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オズマ戦記  作者: 葱龍
四章「神秘と鋼の都 大和」
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第四十八話「ガンダイオーvsキングヒドラ 怪獣総進撃」

ガンダイオーは左脚を高く上げ、右腕を大きく振りかぶって、


「ガンダイッッッボォォォォォォォォォォォォルッ!!!」


大きく振り下ろすと右手からエネルギー球が放たれる。

ガンダイシュートとして蹴り飛ばしたそれよりもサイズは小さいが、より素早く、更に空中で6つに分裂してキングヒドラに殺到する。


ガンダイボールの直撃を受け、爆発に呑まれるキングヒドラ。

しかしキングヒドラの体は傷1つ付いてはいなかった。


「無傷…流石とでも言うべきか?」


キングヒドラの五つの顎が開き、炎と稲妻がガンダイオー目掛け放射される。

炎に焼かれ雷撃を受けるガンダイオーだが、それを意に介する事無く前進。

一気に懐まで飛び込み、


「ドォラララララ!!!」


腹部めがけ連続でパンチを叩きつける。

激しい猛攻に余裕を見せ続けていたキングヒドラも僅かに揺らぎ、そして無人となったビルを巻き添えにして後ずさる。


「なんて硬い皮膚なの…」

「それなら!」


ガンダイオーが左脚をキングヒドラの腹に打ち付けると、そのまま右脚も打ち付ける。

そして一度半身を捻り勢いを付けるとその場で両脚を軸に回転し始めた。

回転の勢いは徐々に激しくなり、キングヒドラの強固な皮膚を抉り始める。


「ガンダイッッドリルキィィィィック!!!!」

「ウガアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!」


腹部から鮮血めいて白金の粉を噴き出すキングヒドラ。

尚も回転を続けるガンダイオーの両足にキングヒドラの二つの首が食らいつき、回転の勢いが殺される。


「なっ!?」


キングヒドラはガンダイオーを咥えたままその巨体を首のみの力で持ち上げ、勢いよく地面に叩きつける!!


「ぐああぁっ!!」


再び、ガンダイオーを咥えたままその巨体を首のみの力で持ち上げ、勢いよく地面に叩きつける!!


「ぐああぁっ!!」


三度、ガンダイオーを咥えたままその巨体を首のみの力で持ち上げ、勢いよく地面に叩きつける!!


「ぐああぁっ!!」


キングヒドラがようやく両脚に食いついている顎を離したかと思うと、今度は丸太の様な太く分厚い右脚でガンダイオーの胸を踏みつけた。


「ぐっ!!?」


キングヒドラの胴から真っ直ぐに伸びる最も大きな頭がガンダイオーの顔を睨み、


「弱くなったな天の使いよ。10万年前の戦いの時は、力も技の冴えも優れていた」

「なに……!?」


弱くなった。

その一言にコウは困惑する。

あれほどのパワーを持ちながら、まだ10万年前に目の前の魔物と戦った時よりも力が出ていない?

だとすればどうすればその力が引き出せる?本当の力はどれ程の物なのか?

疑問は尽きないし、踏みつける右脚を掴み持ち上げようにもガンダイオーのパワーを以てしてもキングヒドラの巨体はビクともしない。



「どうすれば…!」

「コウ…?」

「どうすればこの状況を打開できる…!どうすればこいつの言う様な10万年前に匹敵するだけの力が出せる!?

どうすれば……」


「敵にどうすればと聞かれて親切丁寧に教える阿呆などいない。煮え切らぬ疑問を抱きながら死んで行け」


ガンダイオーを踏みつぶさんとキングヒドラが右脚を大きく振りかぶる。

その時!

キングヒドラの背中で爆発が巻き起こり、その隙を掻い潜ってガンダイオーは2、3回側転して脱出。

直後にキングヒドラが先程までガンダイオーがいた場所に前のめりに倒れ込む。


何事かと思いガンダイオーが起き上がり、辺りを見回すと、

アサルトライフルを構える10式が5体。


「4番隊より白龍のパイロットへ!これより援護します!」


10式がキングヒドラへアサルトライフルを向けると、

その銃口が一斉に火を噴いた。


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「4番隊、コード『キングヒドラ』と交戦を開始。」

「『キングヒドラ』への攻撃を開始するも、ダメージは認められず」


指令室に通信オペレーターの抑揚のない声が響く。


「あの子等の支援が主目的だ。無理に倒す必要は無い」


ノブシゲは落ち着いた様子で指示を伝え、更に「1番隊から3番隊は?」とオペレーターの一人に問いかける。


「依然交戦中。しかし敵戦力は50%以下にまで減少しています」

「現在交戦中の敵を殲滅次第彼等もシンジュクに向かわせろ。少しでも多くの戦力が欲しい」

「了解」


指令室正面の大型モニターにツバキの顔を映したパネルが表示され、


「長官!」

「ツバキか…なんだ?」

「コウが今のままじゃキングヒドラには勝てないって…」

「どういう意味だ?」

「なんでも今乗ってる機体、10万年前に戦った時よりも出力が落ちてるみたいで…

 どうすれば出力を上げられるか解りませんか?」

「むぅ…こちらもつい先日ようやく起動できたばかりだからな…。む?いや待てよ……。

 最初に起動した時は、五人分の魔力を注入して起動したんだったな」

「ええ。最初にコウが、次に彼の仲間が魔力を期待に込めて、最後に私が加わる事で10万年の眠りから覚ます事が出来た…。」

「もしかしたら…!今取材に向かっているテレビ局は!?」

「今首都圏には避難命令が出ているから取材は…いえ、ありました!

 YTVとTTBの取材用ヘリが戦闘区域付近を周回しています。退避させますか?」

「いや、退避はさせなくていい。彼等にはむしろ、やってもらいたい事がある」



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都内にある学校の体育館。

現在避難所として使われているこの場所は慣れ親しんだ我が家を止む無く離れざるを得なくなった人々が身を寄せ合い、

いつ戻れるか解らない不安に襲われていた。

唯一、一組の家族を除いては。


「いや~冷や冷やしますねぇ~。僕達いつ(うち)に帰れるんでしょう?」


婿養子の福田松夫は眼鏡を指で押し上げながら言葉とは裏腹にあっけらかんとした表情を浮かべていた。

隣に座る妻の福田早苗と早苗の妹若葉は少し不満そうだ。


「何言っとるんだね。ワシ等は無事でいられるかもしれんが今暴れてる魔物があのキングヒドラであるなら

 最悪この国そのものが滅びるぞい」


家族の大黒柱伊佐野海平が松夫を叱咤。

禿頭が照明の光を受けてキラリと光る。


「心配いりませんよお父さん。ずーっと家族みんなで世の中の移り変わりを見てきたけど、

 この世の終わりかと思う様な事はこれまで何度もありましたよ。」


そう言うのは海平の妻の常だ。


『この放送を聞いている全ての皆様、私は大和の国防長官タカクラ・ノブシゲです。』


不意に何処からかそんな声が木霊する。

早苗の弟で若葉の兄の和夫の携帯の様だ。


和夫の携帯の画面には記者会見に臨むノブシゲの姿。


『ご存知の方もいるかも知れませんが、今シンジュクでは巨大な怪物とロボが戦っております。

 ロボに乗っているのは遥か海の向こうの異国から来た人達ですが、

 それでも彼らは利害を超え、我々の為に命がけで怪物と戦っているのです』


画面がノブシゲの記者会見から燃え盛るシンジュクの中継画像に切り替わった瞬間、

携帯の画面を注視する早苗たちの表情が少し険しくなる。


「これ…キングヒドラだよね?」


中学生の様な容貌の和夫が早苗に尋ねる。


「ええ。10万年ぶりに倒されたと思ってたけど」

「となるともう片方のは…ガンダイオー?」


そう。彼等『伊佐野家』は外見こそ普通の人間と変わりないが実際はそうではない。

彼等は老化も成長もする事なく悠久の時を生き続ける「永久不滅」の異能を持つ転生者なのだ。

10万年を越えるあまりに長すぎる生故彼等は必要以上の俗世との関わりを嫌い、

傍観者として世の移り変わりを眺め続ける事を選んだのだった。


『彼等が負ければこの国に明日は無いのです。国民の皆さん、どうか祈ってください。彼らの勝利を。

 その祈りが、きっと彼等の力になってくれる筈です』

「懲りないわねキングヒドラも。いや…以前負けたからこそ、かしら?」

「また見てるだけなの姉さん?」

「深入りはしないように決めていたけど、だからって何もしない理由にはならないわ。

 ほんの少し、力添えするくらいなら良いわよね、父さん?」

「そう…だな。帰る家を潰されたらたまらんし」


しかしそんな彼等も流石に長年住み慣れた土地を離れるのは忍びない。

伊佐野家は目を閉じ両手を組んで天に、ガンダイオーに祈る。

他の避難者達も祈ると、人々の体が眩い光に包まれ、避難所は光に包まれた。


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