第六十話「テリブル・デッド!俺は口の減らない傭兵」
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「勇者…だと……!!?」
スキンヘッドはこめかみをピクピクさせながらコウを睨みつける。
「その勇者が何の用だ?まさか俺達を倒そうと言うんじゃないだろうな?」
「俺達が倒したいのはお前達を使いこの町の人達に乱暴狼藉を働く神帝だ」
「ハッ!!神帝を倒すだとぉ!?ならまず俺達を倒して行く事だな!!」
「そうだな。下っ端のお前達に勝てない様じゃ…神帝を倒すどころかどんな顔してるか拝む事すら出来やしない」
「嘗めた口を!!」
スキンヘッドが左腕を上げると弓道警察達が一斉に弓を構える。
寸分の狂いもない美しい弓道の構えからコウ目掛け一斉に矢が放たれる。
だがコウは飛来する矢を次々と指で挟む様にして掴み取っていく。
普通に避けずこの様な防ぎ方をするのは、飛んできた矢が町の人に突き刺さるのを防ぐためだ。
弓道警察の攻撃が止むとコウはつかみ取った矢を地面に投げ捨て、弓道警察目掛け直進。
すかさず二の矢を用意し応戦しようと身構えるが、そのあまりに隙だらけな挙動はコウの接近を許す結果となった。
弓道警察の弓道はあくまでスポーツとしての弓道!止まった的を射る物!
素早く動き回る標的に対してはほぼほぼ無力であった!
「りゃぁ!!」
「グワーッ!!」
コウの延髄蹴りが1人目の弓道警察に炸裂!
弓道警察は回転しながら吹き飛んだ。
「でぃやぁっ!!」
「ブェーッ!!」
コウの回転ソバットが2人目の弓道警察の腹を直撃!
弓道警察は身体をくの字に曲げ吹き飛んだ。
三人目の弓道警察は懐からナイフを取り出そうとするが、
回転しながら飛んできたブーメランに弾き飛ばされる。
リゼルだった。
「コウ!1人で突っ走らない!!」
「すまない!」
「仲間がいたのか…!」
「だから言ったろ。俺"達"って」
一部始終を目の当たりにしていたエル、シド、シャイン、シャッテ、ツバキがコウの元へ駆け寄るとエルは、
「何やってるの!!町中で騒ぎなんか起こして!」
「人が1人死んでるのに黙ってみてられないだろ!
それにこいつらを通じて、神帝に俺達の存在を知らしめる事が出来る」
「知らしめるって…」
「宣戦布告だよ」
「いい気になるなよ。お前が勇者だろうが何だろうが関係ない。
神帝に歯向かうなら死あるのみだ!!」
スキンヘッドは火炎放射器をコウに向け激昂するが、
「お前じゃ無理だよ」
人混みの中から歩み出た男の声に止められた。
赤黒いジャケットと覆面で顔を覆い隠したその出で立ちはまさに威容。
表情を伺い知る事が出来ないのがこの覆面男の不気味さを際立たせていた。
「なにぃぃ?貴様、この俺がこのガキに叶わないとでも言いたいのかぁ!?」
スキンヘッドは覆面男を睨み怒りを露わにする。
しかし覆面男は臆する様子も見せず、失神し倒れている弓道警察を指差して、
「弓道警察のアホ共が一方的にぶっ倒されるの見たろ?
勇者だろうがなかろうがそんな事はどうでも良い。
重要なのはあいつの実力が本物って事だ。悪い事は言わねぇさっさと帰れ。
モヒカンAみたいに『あべし』っつって吹っ飛ばされるのがオチだぞ」
「うるせぇ!!」
スキンヘッドはコウ目掛け火炎放射器の引き金を引く。
燈色の炎がコウを襲うが、コウは眉1つひそめる事無く、チョップで炎を両断。
モーセの十戒の如く開けた炎の向こうで狼狽えるスキンヘッドとの距離を一気に詰め、
その腹にシャイニング・ナックルを叩きこむ。
「あぽろっ!」
素っ頓狂な声を上げ空高く飛んでいくスキンヘッド。
その姿はあっと言う間に見えなくなっていった。
「言わんこっちゃない」
覆面男はスキンヘッドの消えた空を見上げながら悪態をつく。
コウは覆面男を見据え、
「お前も神帝の手下か?」
「手下なんて人聞きの悪い。俺ぁ金くれるって言うから手伝ってるだけなのによぉ」
「傭兵と言う奴か」
ツバキが言う。
「解ってるじゃねぇか。俺自身アンタ達に恨みは無いが仕事なんでな。」
覆面男は背中から二振りの剣を引き抜き、両手に握り身構えると、
「相手になってもらうぜ」
コウも身構え、
「アンタ、名前は?」
「テリブル・デッド」
テリブル・デッド。
英語で酷い死に方と言う意味だ。
こんなキラキラネームより悪質な名前を付けたがる親はそうそういないだろうし、おそらくは偽名か通り名だろう。
「テリブル・デッド…本名はなんて言う?」
「言えないなぁ。敵味方問わず本名秘密にしといた方が何かと都合がいいし、何よりダークヒーローっぽいだろ?」
「訳わかんない事ぼやきやがって…行くぞみんな!!」
コウの合図を受けテリブル・デッドへとリゼル達が殺到。
細剣による斬撃や棒術を最小限の動きでかわしながらテリブル・デッドは、
「1対多数は卑怯だってよく言うがまぁ良くあるシチュではあるよなぁ。ドラ〇エとか」
「うるさいぞお前!!」
と、シャインとシャッテが魔法で水蒸気爆発を起こしテリブル・デッドの視界を遮り、
背後をとったツバキがステファニー4號をテリブル・デッドの背中に突き刺す。
背中、骨、内臓を貫き胸からステファニー4號の刃が飛び出す。
「お?」
「これでその減らず口も聞けなくなるでしょ!!」
ステファニー4號を引き抜くと胸と背中の傷口から血が噴き出す。
常人ならこれで確実に絶命する筈だが。
「死んだのか…?」
胸を抑え苦しむテリブル・デッドを見やりコウがつぶやく。
だが、
「…うおあー、もうダメだー、死ぬー………なーんてな」
信じられないような事が起こった。
なんと、テリブル・デッドの傷口が見る見るうちに塞がっていき、
胸の刺し傷はあっと言う間に消えてなくなったのだ。
「傷が治った!?」
「シャイン、回復魔法を使った形跡は?」
リゼルが問うが、
「無いわ。あいつが使ったのは魔法なんかじゃない」
「じゃああいつはどんな手品を‥‥‥ハッ!!まさか…」
リゼルと同様にテリブル・デッドの見せた手品のタネを理解したコウは、
「そのまさかだろうな。お前…転生者だろ?」




