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オズマ戦記  作者: 葱龍
七章 転生者大戦 最終篇
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第八十五話「ルプシカが燃える日」

総PV数が15000を突破しました!

これからも本作をよろしくお願いします。

「遅いよコウ!」


コウの乗る白龍を見やったリゼルが叱咤する。

五機の白龍は旋回軌道を終え、横一列に並んだ体勢でメカキングヒドラと対峙するように空中に制止する。


「すまない、あの隊長さんがどうしてもって言うから」


「その割には結構ノリノリだったみたいじゃないの」


「まぁ利害は一致していたし、後々有利に働くかもしれないと言うのはあったからな」


メカキングヒドラの三つの首が吠える。

威嚇か、待ちくたびれたのかのどちらかと考えていると、


「敵を目の前にしておきながら随分な余裕ね!!」


メカキングヒドラの方から女性の声。


「喋った!?いや…人が乗っているのか!!」


「ご名答~!たった一言喋っただけなのに良く解ったわねぇ。

 さすが勇者様って所かしら?」


「その声…貴方エタニティの!!」


シャインはメカキングヒドラに乗る女の声に聞き覚えがあった。

それはルトヴァーニャ大武闘会の時、初めてエタニティが公の場に現れた際

シャインとシャッテの前に立ちはだかった………


「あらぁ、覚えててくれたのぉ?お姉さん嬉しいわぁ~。」


おどけている様な声音だがその言葉の端々に見え隠れする残忍さ、凶暴さをコウは感じ取っていた。

この女、流石にクドー程ではないがヤバい。


「にーちゃん、合体しよう!」


シャインの提案に異議を申し立てる者はいなかった。

この女の危険性に、誰しもが気づいていた。


「解った!みんな、集中しろ!!」


コウの指示に従い各々が目を閉じ精神を集中させる。

コウ達の乗る五機の戦闘機『白龍』は変形、合体する事によって

500マルール(50メートル)を優に超える鋼の巨人『ガンダイオー』となる。

ガンダイオーは文字通り規格外の戦闘能力を持ち、その力を使えば戦局を容易に覆す事が出来る反面

おいそれと合体できる訳ではなく、合体の為には五人の操縦者全員の心を一つにする必要がある。


「クロスッコンバインッッッ!!ガァーンッダァァーイオー!!」


しかし二度目ともなるとそれも容易い!

瞬く間に五機の白龍はその姿かたちを変え、鋼の巨人ガンダイオーが砂の大地に降り立った!!


「そうよ…それと()りたかったァァァ!!!!」


女は叫び、メカキングヒドラをガンダイオー目掛け突進させる。

ガンダイオーはそれを両手を大きく広げて受け止める。

衝撃と自重で砂に沈むガンダイオーの両脚。


「こんッッッ…のぉぉぉ!!!」


ガンダイオーは踏ん張りを利かせメカキングヒドラの巨体を投げ飛ばす。

しかしメカキングヒドラは空中で身を翻し、翼をはためかせながらゆっくりと着地した。

相手の着地を待つ間もなくガンダイオーは牽制のガンダイビームを放つが、

メカキングヒドラも真ん中の機械の頭からレーザーを放ちこれを相殺する。


「…やりますねあいつ」


「まだ序の口だろ」


感嘆(かんたん)するシドをコウが諫める。

そう、まだ戦いは始まったばかり。お互い決定打どころかかすり傷すら与えていない。



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コウ達リゼル騎士団がガンダイオーと共にメカキングヒドラと対決している頃、

ミハイルは城の中にいた。

砂漠から脱出した彼の部下たちも同様だ。


「貴方は非常に優れた戦士だと聞かされていましたが、

 その貴方がこれ程までに手こずるとは…」


傷だらけのミハイルの姿を目の当たりにしたモアザが驚く。


「優れていると言っても対人と少しデカい魔獣の相手に慣れているってだけだ。

 あんな見上げるだけデカい化け物との戦闘は想定していない。

 ああ言う想定外の奴は想定外な連中に任せるのが一番良い…」


一理ある見解であった。

キングヒドラが封印されたのはルトヴァーニャと言う国が出来るよりもずっと前の話であったし、

数十年前の魔人族との戦いの際も超大型、500マルールクラスの魔獣が確認されたという記録は残っていない。

故に騎士団の戦術も対人か90マルール(9メートル)程度の魔獣を想定した物が多く、

逆にそれ以上の大きさの物を想定した戦術は全くと言って良いほどない。


メカキングヒドラに対しミハイルの部隊が為されるがままだったのも

騎士団全体にとって敵が上陸艇などの艦船以外で超大型戦力を使ってくる事は完全に想定外であったことが大きい。

今回の一件を期に対超大型戦力用の兵装の開発や戦術の見直しを進める必要があるとミハイルは考える。


「た、大変です!!」


慌てた様子の兵士が部屋に入ってきた。

肩を大きく上下させ、吐く息も荒い。


「なんだ?どうした?」


「…街にデストラ軍が!!」


完全に予想外の展開だった。

まさかルプシカの街にデストラが攻めてくるとは。

ミハイルは武器を手に取り立ち上がろうとするが、

思うように力が入らず膝から崩れ落ちる。


「ダメですよ!まだ傷の手当てもしていないのに!!」


ミハイルを諫めようとするモアザだったが、当のミハイルは、


「手当なんて止血さえ出来てりゃいい。デストラの連中は殺す気でここに来てるんだ。

 今戦わなきゃみんな死ぬ…。ここで戦わなきゃ、俺は何の為に騎士団に入ったんだ…!

 頼むから…俺にこの国を……俺の生まれた国を…護らせてくれ………!!」


モアザはそれ以上何も言えなかった。

自らの傷をも顧みず己が生まれ、忠誠を誓った国を守らんとする…。

このミハイルと言う男こそ真の騎士と言えよう。

そして今、そのミハイルはゆっくりと立ち上がり、一歩ずつ前進を始める。


「待ちなさい!」


モアザに呼び止められ、ミハイルが振り返る。


「止めるな…」


「そうじゃありません」


「ならなんだ?」


「…私も戦います!」



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ガンダイオーは幾度となくメカキングヒドラへ攻撃を試みたが、

ビーム、ミサイル、パンチ、そのいずれも装甲を多少傷つける程度でさしたるダメージを与えられずにいた。


「硬い……!」


メカキングヒドラのあまりに強固な装甲にリゼルも狼狽せざるを得なかった。


「しかもこっちの出力も安定しない…。これじゃガンダイ剣・オーロラプラズマ返しは無理ね」


「いやそんな名前じゃなかったっしょ」


ツバキもコンソールを見やり焦りの表情を見せる。

ガンダイオーのエネルギー出力を示す青いゲージは半分をやや下回っている。

これはパイロットであるコウ、リゼル、ツバキ、シャイン、シャッテのいずれかの魔力の供給が不安定になっている事が原因である。


だがそれを理由に敵に背を向けて逃げる訳にもいかない。

このメカキングヒドラが砂漠を抜け人里で暴れまわらないとも限らないからだ。

それに装甲が強固だから絶対に勝てない、と言う道理もない。

ガンダイオーは一気にメカキングヒドラとの距離を詰め、眼を潰された首の方へと回り込む。

だがその動きに気づかないメカキングヒドラではない。

即座に首を回り込ませ、ガンダイオーの右腕に食らいつく。


「貴方たちの動きが読めないとでも思ったぁ?」


メカキングギドラを駆る女がスピーカー越しに煽るが、

コウは唇の端を少し釣りあげて笑い、


「読めないんじゃない。読ませたんだよ!!」


ガンダイオーは空いている左腕で右腕に食らいつく首をがっちりと抑えて締め付ける。


「いくら堅牢な装甲があろうと、関節を極められては一溜まりもあるまい!」


機械化された真ん中の首からレーザーを放ち、引き離そうとするメカキングヒドラだが、

ガンダイオーは寸前の所でレーザーを回避。

逆にメカキングヒドラの装甲がレーザーに貫かれる結果となった。


メカキングヒドラの装甲が穿たれ、その下のケーブルや皮膚、人工筋肉が露わになる。

反撃の一手が見えてきた瞬間であった。



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ルトヴァーニャ王都ルプシカはまさに戦場と化していた。

悲鳴と怒号が混じり合い、家屋は次々と焼かれ、

押し寄せたデストラの兵士が無抵抗の市民に次々襲いかかっていく。


そして路地裏の一角に逃げ込んだ母親と娘。

娘はまだ五歳になるかと言う年頃、母親の方もまだ二十代後半くらいである。


「大丈夫…大丈夫だからね…!」


泣きじゃくる娘を母親は必死になだめるが、


「見つけた~!」


路地裏に入り込んできたデストラ兵に見つかってしまった。

親子の姿を見やりニタリと嗤い、一歩一歩ゆっくりと近づいてくるデストラ兵。

母親は涙をこらえ、娘を力の限り抱きしめる。


龍神様…!


もはやこれまでと母親は思った。

だが、


「ゲッ……!!?」


嗚咽し、うつ伏せに倒れるデストラ兵。

その背中には左肩口から右脇腹にかけ一文字の切り傷が走っていた。

何事かと思い母親が顔を上げると、そこには青い髪の騎士が立っていた。


「大丈夫ですか…?」


騎士団長、カイル・ドミナンテである。


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