。遣瑞使たちも事態の解決に尽力する。

 同年、瑞から逃げのびた大妖狐(=白毛金眼九尾)、復讐のために日ノ本へ襲来。天剣八神の一柱である豊穣神――金矢穂群女によってあっさり潰され、金矢穂群女を姉と慕うようになる。

 その後、遣瑞使帰還。様々な国際的な文化・技術と共に《真教》を持ち帰る。


・617年

 元十二貴族――神盛大来名(かみもりのおおきな)。土着の神をないがしろにしかねない、真教伝播に反発し反乱を起こす。

 後の真神戦争(しんじんせんそう)勃発。

 神々に荒ぶるのをやめてもらうよう説得するため、征歩神皇は賢者の石を伴い天界へ。

 天界では神々が混乱し、その隙に乗じ災害神たちを丸め込んだ、真教と敵対する神――六楽天魔王が出現。流刃天剣主との一騎打ちの果てに討伐される。

 神々の混乱が収まったとき、下の戦場で死にかけていた徳政太子のため征歩神皇が流刃天剣主の助けを借り、魂だけの状態で下界に降臨。

 真教布教の許可を神々の名によってつげ、真神戦争終結。だが、無理をした征歩神皇は魂が下界から離れてしまい死んでしまう。

 同年。征歩神皇の葬式のさなか、流刃天剣主と真教宗主――シン・アルダータの手によって、征歩の魂が肉体に戻され、復活。征歩神皇は、二つの宗教の神々の加護を得た宗教の神――《両義神》としての信仰を得る(これにより日ノ本に信仰の自由が誕生した)。

 ただ、神皇家の死亡届の書類は訂正が効かない特殊な物であったため、書類上は征歩神皇は死亡したことになり、史実に復活の事実が記されることはなく、伝説として扱われるようになる。


・627年

 疫病の神――崩葬守雄神(ほうそうかみのおがみ)により、疫病流行の予兆が告げられ、遷都を決定。

 百年がかりの大事業が開始される。


(・年代不明

 真教が根付くことにより、黄泉の管理が圏獄へと移される。

 圏獄の(ロリ)大王――焔真大王が、霊依産毘売毘売から黄泉の管理権限を譲渡され、霊依産毘売は無事流刃天剣主の元へと帰って行った)



…†…†…………†…†…


《安条時代》

 華やかな貴族社会と、日ノ本特有の文化が生まれた時代。妖怪とかが生まれたのもこのあたり。


・796年

 都近隣の竹林に奇妙なオブジェが落下する。

 発行するそれの中からは、珠のような女の子が発見され、見つけた老夫婦がその女の子を養うことにする。


・811年

 作家にして日ノ本初の言霊使い鹿貫己(かのつらぬき)。老夫婦の元に落ちた女の子の取材を敢行。

 絶世の美女に成長した少女が《輝夜》という名前であると史書に記され、とある国の政変から逃げてきたことを明かす。

 その直後やってきた当時の神皇:若宮神皇によって保護が提案。神皇に保護された生活が始まる。

 ついでに、男性貴族からしつこく迫られた婚約を断るために輝夜が出していた難題を、若宮が攻略していく。


・812年

 いろいろあって若宮と輝夜結婚。

 その後、輝夜がマリューヒルの竜の姫であると判明すると同時に、政変によって彼女の両親を更迭したアルフェスコアトルによる、日ノ本攻撃が開始される。


・813年

 史実ではなく伝説と語られることになる、《天空要塞迎撃戦》勃発。天空要塞に乗ってやってきたマリューヒルの竜種と、日ノ本の軍勢が激突。

 後にやってきた神風(=台風)により天空要塞撃沈。日ノ本側の勝利に終わる。

・同年

 アルフェスコアトルの敗北により解放された輝夜の両親が、輝夜をマリューヒルに連れ帰ってしまう。代わりに輝夜は、一つの卵を残し、日ノ本神皇家は存続された。



・828年

 若宮と輝夜の子――冠務神皇即位。大恋愛の果て一人の女性と結婚し、天華内親王が生誕。その前の年に、鹿貫己の孫鹿自愛が生誕する。


・853年

 六歌仙全盛期。日ノ本特有の詩であった和歌の名手六人が、言霊使いの第一人者として脚光を浴びる。自愛も六歌仙に所属。

 天華内親王、鹿自愛との身分違いの恋をかなえるためにある計画を画策。しかし、連絡の行き違いで天華にフラれたと思い、心に鬼を宿した鹿自愛によって殺害される。その後、狐獣人の魂を渡り歩く特殊な封印に魂を封じられる。

 自愛も封印を施したあと自害し、内親王の魂の行方が不明になる。

 この悲劇に心折られた賢者の石、冠務神皇が生み出した鬼によって封印され、歴史の表舞台から消える。


・同年

 天華内親王の死因を知った冠務神皇が心に鬼を生み出し発狂。娘の魂を解放するために、日ノ本三大悪法として知られる狐獣人虐殺令――《狐祓い勅令》を発布。徹底的な狐獣人の迫害と殺戮に、金矢穂群女が反発し、狐獣人を取りまとめ徹底的に朝廷へと反抗した《冠務の乱》が起きる。


・903年

 狐祓い勅令撤廃のために、日ノ本全土に大飢饉を起こそうとした金矢穂群女、流刃天剣主によって封印。豊穣の女神の不在に、日ノ本は慢性的な食糧不足に悩まされるようになる。

 同時に、鬼に取りつかれ不老となった冠務神皇、終戦を望む息子の片胤親王と、半ば仙人となり不老となっていた《六歌仙》書家靖英によって暗殺。長きにわたる冠務の乱の幕が下りる。


・同年、冠務の乱の犠牲になった人々の鎮魂の意味も込めて、天華内親王を奉った《天神社》が建立されるが、肝心の奉る神は不在の状態となる。


・913年

 野洲中彦。繰り返される政変と、立て続けに起きた神皇の交代によっておこった書類仕事のストレスにキレ、転職を決意。神皇を、権力を好き勝手しようとする連中から守るため、武官に転職。才能があったためか、執念のたまものか……そのまま日ノ本最強の武人として名をはせるようになる。


・942年

 冠務の乱の戦場より、闘争の悪鬼――酔天童子生誕。前五山頂筆頭であった冠務神皇が生み出した鬼・一言主を撃破し五山頂筆頭へと大躍進する。


・954年

 紫藤一族による摂関政治が横行。神皇家が傀儡化される。

 綾部靖明(あべのせいめい)、宮廷お抱えの術者として登用。行方不明だった賢者の石を発見し、一言主の封印を解く。その後、野洲中彦の部下として活躍していた原来光(はらのくるみつ)と共に、鬼に続いて次々と生まれ始めた妖怪たちを討伐していく。


・956年

 紫藤家の政治の道具とされていた紫藤鐘威三女――誓子に呪詛がかけられ、靖明の手によって一時的に保護。

 なんやかんやの果てに、鐘威を黙らせ靖明が誓子を嫁にもらい、名前を清子姫へと改名する。


・981年

 来光没。日ノ本最強になるという夢をかなえられないまま死に、部下であった四天王や、上司であった中彦に諸々の影響を与えていく。


・990年

 白毛金眼九尾、霊暮御前として当代神皇――市盛神皇に輿入れ。中宮霊子となる。

 紫藤家の摂関政治から脱するための《市盛政変》を行い、政治の舞台から紫藤家を駆逐していく。

 同年女官として静小納言雇用。日の本一有名な随筆集《現草子(うつつのそうし)》出版。

 当時はやっていた恋愛小説、藤式部の《原氏物語》とならぶ安条二大書籍として有名になっていく。


(・991年

 下界の神様離れにより日ノ本の神々が暇になる。そのため暇つぶしの手段が必要になり、他の神はどうしているのかと、旅行を決行。賢気朱巌命を筆頭に、流刃天剣主・流慰天瞳毘売・霊依産毘売・大和高降尊・因幡羽翔姫・仏来武霆命・両義神などが海外の神話世界へと旅行に出かける)


・998年

 霊暮の前の正体がばれ、《霊暮騒動》勃発。大妖狐である彼女の取り扱いについて、事態が紛糾する。

 結果、霊暮の死刑を望む陣営と、現状維持を望む陣営が決裂。

 今だ日ノ本最強であった野洲中彦が、頼光四天王の弟子であった剣権大輔(=尼野弓剣(あまののゆつる))に敗北するなどの事件を経て、霊暮の前死去という結果に終わった。

・同年

 霊暮を愛していた市盛神皇は、親戚であった権上院凜子(=凜子神皇)に政権を引渡し、隠居。

 霊暮が死んだ場所に庵を立てその死を悲しんだが……。


・1000年

 大妖狐であったため死んでなかった霊暮、シレっと復活。墓の下からはい出してくるという割ととんでもない光景を提供し、市盛神皇をビビらせた。

 その後は夫婦仲良く静かな庵で暮らした。


…†…†…………†…†…


《鎌蔵時代》

 質実剛健とした武士の時代。神皇家から初めて政権が離れた時代。


・1177

 市盛たちの子孫である真子が迫害によって捨てられた狐獣人の女の子(=豊穣院稲成)を拾い養子にする。


・1192年

 政治腐敗と魑魅の出現によって荒れた日ノ本再興をめざし、原一族決起。当時神皇家を傀儡にしていた平一族との戦争(=原平合戦)に勝利し鎌倉幕府を立ち上げる。

 だが、その権力を保証してくれるはずの神皇の血族が原平合戦により全滅してしまい、どこかに残っていると思われる神皇家の血筋の捜索を開始する。


・1193年 秋

 巨人型の獣人である熊獣人の一族(=熊襲)に身を寄せていた真子を狙い、原氏三大将の一人、原義常(はらのよしつね)が熊襲の集落を襲撃。真子を新たな神皇候補として誘拐してくる。

 稲成、迫害の歴史から狐獣人は不吉ということでこの時原氏軍に一度殺されるが、彼女の中に封印されていた天華内親王に肉体からの魂の剥離を止めてもらい、《蘇生》は無理だが《転生》ならできた賢者の石の手によって復活。失われた血液の代わりに原始霊力を封入され、神が如き力を振るう、人とは別の種族――《現人神》へと転生した。

 その後、真子の誘拐を知り、原氏からの奪還を決意。賢者の石のつてを頼り、日ノ本の神々から一時的に加護を借り受けつつ、鎌蔵の幕府を目指す。

 旅のお供は賢者の石と、誘拐作戦のおり熊襲に捕虜としてとらえられた鎧の人工付喪神――《原氏八領》盾無。


・同年

 建美那方尊に仕えていた狩猟神官南方吠色(みなたはいいろ)、建美那方尊に言われ賢気朱巌命の娘である稲成を助けるが、稲成の力の制御が未熟だったため、代々守ってきた聖地《南方の森》を消し飛ばされる。

 あげく幕府の森消滅事件の需要参考人として指名手配。誤解を解くため鎌蔵へと向かうことになり、建美那方尊の指示もあり泣く泣く稲成と共に旅に出ることに。


・同年

 真子、原氏の大将・原頼友に会見し、神皇になるよう請われる。

 稲成、琵琶法師――《耳無し》法一と接触。平氏の亡霊に追われていた彼と、彼にとり憑いていた平将角を仲間に加える。


・同年

 真子、新たな神皇候補として正式に発表(無断)。次代の神皇として名乗りを上げていた偽物たち三人が動き始める。

 その時真子は稲成を殺されたと思っているため、返事を半ば断わる形で保留中。同じようにとらえられていた巴恵御前に、復讐計画を持ちかけられる。

 稲成、楽士として放浪していた尼野弓剣に接触。剣は才能がないからと言われ剣術の指導は無理だったが、近接格闘手段を教えてもらう師匠になってもらう。

 同じころ、稲成が絡んだ事件により偽物と発覚した偽神皇の一人――金宮親王が捕縛。翌月斬首される。

 金宮が捕まる発端となった事件を起こした乙種魑魅(魔族)――も捕縛。チョウスケと名乗る彼は、『邪神によって無理矢理異世界から魂を引っこ抜かれた転生者』という事情をかんがみられ情状酌量。賢者の石により厳重に殺人を禁止されたうえで、魑魅との共存カリキュラムを実施。楽士として働くことになる。


・同年

 霊暮、幕府にとらえられていた真子と接触。歴代神皇の霊廟とつながる鱗の術式《内神殿》をあたえる。これにより今代神皇は、霊廟に眠る歴代神皇との交信が可能となる。


・同年冬

 富士樹海において、魔王級に到達しつつあった乙種魑魅――樹霊人(ドリアード)を原氏三大将の一人原寄則が討伐。こちらも事情をかんがみ情状酌量。寄則の式鬼として彼に仕えることになり、数年後に結婚する。公式記録が残る日ノ本で初めての、人と共存した魑魅として記される。


・同年

 稲成、鎌蔵に到着。

 同日に将軍任命式が開かれ、真子は鎌蔵幕府将軍を義常にするという衝撃発表を行う。

 それにより、その日の深夜にクーデター勃発。義常将軍就任の撤回を求める頼友派と、義常を次代の将軍にするために、頼友派の一掃を目論む義常派の激突=《鎌蔵動乱》勃発。


 稲成は真子を助けるために、この戦争に乱入。頼友から、この戦いが幕府に巣食う獅子身中の虫を刈り取り、義常に滞りなく将軍位を譲るための大芝居であったと突き止め、その悲劇を止めるために仲間とともに頼友陣営の企みをくじいた。


 動乱は、鎌蔵の約八割を焦土に変えながら、翌朝に終戦。

 結果として勝利したのは朝廷=神皇の威光を与えられた義常派であった。頼友は神皇家によってそのまま更迭。彼を人質とすることで、幕府に対するイニシアチブを朝廷が握った形で、戦いは終結。

 朝廷権力からの脱却、並びに幕府による権力集中化という頼友の理想はかなうことなく消えた。


・1194年

 幕府をさらに強く押さえつけるため、真子が頼友と政略結婚。一人の子供(=世々宮親王)をもうける。


・1215年

 真子神皇死去。前年頼友死去。義常は翌年死去する。

 葬式の場において世々宮神皇から稲成に豊穣院の名が与えられ、皇続十二院番外となる。

 義常はその精力的な日ノ本立て直しの手腕が認められ神格化。時空間制御の真神習合神《時渡義常尊》《是空御権》として奉られる。

 その権能によって日ノ本四十七か所に、空間移動を可能とした特殊な門が作られ、日ノ本の交通インフラが格段に進化する。



・1272年

 前央国王朝双を下した侵略国家・厳の使いが日ノ本に従属を勧告。

 法外な朝貢と、国民の奴隷化を条件として出されたため神皇家はこれを拒否。厳に対する宣戦布告を発布する。


・1274年

 第一次厳寇《文英の役》勃発。

 日ノ本軍は快勝し、台風により厳寇軍は壊滅するが、戦利品として持ち帰った棺から神将殭屍《涙止》張猟が解放される。

 多大な被害を出しつつもこれを何とか捕縛した日ノ本軍は、次の厳寇ではこの神将殭屍が放たれると悟り、オブザーバーとして豊穣院稲成と賢者の石を招集。

 全国に《緊急国土防衛勅令》を発令し、戦えるものを集め次回厳寇への対策を取り始める。


・1276年夏

 世界一周を目論む、イウロパの冒険家にして空賊――フランシア・ドラグーンがやってくる。

 諸事情によってクルーになってしまっている、魑魅発生源を突き止めるために旅に出たマルガもおり、彼女は最古の央国統一王朝の皇帝――《始皇帝》の亡霊を使い魔にしていた。

 厳寇軍指揮官――クドウは空をぶ船を持つ彼らをだまし、その船を奪い取ろうとしたが、フランシアの慧眼と警告に訪れた仙女――紅隣姫によって目論見は破綻。

 フランシアたちは悠々と、クドウ達から逃げおおせたが、台風にあってしまい、暫く日ノ本領空内を漂流する羽目になる……。


・1276年秋

 第二次厳寇《紅安の役》勃発。

 連れてこられた神将たちにより日ノ本軍は壊滅的な打撃を受ける。

 だが、何とか神将四体を抑え込み、厳寇軍は壊滅。

 最後に放たれた《頂》路駿によって日ノ本の防衛軍は半ば瓦解したが、マルガが連れてきた始皇帝が神の座にのぼることによって覚醒。

 その権能を用い路駿を封殺し、辛くも勝利を手にした。


・1277年

 壊滅した日ノ本軍の再興と、戦死者遺族への補償、並びに戦いに使った戦費用などにより幕府の財政が破綻。

 北城氏は責任を取り残った借金をすべて引き受ける形で将軍職を辞任。荒れ地となっていた関東の一地域の開墾しながら借金を返すことにする。

 変わって借金はなくなったが、同時に先立つものもなくなった幕府の代わりに一時的に政権を神皇家が握り、葦屈鷹氏(あしかがたかうじ)を筆頭に、皇続十二院の支援をうけながら財政立て直しを図る。(=十二院時代)


・1278年

 厳による支配から解放された路駿率いる、日ノ本攻略に用いられた神将たちが《央旗解放軍》を樹立。

 捕えられていた双王朝王族の生き残りを救出したのち、瞬く間に厳帝国を侵略し、再び央国の支配体制を作り直す。

 それにより、拡大し続けていた厳帝国侵略軍が停止。慌てて本拠地を取り戻そうと、帰ってきたのだが……最強の神将たる路駿によって、使用していた神将たちはことごとく捕えられ、正気に戻された。

 これにより侵略国家厳は勢力を維持できず敗走。故郷の高原へと戻り、厳帝国の世界制覇は終わりを告げた。

いや、なんか話数重ねすぎたのか、編集画面開くのに妙に時間がかかるようになりまして……きりもいいし、この際だからと分割しました!


悪質などっきりでほんとすいません……。

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