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オズマ戦記  作者: 葱龍
一章「消えた聖剣と呪われし王女」
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第二話「命の恩人は異容な二人」

19/4/7追記 誤字修正しました

冷たい。

硬く、冷たい感覚がコウの頭に伝わってくる。

これは土の感触だろうか?

コウが自分が死んだ事を悟っていると


「・・なさい・・・!」


ベシベシと叩かれる様な痛み。

何なんだ一体。


「・・・きなさい・・・!」


叩かれるような痛みは続く。

なんなんだ。俺はもう死んだんだ。

なのになんで痛みを感じ


「起きろっての!!」



さっきとは違いとてつもなく重い衝撃を受けコウは目を覚ました。

痛ぇなと毒づこうとするが、目の前の威容を見た瞬間その気は瞬く間に消え失せた。

コウの目の前にいるのはローブを羽織ったトカゲと・・・黒い鎧の人型。


「うおあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」


驚き座った姿勢のまま後ずさるコウを見やり黒い人型は


「そんな驚く事ないじゃない」

「無理もない。今のお前さんの姿を見たら誰であろうと驚くし怯える」


そう言うとトカゲはややおぼつかない足取りでコウに近づき、


「怖がらんでも良い。ワシ等は敵ではないよ」

「て、敵じゃないって?」


コウが問うと黒い人型が二歩歩み寄り、


「貴方が野盗と戦ってるのを見て加勢しようか様子見してたんだけど、心配は無用だったわね」

「無用なものかよ。あんた達が加勢してくれてれば俺は死にかけずに済んだんだ」

「それは油断していた貴方が悪い」


ぐうの音も出ない正論で反論されコウは返す言葉を失った。

確かにそうだ。

あの時自分はすさまじい力を得たと調子づかなければあんな怪我負わずに済んだのに。

だいたい本当に異世界転生の際に力を得たのならあんな野盗相手に傷つく事はなかった。

コウの能力は、転生前とそんなに変わらない。

その事はコウにとってショックであった。


「結局、地道に努力していくしかないって事か・・・あぁ、傷を治してくれてありがとう」

「それはどうも。それで貴方、これからどうするの?」


黒い人型に問われコウは少し考え、


「どうにかするにも俺には何もない。金も、コネも、何も持っちゃいない。ある物はこの身一つと、ちょっとの食い物と漫画本。

 街の方に行ってどうにかしないと。えーっと・・・ダー〇ベイダーっぽい人、道案内してくれ」

「リゼルよ。姓の無いただのリゼル。だいたい何よダー〇ベイダーって」


この黒い人型の、リゼルの反応はコウにここが異世界であると改めて実感させた。

40年前に公開されるや瞬く間に世界中で大ヒットした映画シリーズの特に人気の高い悪役キャラをこの真っ黒鎧ガールは知らんと言うのだ。

コウ自身結構気に入ってたキャラなだけにショックだった。


「何って・・・俺のいた世界にはアンタみたいな鎧着たキャラが出てくる映画があるんだよ」

「貴方、いったい何処の国から来たの?」

「うむ。見た所うぬの身なりもルトヴァーニャはおろか何処の国の物とも似ておらん。まるで未開の地より来たかの様だ」


地味に痛い所を突くトカゲだとコウは思った。

実際彼らからすればコウのいた日本が未開の地は事実だろう。

いや元々英国貴族の身の回りの世話をするメイドと言う職業にネコミミを付加している時点で

中世ヨーロッパの人々に言わせれば日本はもはや異世界の類ではないか。

連中は未来に生きている、とはよく言った物だ。


「未開の地・・・まぁ間違っちゃいないな。あぁ、自己紹介が遅れてた。俺は小妻コウ。日本って・・・えーっと東の方にある島国から来ました」

「コウ、良い名だ。ワシはリド。そこのリゼルに剣術と魔法、それに道徳を教えておる。コウとやら。お前さん街に行きたいんだってな?


リドと名乗ったトカゲはコウに近づき右肩を叩くとその耳元に顔を近づけ、


「それだったらワシが代わりに行ってやろう」


落ち着いた口調で語りかけるがその目つきは真剣そのもの。何やら複雑な事情があるようだ。


「わ、解った。そっちの言う通りにしよう」

「別に脅すつもりで言った訳じゃないのにのぉ。傷つくわ~」

「そんなに顔近づけられたら誰でも引くっての」

「ワシのチャーミングな顔をそんな風に言うとか余計傷つくわ~」


おどけて見せるリドとは対照的にコウの表情は酷く怯えていた。

と言うか、チャーミングって普通自分で言うか。


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