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オズマ戦記  作者: 葱龍
三章「熱闘!ルトヴァーニャ大武闘会」
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第二十三話「明日への錬磨」

コウがルトヴァーニャ大武闘会への参加を決心して一日が経過した。

リゼルやマスター・リドと共に草原に赴いたコウ。

その服装はいつもの仕事着ではなく、白地に青い帯を巻いた稽古着だ。


「さぁ、始めてくれ」

「えぇ。まず体術から覚えていきましょ」

「体術って…武器を使わず腕や脚を用いて技を繰り出す…的な?」

「そう、良くご存じね。大武闘会は武器の使用は一切禁じられていて、使えるのは体術と魔法のどちらかになる。

 だから…」

「ワシが魔法を、リゼルが体術をお前に教えてやると言う訳じゃ」


そう言って身構えるマスター・リド。

どうやらこれから3週間実施される修行は実戦形式らしい。

それを理解するやコウも身構え──


「ッ!?」


るより先に吹き飛ばされた。

50マルト(約5メートル)ほど地面スレスレを滑空した後、地面を転げまわるコウ。

うつ伏せ状態で制止した後痛みで鈍った首をもたげリドの方を見る。

リドは両脚を肩幅に開き、右腕を正面に突き出したまま静止していた。


「い、今のは……正拳突き?」

「良く知っておるな」

「昔空手やってたもんで」


コウがゆっくりと立ち上がるのを見やるとリゼルが、


「正拳を受けた時瞬時に身を捻って首と背骨が折れるのを防ぎそれ以外の部位への最小限にとどめる…。

 受け身はちゃんと出来てるみたいね」

「まぁね」

「基礎が出来てる以上型とかを教える必要は無さそうね。じゃビシバシ行くから覚悟なさい」


リゼルの様な美少女にビシバシ…。

一部の人にはとても魅力的に聞こえるが、

彼女らの「ビシバシ」は魅力的どころか

ありがとうございます!とか我々の業界ではご褒美です!と言える様な物ではなく、

やれ黒いコートのネトゲ大好き美少年剣士が奥の手として使いそうな二刀流による超スピードの連続攻撃を素手で全部防御しろと無茶ぶりされたり、

やれ魔法で作った巨大岩石を受け止めろと言われたり、

やれ何処から持ってきたかも解らないチャリオットで追い回され、逃げようものなら「逃げるな!突っ込んで来い!」とまた無茶ぶりをさせられ…


特訓のあまりのスパルタぶりにコウは精神以上に身体の方が先に参ってしまい、

夕暮れに帰宅するやリビングまでフラフラとおぼつかない足取りで歩いていくと、

ソファに倒れる様に身を沈め、そのまま深い眠りにつくのだった。


しかし、そんな生活を繰り返している内コウも体力がついてきたのか

特訓5日目になる頃にはソファに倒れるように寝る事は無くなり、

特訓の方もリドとリゼルの「無茶ぶり」にかなり対応できるようになっていた。

そして特訓七日目。


「はぁぁっ!!」


いつもの様に二刀流からの連続攻撃を繰り出すリゼル。

しかしコウはそれを怖気づく様子もなく、両の手で軽くいなしていき、


「んっ!!」


カウンターの左掌底でリゼルを弾き飛ばす。

しかしリゼルは空中で一回転すると体操の世界大会なら余裕でメダルが取れそうな程しなやかで華麗な着地を決める。


「この短期間で、見違える程強くなったわねコウ!」

「うむ。基礎の部分はこれで出来上がった。今度は戦いを優位に進める為の応用編。『技』の会得に取り掛かるとしよう」



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技の会得、そう言うとマスター・リドはリゼルと対峙。

2人を見守るコウに目配せすると、


「よいかコウ、これから見せるのは我がアーレンバーグ流の技の一つ…」

「アーレンバーグ?」

「マスター・リドの事よ。フルネームがリド・アーレンバーグだから、アーレンバーグ流」

「なるほど…つまりはマスター・リドオリジナルの流派なのか」


「まず、相手の背中に馬乗りになる」


そう言うとマスター・リドが右手の指を鳴らす。

するとどうだろう。リドの右隣の土が盛り上がり、1つの人形を形成していくではないか。

人形の大きさはだいたいコウと同じくらい。だが顔らしい物は一切なく、肘や膝など各部の関節も剥き出し。

画材店で売っているデッサン人形をそのまま大きくした様な人形がそこにはあった。


「次に両脚で相手の腿を抑えたまま、両手で相手の両手首を掴み、そのまま上に持ち上げる。

 これがアーレンバーグ流格闘術の技の一つ『龍面固め』じゃ。技が決まった時の様子が龍の顔面に似ているから龍面固めと呼ばれる。

 これは見ての通り非常に簡単な技だが、かけられさえすれば相手の両腕と胴にかなりのダメージを…」

「それパクリですよね?」


コウは白けた様子で問うた。


「ぬ?」

「俺前いた国でそういう技見た事あります。名前以外全く同じ技を。」

「むぅ…ワシはこれまで100人を越える者達を弟子にしてきたが、コウの国にもワシの技が伝えられていたとは」

「いやアンタパクっただろパロスペシャルを」


その後もコウは、マスター・リドから数多くのどっかで見たような技を教えられ、

その都度パクリではないのかと直訴するのだが聞き入れてもらえた事は一度足りともなかった。


光の魔法に関してはどっかで見たような物がなかったと言うか、

マスター・リドもリゼルも光の魔法だけは会得出来なかったので全部自分で何とかしなければならないのであった。

自分だけのオリジナル魔法が編み出せるのは利点と言えば利点だが、ぶっちゃけ一長一短である。


そうして技の会得と練磨を繰り返すうち、3週間と言う月日は瞬く間に流れ、

遂にルトヴァーニャ大武闘会の日がやってきた!!


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ルトヴァーニャ王国は首都ルプシカ。

そこから西へ12マルール行った先に巨大なすり鉢状の建造物があった。

ルトヴァーニャ国立大闘技場。

由緒ある闘技場の体を持つそれは最大収容人数46万人と言う国内どころかアーサレナ中探してもこれより巨大な競技場は無いのではと言われる程の大きさだ。

(これは野球開催時の東京ドームの10倍に匹敵する数である)

階段状の観客席は既に世界各地からこの日の為に集まった観客で溢れ返り、熱気であふれ返っている事だろう。


国立大闘技場の入り口前。

想像を越える巨大さで来る物を待ち構えるそれを見上げたコウは、


「こんなデカい所で戦うのか…」


彼の隣にはエル、シャイン、シャッテ、ゴンザ、モヨモト、マスター・リド、そしてリゼル。

いつもの何でも屋のメンバーだ。今日ばかりは何でも屋も休業し大武闘会の観戦に専念する事になっている。


「すごいすごーい!」

「おっきーい」


シャッテは今まで見た事が無いであろう闘技場の大きさに興奮しその場でぴょんぴょんと跳ねまわっている。

シャインもシャッテの真似をしぴょんぴょん跳ねまわる。傍目からすればどっちが姉でどっちが妹かさっぱりだ。

マスター・リドはコウの背中をポンと軽く叩き、


「今日までの3週間を思い出せ。努力は決してお前を裏切りはしない」


リゼルもコウの左肩を軽く叩き、


「相手が誰だろうと関係ない。自分の力を出し切りなさい!」


ゴンザは身を乗り出すと親指を立て、


「最前列の一番いい席で応援してますから!」


皆の鼓舞を受けコウの胸は高鳴り、昂る。

そうだ。今の自分には研鑽に研鑽を重ねてきた技がある。

背中を押してくれる仲間がいる。

負けよう筈がない。

コウは一歩ずつ噛みしめながら大闘技場への道を歩き出す。

目指すは頂点、優勝の二文字のみ!!


風邪ひきました…。

次回の更新はしばらく先になりそうです。

ホントに申し訳ありません。ただでさえ執筆ペース遅いのに。

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