表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オズマ戦記  作者: 葱龍
六章 転生者大戦 激闘篇
83/168

第七十九話「ラスト九回!出るか逆転ホームラン」

「延長戦は分が悪い!何としてもここで一点取るぞ!!」


ラスト一回を迎え、コウが仲間たちを激励する。

この九回目で点を取れなければ良くても延長戦、最悪の場合裏で点を取られ逆転負けは必至。

何がなんでも落としたくはなかった。


しかし現実はそう上手く運んではくれず、

瞬く間にエルとシャインが空振り三振でツーアウト。

このままスリーアウトになればその時点でリゼル騎士団の攻撃は終了。

暗黒球団に逆転勝ちのチャンスを与える事となる。


第三バッターとしてマウンドに立つリゼルも必勝必至のプレッシャーを感じずにはいられない。

その為にもまず一点。リゼル騎士団が今まで一度も出していないホームランを打ちたい所だ。


リゼルはバットの先端をスコアボードの方へ向ける。

これは予告ホームランと言う「俺は今からホームランを打ってやるぞ!」と言う相手への宣戦布告の様な物である。

これをやって空振り三振すると凄く恥ずかしい思いをするのは言うまでもない。


「このタイミングで予告ホームランだと?嘗めやがって…。

 それは俺から一点以上取ってからやるもんだ!!」


蓮司は憤慨し、両手を右腰に溜めると体内の気を両腕に集中させ、


「キャ…!メ…!ヤ…!メェェェ…!!」


両腕を一気に突き出し、


「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!」


気を込めたボールを発射する。

リゼルは臆する事無くバットを振るうが、下方向に僅かに掠め、


「ッ!?」


「ストライーク!!」


白煙を上げキャッチャーミットへと収まるボール。


「どう…した……?ホームランを打つんじゃ……なかったのか…?」


キャッチャー羅偶守から投げ渡されたボールを受け取るとリゼルを煽り出すが、

肩を大きく上下させ、息も絶え絶えになっている。

あのキャメヤメyeahとか言う魔球はその威力と引き換えに消耗も激しいと言う事か。


「キャ…!メ…!ヤ…!メ…!YEAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!」


続く二球目。

一球目の時より僅かに球速は落ちている。

チャンスと思いバットを振るうリゼルだが、

今度は上方向に掠めボールは宙に舞う。

ボールはそのまま垂直に落下し、キャッチャーミットにスポリと収まった。


「ストライクツー!!」


これでリゼルは後がなくなった。

だがそれは相手とて同じ事。

蓮司渾身の魔球も次の一発を投げるのが精いっぱいだろう。


「ピッチャー、交代した方が良いんじゃないの…?」


「バカ言え…!ここまで俺1人で点取らせない様投げてきたんだ……。

 ここで投げるのを止めるのは、俺のプライドが許さねェ…!!」


「…解った。そこまで言うのならもう何も言う事は無いわ。…貴方の全身全霊、私にぶつけてきなさい!!!!」


「行くぞォォォォ!!キャァァァぁメェェェェェェヤァァァァァァァァァァァメェェェェェェェェェェェェェェェェェッッッ

 YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!!!!!!!!」


激しい閃光と共に打ち出される魔球。

その反動で蓮司自身も散歩分後ずさる。


リゼルも蓮司の全霊に応えるべく渾身の力を込めてバットを振るう。

バットと魔球が激突し、凄まじい衝撃がバットを通してリゼルの両腕を伝い、

更にバッターボックス真後ろの観客席をも粉々に吹き飛ばし、双方のベンチが露わになる。


「うわぁっ!?」


「な、なんてパワーだ…!」


狼狽するコウ達を背に魔球をバットで受け止めるリゼル。


「ッ‥‥!行ッッッッッッ…‥‥けェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!」


脚を踏ん張り、雄叫びと共に更に力を込めバットを振りきりボールを空高く舞い上がらせる。

ボールが何処へ落ちるのかリゼルは気になる所ではあったが、悠長に傍観している時間はない。

一塁、二塁と疾風のごとく駆け抜け、三塁へたどり着いた所で静止した。

ホームベース目掛けボールが投げ入れられるのを見たからだ。


「三塁打…ホームランには遠く及ばずか……」


リゼルが独り言ちると共にバッターボックスに立つコウ。

対する蓮司は目は虚ろ、脚もおぼつかず両腕もダラリと下がったまま。

とても投げられるような状態では無かった。


「おい、これホントにピッチャー交代した方が…」


だが!!


「……!!」


蓮司が何かを呟くと、彼の身体が突如爆発四散。

爆炎と煙の中から蓮司に酷似した容貌の赤髪の男が現れた。


「お、お前は…!?」


「我が名は野球魔人RE☆N☆JI。伝士蓮司の命を捨ててでも野球をしたいと言う想いにより馳せ参じた、言わば伝士蓮司の分身…

 伝士蓮司の代役は、我が務めよう」


「そこまでして野球がしたいと言うのは良く解った。けど…野球の知識の方はどうかな?」


「我が知識は伝士蓮司のそれを引き継いでいる。何も問題はない」


「ならば来い。このラスト一回で逆転して、お前にもお前を呼んだ蓮司の志にも勝ってみせる!!」


野球魔人RE☆N☆JIは空高く舞い上がるとボールを宙に浮かび上がらせる。

するとどうだろうか。何処からともなく光が飛び交い、ボールへと集中していく。


「これが伝士蓮司が我に遺してくれた最終奥義。

 この星の人や動物、植物や山、微生物たちから生命エネルギー、貴様たち人間の言葉で言う『元気』をボールに集め叩きつける…

 名付けて『元気球』!!」


「元気球だと!?面白い!そんなパクリ魔球俺が打ち返してやる!!」


星中の元気と言う元気を吸ったボールは投げる前の15倍の大きさにまで膨れ上がっていた。

スタジアムは元気球の青白い光に照らされ、青く染まり出す。


「避けられる物なら避けてみろ!貴様は助かってもこの国は粉々だ!!」


「無理よコウ!まともに打ち返せる訳ない!!」


国1つ消し去る程の威力を持つ事を知るやツバキが叫ぶ。

しかしコウは、


「シドォ!!土掌でみんなを守る盾を作ってくれ!」


「コ、コウさんはどうするんですか!?」


「あれを打ち返してみせる!!」


こうなるともう、シドに出来る事は一つしかなかった。

土掌が唱えられ、シド達と三塁のリゼルを砂と土の膜が包み込む。


仲間の防護が済んだのを確認するとコウは野球魔人RE☆N☆JIと彼の作り出した元気球を見上げバットを構える。


「来い!野球魔人!!」


「塵になるがいい!名も知らぬ野球戦士!!」


元気球が投げ放たれる。

バットとボールを包むエネルギー球とが交錯しスパーク。

激しい衝撃波は嵐となって辺りの物を次々破壊していく。


「ぐっぐぐぐぐぐ……!!」


「おっおっおおおおおお…!!!!」


足場が崩れコウの足が沈む。

コウの両腕にあらん限りの力が込められる。


「……ッッッ全ッッ開だぁぁぁぁぁ─────────────────────────────────ッッッ!!!!!」


雄叫びと共にバットを振りかぶり、元気球を空高く吹き飛ばすコウ。


「おぉ…押され……!?」


野球魔人RENJIを呑み込みながら空の彼方へ消えていく元気球。

試合始まって以来、初めてのホームランだ!


リゼルに続いてコウが二塁、三塁と駆け抜けダイヤモンドを一周。

あっと言う間に二点を獲得し再びリード。


「イェーイ!イェーイ!イェーイ!」


エル、シャイン、シャッテと歓喜のハイタッチを交わすリゼル。

コウもハイタッチを交わそうとしたその時、空から人影が1つ落ちてきた。

野球魔人RE☆N☆JIだ。


コウは野球魔人RE☆N☆JIの下に近寄ると、


「…野球魔人。手強い相手だったが、悪意があった訳ではないんだ。

 せめて墓でも立ててやるとするか…」


「貴様らの墓をか?」


驚くコウ達を他所に野球魔人RE☆N☆JIはゆっくりと起き上がり、周囲を見渡すと、


「二点取ったのは流石だと言いたいが、浮かれるのはまだ早い。

 野球は先にホームランを出した方が勝ちではなくより多くの得点を取った方が勝つ物。

 次のバッターを出せ。試合はまだ続いている!!」


第五バッターとしてマウンドに立つのはモヨモトだ。


「コウとリゼル様が文字通り命がけでリードを広げて勝利への道を作り出してくれたんだ。

 あとは俺が…」


一球目!ストライク!


「その道を…」


二球目!ストライクツー!


「突き進んで…」


三球目!ストライク!バッターアウト!!


「駄目だったよ…」


「まぁあまり自分を責めるな…」


意気消沈するモヨモトをコウが慰め、この試合最後の攻守交替。

マウンドに立とうとするリゼルだが、


「ここで一気にスリーアウトを取って…ッ!!」


右肩を抑え苦悶の表情を浮かべる。

皆が心配して駆け寄るが、コウは事情を察してか、


「やはり8回連続で投げた上蓮司の魔球を打ったんだ。右肩に負担がかかっていてもおかしくない」


「けど…」


「後は俺に任せろ。このまま連続三振でこの試合を俺達の勝利で終わらせてやる!」


リゼルに代わり自分が投げると言うコウにツバキは、


「本気で言ってるの?メテオ魔球は使用が禁止されているのよ」


「心配には及ばない。メテオ魔球は俺の編み出した魔球のうちの一つでしかない…

 魔球1つ使えなくなった程度で何ら問題は」


「だったら最初からメテオ魔球以外のを投げなさいよ」


リゼルの言葉も最もであり、コウもさすがに返す言葉を失い、ただ「ごめん」と頭を下げる事しかできなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ