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オズマ戦記  作者: 葱龍
四章「神秘と鋼の都 大和」
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第四十六話「救世主、その名はガンダイオー」

白龍1のコクピットから見下ろすシンジュクは見るも無残な姿に変わり果てていた。

夜の闇を照らし出す炎、燃え盛る街並み、悲鳴と魔物の雄叫びが混ざり合い地獄の様相を見せる。


「クッ…!」


コウは舌打ちし機体を業火の中心に立つキングヒドラ目掛け突っ込ませる。

如何なる事情があるかは知らないが、この様な暴挙に出る事がコウは許せなかった。

常に瘴気を放ち続ける生態だけではない。

元よりこいつ等と相容れる事は決してない事をコウは理解した。


白龍1の機首に備え付けられていた機銃からパルスレーザーが放たれる。

短く、針の様なレーザー。

厚さ20cmの金属板なら容易く穴を開けられるだけの破壊力があるのだが、

キングヒドラの鱗には通じない。


「やはり単体ではダメか!!」


と、ヴンッと言う電子音と共にキャノピーにウィンドウが現れ、

そこにリゼルの姿が映し出されると、


「何1人で突っ走ってるの!」

「リゼル!みんなも来てくれたのか!!」

「みんなも来てくれたのか!じゃないでしょ!!

 この機体が五機一組だって話もう忘れたの!?」

「す…すまない。一刻も早く状況を打開したくて」

「この白龍とか呼ばれてる機体、確か合体するとか言ってたわね…。どうすれば…」

「あの研究者たちは、合体するとは言っていたがどうすれば合体できるのかまでは言ってなかった。

 おそらく、彼等も知らないんだろう」


キャノピーにもう二つウィンドウが現れ、今度はシャインとシャッテの姿が映し出され、


「どうしたら合体できるかツイッターで聞いてみたよー」

「真面目な答えは一つも無かったけどねー」


そう言ってシャッテはマスホの画面を見せた。

画面には多くのユーザーからのリツイートが書き込まれていたが、

「取説嫁」「まず服を脱ぎます」「幼女と合体フィーヒヒヒ!」などおおよそ中身の無い物が殆どで

求めている答えと呼べるような物は一つとしてなかった。


「そもそも軍事機密の事ツイッターに書くな!!」


更にもう一つウィンドウが現れる。今度はツバキの姿が映し出される。


「伝承には五人の声を受けて1つになったと記されていた…。となると、やはり音声入力の可能性は高いかと」

「言いたい事は解る。けどさ…」


コウはツバキの映し出されたウィンドウを見やると、


「せめて目は開けて操縦しないとだろ!」

「だってだってぇ…」

「何にせよ、試してみない事には何にもならないわね…。コウ!何かそれっぽいセリフ言ってみて!」

「えーと…合体!」


しかし何も起こらない。

いずれの機体も特に変わった様子は見られない。


「ダメか…。合身ゴー!!レーッツコーンバイン!!ファイナルフュージョン!!!」


コウは考え得る単語を片っ端から叫んでみるがやはり変わりはない。

キングヒドラが吐いた火炎を避けながら、


「くそっ!音声じゃないのか、それとも別の条件があるのかすら解らない…。

 冗談抜きに取説が欲しい…ちゃんと俺が読める字で書いてある取説が」

「にーちゃんにーちゃん、正面のパネル」


シャインに促されるまま正面のコンソールパネルに目を向けると、

中心からやや右下にズレた位置に波形が表示されているのに気が付いた。

それも一つだけではない。五つある。


「これ私達が何考えてるのか視覚化してるんじゃない?」

「視覚化って、シャイン随分難しい言葉知ってるな」

「だって天才言われてたし」

「よしみんな、今から同じ事を考えろ!」


言われるままに眼を閉じるリゼル達だったが、


「…具体的に何考えれば良いの?」

「そうだな……。夕飯の事考えろと言っても食い違うだろうし、とりあえず『何も考えない事を考えろ(・・・・・・・・・・・)』。」

「何も考えない…」

「何も…」

「何も…」


五つある波形が次々と合致していく。

が、波形の1つは他と合致するどころか上下に激しく乱高下する。

誰だ?と思いコウが波形グラフを睨むと、乱高下する波形の右下に小さく「Tsubaki.T」の文字が。


「…ツバキさん……」

「解ってる。解ってるけど、だって飛んでるのよ?ウンと高い所を飛んでるのよ!?怖いじゃない!!」

「俺だって怖いよ!あんな化け物が闊歩している中を飛ぶなんてよ!!

 けどあの化け物共を放っておいたら大勢の人が犠牲になる!そんなのはもっと御免だ!

 今俺達がやるべきは臆病風に吹かれることじゃあない…。心を一つにして立ち向かう時なんだよツバキさん!!

 飛ぶ事が、高い所が怖いならそれを乗り越えろ!

 怖い怖いと逃げていたらもっと恐るべき事態に自分の故郷が陥る事を解ってくれ!!」

「小妻…コウ……」

「頼む…頼むツバキ!俺達に力を貸してくれぇぇぇ───ッ!!!!」


呼吸二つほどの静寂。ツバキは固く閉ざしていた瞼をゆっくりと開き、


「解ったわ…コウ!みんな!!」


瞬間、ツバキの波形が他四つとピタリと合致し、

コクピット内に抑揚の無い機械的な音声が流れ始める。


「コンバイーンオッケィ、コンバイーンオッケィ」

「な…なんだこの声?」

「この白龍が……言っているの?」


正面のコンソールパネルに目を向けると先程まで表示されていた波形グラフは消え、

代わりにパネル一杯に「SHOUT NOW CROSSCOMBINE GUN-DAI-OH!!」と言う表示。

SHOUT、即ち叫ぶ事でこの白龍の真の力を解き放つ事ができる…。

コウ、リゼル、シャイン、シャッテ、ツバキは同時に叫んだ。


「クロォスッコォォンバァインッッッ!!ガァァーンダァァァーイオオオォォォォォォ!!!!!!!!」


五機の戦闘機は空高く舞い上がるとまずツバキの機体がリゼルの機体と合体。胴体と両脚を形成する。

次にシャインの機体がツバキの機体に合体して右腕に、シャッテの機体が左腕を成すと

最後にコウの機体が合体し頭部とバックパックが形成される。

五機の合体と変形が終わると同時にコウ達の座るコクピットシートが後方にスライドし、胸部へと集結。


右腕、左腕と振りかぶり見得を切り、ポーズを決めると巨大な人型が炎に染まるシンジュクの大地に降り立った。


「これが…大和の古代兵器の真の姿…!!」


高層ビルの窓に映り込んだ鎧武者を彷彿とさせる姿を見たリゼルが呟く。

全身に刃の様な鋭さを秘めた角飾りをあしらった白銀の甲冑を纏った巨大な鎧武者の姿を見たキングヒドラは、


「その姿…見覚えがある…!10万年ぶり…か……!!」

「そう…その通り!愛の力を翼に込めて、掴め勝利の一番星!覇皇極星ガンダイオー、期待に応えただいま見参!!」


咄嗟に思い付いたとは到底思えないような名乗り向上を噛まずに言ってのけるコウ。

本当はガンダイオーのコクピット正面のコンソールパネルにカンペが表示されていたのをただ読んだだけなのだが、

リゼル達は敢えて何も言わないようにした。


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