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オズマ戦記  作者: 葱龍
三章「熱闘!ルトヴァーニャ大武闘会」
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第三十三話「最低野郎は電気グルーヴの夢を見るか」

18/11/8

今後の展開と矛盾すると判断した箇所を修正いたしました。

直江正嗣が異世界「アーサレナ」に転移してきたのは今から一年くらい前の事。

トラックに轢かれた、とかではない。そもそも原因が何なのかすら解らずじまい。

いや、それ以前に自分の名前以外の全ての記憶を正嗣は失っていた。


自分は何者なのか。何処で生まれどんな人生を送っていたのか。

どんな物が好きでどんな物が嫌いなのか。

何の為にこの世界に呼ばれ何を成せば良いのか。 

右も左もわからない異世界で1人で生きていくのは困難だった。

凶暴な魔物に襲われ柄にもなく悲鳴を上げながら逃げ出した事もある。

道端に生えていた植物を食べて腹を下した事もある。

だが、運命は正嗣を見捨てはしなかった。


ある日たどり着いた小さな村で出会った1人の少女。

犬に似た耳を頭から生やしたその少女に正嗣が触れた瞬間光が走り、その光が消えた途端少女は片膝をつき正嗣にこう言った。


「私はウェアウルフのルプス。異能の盟約により貴方の眷属となる事をここに誓います」


眷属、と言う言葉に偽りはなく、正嗣が何処へ行くにもルプスは常について回り、正嗣に逆らう様な真似は決してしなかった。

その様はまさに忠犬と呼ぶにふさわしい。


その後も不死鳥とハーピーのハーフであるラークス、リヴァイアサンのリヴィアが彼の眷属となり、

その気になれば世界を支配する事も可能と嘯く彼等眷属の力を試す目的で1つの小国を攻め込んだら

僅か3日で陥落し、その小国オヴェロンはそのまま正嗣の物となった。


そんな彼の下にアルバスが現れたのは正嗣が転移してからおよそ半年経ってからの事。

アルバスは正嗣にこう言ってきた。


「君は記憶を無くしているんだってな。

 私と共にくれば君の記憶を取り戻す手伝いをしてやる」と。


国王の座に就いてもなお充実感を感じずにいた正嗣にとって興味惹かれる言葉だった。

この男の下に就けば、自分の失われた記憶を取り戻せる。

そう思った正嗣は、エタニティに加入。

資金援助などの功績が認められ短い期間で幹部に昇格した。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



狼女のルプスがリゼルとクドーの間に割って入る様に飛び込み、

リゼルの鎖骨辺り目掛けキックを叩きつける。

リゼルは咄嗟に細剣を交差させルプスのキックを防御。

数センチほど後ずさるが転倒して大きな隙を晒す事だけは避けられた。


「あンだテメェ!!邪魔すんじゃねぇ!!!」


タイマン勝負に水を差されたのが気に入らないのかクドーは眉間にしわを寄せ怒鳴りつける。


「手伝ってあげてるのに」


「必要ねぇ!こんな奴俺一人で十分だ!!」


一方のリゼルは、


「……くっ!」


刀身から二つに折れた二本の細剣を見て思わず歯噛みした。

元々衝撃に耐えられる様作られていないのは承知していたが、

ルプスの蹴りは素早く、完全な不意打ちだったのも相まって見てから避けるのはほぼ不可能であった。

使い物にならなくなった細剣を放り身構えるリゼル。

もはや頼れるのは己の肉体だけ。


風切り音が右から聞こえてくる。

リゼルは上体を逸らし回避するが、クドーの"デスストリングス"をかわしきれなかったのか左肩が切れ出血。

更にもう一つのデスストリングス(・・・・・・・・・・・・・)がリゼルの脇腹を掠め、

衣服を切り裂き、リゼルの美しい白い肌をも切り裂いて鮮血を迸らせる。

出血した脇腹を抑え崩れるリゼル。

そこへクドーのデスストリングがかまいたちの様にリゼルの身体を切り刻み、

更にルプスが追撃の飛び膝蹴りをリゼルの顔面へと叩きこむ。

鼻から出血、頬にも痣が生まれリゼルは仰向けに倒れた。

全身傷だらけになり、それでもなお立ち上がろうとするリゼルを見下ろすやクドーは、


「ザマァねぇな。散々俺の事化け物扱いしてきたが、今のお前の顔の方がよっぽど化け物じゃねぇか」


「あんた…女の子にそんな事言って酷いと思わないの?良心が痛んだりしないの?」


「思わんね。こちとら半分くらいお前のせいで死にかけたような物なんだ。むしろスカッとするくらいさ」


「…ッ!最ッッッ低ね……あんた」


リゼルが怒りと蔑みの眼差しをクドーに向けると、クドーは恨めし気な形相でリゼルの腹を踏みつけた

それでも尚怒りと蔑みの眼差しをやめないリゼル。その時だった。


「全くもってその通り。女の子の扱いが全くなっていないわね。」


場内に居合わせた誰とも似つかない女の声。

皆の視線が選手用の入場口に向けられる。

そこにいたのは…和服姿の美しい女性と上半身に包帯を巻きつけたリザードマン。

そして若い男女。


「貴様らは…!」


クドーが唸る。


「大和国代表、ツバキ・タカクラ!」


「智龍の国代表、ジン・ハゥロン!」


「えーっと…埼玉県さいたま市代表、シバタ・カツヤ」


「同じく埼玉県さいたま市代表、シバタ・ユキ」


四人は呼吸を合わせ、「義によってリゼル・ミァン・ルトヴァーニャとその仲間に助太刀いたす」と同時に応えた。


「貴方達…」


リゼルは身じろぎしながら呟き、


「助けて…くれるの?」


「私達を?」


シャインとシャッテが驚きを見せる。

それに対しジンが、


「我々は皆この大会の為日々練磨を重ね己を鍛え上げてきた。

 神聖なるこの場を傍若無人な輩共にこれ以上汚させるわけにはいかない。」


続けてツバキが、


「しっかりなさいお姫様。貴方が死んだら嘆き悲しむ人はここにはたくさんいるでしょ?」


それを聞くやそれまで恐怖のあまり沈黙を続けていた観客たちが、


「そ、そうだ!彼女の言う通りだ」「リゼル様をいたぶっておいてタダで済む筈がない事を連中に教えてやれ!!」

「お願い!そいつ等をやっつけて!!」「あんた達だけが頼りだ!!」「立ってくれリゼル様!!」


とリゼル達とジン達を応援する声がたちまち沸き上がる。

それを聞くとカツヤがニヤリと笑みを浮かべ、


「フッ、お姫様の絶体絶命のピンチに颯爽と現れる俺達に、沸き上がる大歓声…。

 こんだけ盛り上げられたら、カッコ悪い所は見せられないな!!」


「同感!」


ユキもカツヤに同意する。

駆けつけたジン達大会の参加者と沸き上がる観客とを交互に見やったルプス、ラークス、リヴィアは正嗣の方を見ると、


「どうしますか正嗣様!!」


「予想外の援軍です!」


「ご指示を!」


対する正嗣は不機嫌そうに髪を掻きむしると、


「あー…これ完ッ全に俺達が悪役扱いだな。やれやれ。だが大した事じゃない。

 作戦に特に大きな変更なし。新しく出てきた連中もまとめて相手してやれ」


ジンはシロウの下へ、カツヤとユキはシャインとシャッテの下へ、そしてツバキがリゼルの下へ駆け寄り身構える。


第二ラウンドの始まりだ。


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