番外編「はじめてのお仕事」
コウが何でも屋稼業を始めてから5日。
最初は荒れ果てていた内装を皆で手分けして片付け、
家具屋で買ったソファやテーブル、インテリアなどで内装を整え、
意気揚々と依頼が来るのを待っていたが、3日も経てば一日目の気力は失せ、
5日目となるともう寝る以外にやる事が無くなってしまった。
仕事が来ない。この状況はコウからも社員からもやる気を失わせるには十分な効果があった。
「………働きたいでござる」
コウはソファに体全体を沈めたまま呟く。
「でも仕事ないんじゃどうしようもないわよ」
リゼルが椅子に座ったままテーブルに上体を預け応える。
「もう食べて寝る以外やる事が無いでござる。
せめてお姉様が添い寝してくれれば…」
そんな戯言を口にしたのはエル。お姉さまとはリゼルの事である。
リゼルが身を挺してエルを庇った結果、エルの中で何かが目覚め
いつしかエルはリゼルの事を「お姉様」と呼び慕う様になっていた。
いや、慕うと言うよりはもう殆ど欲情している状態に近く、
隙あらばリゼルの下着を盗み、浴室に入れば容赦なくセクハラに走り…
と幾度となく変態行為に走る為コウもリゼルも耐え兼ね
入浴は男とリゼル、エルの三回に分け、部屋割りはリゼルとエルとに分け、
洗濯もエルにやらせないと徹底してエルのセクハラを阻止する方向で固まっていった。
当然ながら、
「やめるでござる」
とコウはエルの凶行を抑止。
それを見たリゼルは、
「けどなーんにもやる事が無いってのは流石にキツいわね。せめて報酬安めで良いから何か仕事しないと、身体が…鈍ってきちゃう」
「良いんだぜリゼル、城の方に戻ったって」
「行った所でやる事なんか一つも無いわよ。そういう意味じゃここと変わらない」
「リドさんゴンザ、モヨモトは?」
「いつもと一緒。勉強中よ」
「時に社長さん」
とエルがコウに問う。
「なんだ?」
「仕事が無い仕事が無いと嘆いてるけれど…このお店の宣伝はちゃんとやりました?」
瞬間、三人のいる室内を静寂が包み…
「忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
火が付いたように絶叫するコウ。
「なぁんで肝心な事を忘れるんだ俺はァァァ!!宣伝も何もしなきゃ客が来る訳ないだろぉぉおぉぉおぉぉぉぉぉ!!!!
バカだ俺はバカだバカアホボケハゲ!!!!」
「自分を責めてる暇があったらどうやってお客集めるか考えなさい!!」
錯乱するコウをリゼルが叱咤し、何とか落ち着きを取り戻すコウ。
「そ、そうだった。まずチラシを作ってそれを配って回ろう。2枚3枚とかじゃなく、何十枚も何百枚も」
「チラシって事は紙が必要ね。で、それ誰が配るの?」
と言うリゼルに対し、
「誰が配るのって、決まってるだろう。」
コウはリゼルとエルを指さし、
「お・ま・え・ら・ふ・た・り・だ・よ」
「何でも屋オズマ、やってま~~~す!!」
「ペット探しからドラゴン退治まで、何でも承りまーす!!」
白と黒、フリフリのメイド服を身に纏い、
街路に立ち宣伝文句を高らかに叫びながら行き交う人々に何でも屋オズマのチラシを配って回るリゼルとエルの二人。
リゼルは言わずもがなエルも中々のルックス。
美少女二人による宣伝は効果てきめんか、人々に与える第一印象は上々。
チラシはみるみる内に減っていった。
「やったやったー!これで仕事に困る事は無くなるね!!」
エルはぴょんぴょんと小刻みに跳ねて喜びアピール。
「あとは依頼を待てば良いと言いたいけど…なんでメイド服?」
対照的にリゼルはやや不満げにコウに問う。
「そりゃこういう仕事の場合私服よりメイド服の方が適任だし…。もしかして嫌だった?」
「嫌じゃないけど……その…恥ずかしい……」
この日以降リゼルがメイド服を着る事は無くなった。
凄く似合ってるのにと思うコウとエルだったが、リゼルが聞き入れてくれる事はなかった。
翌日。
街中でチラシを配った効果が出たのか早速依頼人が何でも屋オズマを訪ねてきた。
依頼人は男性で身長は180cmほど。髪は茶、やや痩せ型。
「どうも。わたくしゴレゴンと言う港町で町長の秘書をやっている、グレゴリーと申します」
角テーブルを挟む様にコウの反対側に座るグレゴリーは丁寧に挨拶。
「はるばるお疲れ様です。」
コウも頭を垂れ挨拶を返し、
「して依頼と言うのは?」
「ゴレゴンでは今年の漁が始まって久しいのですが、近くで魔物が現れ港を襲っていて困っていたんです。
騎士団は今大半が出張っていて討伐用の部隊を回せないと言うし…」
「それで、ここに魔物討伐の依頼をしに来たと」
コウの左隣で話を伺っていたリゼルが言葉を紡ぐ。
「はい。貴方方の実力が良く解らないと言う一抹の不安はありましたが」
グレゴリーが不安に思うのも無理はなかった。
コウは既に野盗三人、人型の怪物一人を倒した実績はあるが、
それはこの世界においてはほんの隅っこでの話でしかない。
だがそれは逆に考えると、
今回の依頼を成功させれば一定の名声が得られ、次の依頼が受けやすくなり、
その次の依頼も成功させ…と言う循環が生まれる。
つまり、千載一遇のチャンスと言う訳だ。
そう自分に言い聞かせるとコウは、
「グレゴリーさんが不安に思うのも無理はありません。俺自身、この世界にはまだ慣れていないし、
俺の事を知らない人間なんて、この世界には何億といるでしょう。
ですが幻滅はさせません。必ず、必ずや魔物を討伐し漁師の人達が安心して漁に出れる事を、約束します」
そう言うとコウはテーブルの真下から紙と朱肉を取り出し、
紙に自分の名を書き、依頼主であるグレゴリーに名を書かせると
「報酬はどれくらいに?」
「50万ほどとゴレゴンの名産品でどうでしょう」
「よし乗った」
報酬の話を早々に済ませ朱肉の上に親指を押し付けるとそのまま親指を紙の上に押し付け、印をつけた。
取り出した紙は依頼の契約書。これに印を押す事で依頼を受けたと言う証明となる。
「契約完了、っと。ゴレゴンまではどうやって行けば?」
「ここから南東に600マルールの所ですがご安心ください。移動用の馬車をこちらで用意しますので」
「そいつはありがたい。リゼル、エル、出発の準備だ。」
「もう出発?」と言うリゼルの苦言を聞き流し、
壁に掛けてあった荷物袋を手に取るとコウはその中に食料や治療薬を片っ端から放り込んでいくと、
壁に立てかけてあった剣を手に取り、
「やっとこいつを使う時が来たようだな…」
そう独り言ちると以前近場の武器屋で買っておいた長剣を背負う。
呪われてはいないが魔法の術式も施されておらず、材質も武器屋の親父曰く普通の鉄と
何一つ変わった所のない鉄の剣だが、それでも無いよりはマシだろう。
コウ自身の準備は終わった。
エルとリゼルが身支度を終えるのを待つと、まるで見計らったかのようにタイミング良く到着した馬車に依頼人と共に乗り込み、出発した。
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馬力を用い、人員や荷物を載せた荷車を牽引する極めて長い歴史を持つ乗り物、馬車。
その中で外の風景を見ながら上下に揺られていると自分は異世界にいるんだとコウは改めて実感させられた。
見渡す限りの青と緑。都会育ちの、ましてや引きこもりには見慣れない風景だ。
「こうして見ると綺麗だけど、あの辺りには魔物とかがうようよいるんだろ?」
「まぁね。だから街の子供たちは自分の親に森には近づくなって言い聞かされてる」
窓際で頬杖を付きながら問うコウに向かいに座るリゼルは視線を合わせる事なく答えた。
ありえない話ではない。工事現場に近づくなと注意するのも、魔物のいる森に近づくなと注意するのも危険だから駄目だと言う意味ではそう変わりはない。
子の安全を第一に考えると言う本質は、どうやらこの世界でも変わりないらしい。
「ところでリゼル」
「なに?」
「俺たちこれから魔物の討伐に行く訳だけど、この世界って人間とリザードマン、魔物以外にどんな種族がいるんだ?
屋根のある家を作れるのは人間だけって事はないよな?」
「そうか、貴方ルトヴァーニャ領から外に出た事ないのね。良いわ、説明してあげる。
この世界、アーサレナには人間の他にエルマ、ケイフォンと呼ばれる亜人種と魔人と呼ばれる者がいるの」
「聞かない名だな」
「エルマは森に住まう亜人で人間以上の寿命と視力を持っているの。
魔術や薬草学にも秀でているけど人間嫌いで有名だからあまり近寄らない方が良いわね」
「長命で人間嫌いな森の亜人か…。何とかして仲良くは出来ないのか?」
「過去幾度もそうした試みはあったけど、親善大使が首だけになって帰ってくるだけだったわ」
「創造してた以上に野蛮な連中だな…。まさかケイフォンも人間にそんな真似する様な奴らなのか?」
「いいえ。ケイフォンは人間に対してかなり友好的で、持ち前の器用さを活かして色々な工芸品を人間に与えてくれるの。
基本的には山に集落を作ってそこに住んでいるけれど、中には人里で暮らしてる者もいると聞くわ」
まるでファンタジーのエルフとドワーフじゃないか。
内心そういった感想を述べるとコウは、
「して、最後に言った魔人ってのは?」
「…魔人は、魔人族は武力、知性、魔力、あらゆる点で人間もエヌランもケイファンも凌駕しうる能力を持っているけど、
その能力を他の種族から見て『邪悪』と思える事にしか活用しないこの世で最も恐るべき存在よ。
己が欲望と衝動を満たす為なら、他種族ですら平気で滅ぼそうとする。
あまりの凶暴さと危険性から魔人族と魔人族以外の種族とで戦争が起こったわ。私が生まれる何十年も前にね」
「戦争って…」
「十数年にも及ぶ長き戦いで、多くの戦士が傷つき斃れたわ。でも結果的に人類と亜人が勝利し、魔人族は地の底深くへと追いやられたわ。
今となっては『かつて存在していた』と言う証拠が各地に残る程度でその存在を疑問視する声も目立ってきてるわね」
リゼルが異種族の話を一通りし終えると、ふいに馬車の動きが止まる。
どうやら目的地に着いたらしい。
荷車の扉が開け放たれ、各々に馬車の外へと降りていく。
「さーて、鬼が出るか蛇が出るか…港だからウミヘビかもな」
軽くストレッチをし、身体をほぐしながらコウが呟くとグレゴリーが、
「魔物は毎日日中に海から現れ、そして日没と同時に海へと戻っていきます。
もうそろそろ、出てくる筈なんですが…」
グレゴリーが海の方を見やると、沖の方から何かが飛沫を上げて飛び出し、港に泊めてあった漁船の一つに着地した。
イカだ。白い体と吸盤の付いた2本の触腕と8本の腕、何を考えているのか全く読ませる気のない眼を持ったイカだ。
……等身大の。
「あれです!あれがゴレゴンの港を襲っている魔物…クラーケンです!!」
「クラーケン!?クラーケンって言うともっと…ビッグなのじゃ…」
「あいつは海から現れては漁船や市場、宿屋に押しかけ餌である魚食い荒らすから困っていたんです!!
さぁ早くやっちゃって下さいよ!あいつ倒すのが私達の依頼なんですから!!」
そう言うとグレゴリーは安全と判断したか、民家の影に身を隠した。
「やれやれ、簡単に言ってくれるよな…。
だがやると約束した以上半端はしないしみんな迷惑してるって話なんだ。恨みはないが……」
コウは腰に提げた剣をゆっくりと鞘から引き抜き、両手で構えると、
「やらせてもらう!!」
そのままクラーケン目掛け一直線に突撃した。
クラーケンの頭(いや腹か?)目掛け振り下ろされる刀身。
しかしクラーケンはその刃を器用にも2本の触腕で白刃取りし、4本の腕でコウの腹目掛け連続パンチ。
コウが体勢を崩した瞬間にコウの背後へ回り込むと、胴を掴み…
「バックドロップ!イカーッ!!」
そのままブリッジ体勢でコウの頭を漁船の甲板に叩きつけた!!
「グワーッ!!」
バックドロップの衝撃で激しく揺れる漁船。コウの手元から零れ落ちる剣。
クラーケンがバネ仕掛けの要領で元の直立姿勢に戻ると数秒遅れてコウが仰向けに倒れる。
「カハッ!」
「コウ!!」
「社長!!!」
「あぁ言い忘れてました!あのクラーケンはイカカラテを使うんです!!これまで街の腕利きが幾度となく勝負を挑んだのですが
いずれもあのイカカラテによって返り討ちに遭っているんです!!」
「あれがカラテだと言うならカラテじゃない武術ってなに?」
とリゼルが苦言する。
「そんな事よりお姉様!あいつを早く何とかしないと社長が!!」
「そ、そうだわ!グレゴリーさん、あいつ何か弱点はないの!!?」
「そう言われましても……あっ!そうだ!!あのクラーケンがイカの魔物なら…弱点もイカと同じ筈!!」
「イカの弱点って………なんです?」
グレゴリーにそう言われるやリゼルとエルは返す言葉を失い、沈黙。
するとコウが、
「リゼル!」「イカーッ!」
「こいつが!」「イカーッ!」
「海から!」「イカーッ!」「出てきたのなら!」「イカーッ!」
「体の!」「イカーッ!」「表面は!」「イカーッ!」「濡れている筈だ!」「イカーッ!」
「!そうか、雷属性の魔法なら!!」
「使えるのですか!?」
「ええ、けど通じない可能性もあるから、念の為武器になりそうなのを探してきて」
「解りました…!お気をつけて!」
エルが街中に消えゆくのを後ろ手に見やるとリゼルは五歩ほど前進。
両手の人差し指と中指を立て、自らの額を両の手で指し、叫んだ。
「リゼルッガイザァァァーッ!!!!」
額から紫と黄色二筋の稲妻が迸り、渦を巻きながらクラーケン目掛け殺到する。
リゼルガイザー。
そう名付けられた雷魔法はリゼルが独力で編み出したリゼルのみが使えるオリジナル魔法だ。
額から発せられる二筋の稲妻を螺旋状に照射する事で威力と命中率を向上させる働きがあり、
通常の雷魔法で初歩の呪文「プラズマボール」は電気の塊を打ち出す魔法で、
威力は弱めの魔物なら一撃で感電死させるものの速度があまりに遅く、避けられやすいと言う欠点があるが、
このリゼルガイザーは威力、命中率ともにプラズマボールの比ではなく、
魔法の速度もその二筋の稲妻の素早さは凄まじく、今まさに雷光の如き速度と威力でクラーケンを貫いた。
「イカグワァァァーッ!!」
稲妻の直撃を受け悶えるクラーケン。
雷属性が有効であると言う何よりの証拠だ。
しかし稲妻の直撃を受けたのはコウとて同じ事!
「ンギャァァァァァァァァァァァァァァァァアァァァ!!!!」
半世紀近く前の漫画であれば骨まで見えそうな程の電撃を受け絶叫するコウ。
リゼルは慌ててリゼルガイザーの照射を中断する。
クラーケンの拘束が解かれた隙を見てコウは手放した剣を取ろうとするが、
再びクラーケンが背後からコウを羽交い絞めにする。
首筋に回される触腕がギリギリとコウの首を締め上げる。今度はチョークスリーパーだ!!
「くっ…これじゃ埒が明かないじゃない‥‥‥!」
一向に打開できずじまいの現状にリゼルが歯噛みしていると、
「お姉様!」
エルが細く長い金属パイプとチューブで繋がったドラム缶を担いで再びリゼルの元に現れた。
「エル、それは?」
「草焼き用のガスバーナーです!こいつで炙ればいくらあの化物とて!!」
「でもそれだとまたコウが!!」
「心配は…いらない!」
そう言うとコウは身をよじらせ、クラーケンの背中をリゼルの方へ向ける。
「これで躊躇せずこいつを焼ける筈だ!!」
エルはすかさずバーナーをクラーケンの背中に向け、点火。
バーナーから放たれた燃え盛る炎に煽られクラーケンは悶え、コウの拘束が緩む。
コウはクラーケンの触腕を振りほどくと素早く落ちていた剣を拾い上げ、クラーケンの眉間目掛け突き刺した。
「イカグワァァァーッ!!」
「今だリゼル!さっきのあの技を!!」
前転でクラーケンとの距離を取るとコウはクラーケンに眉間に刺さった剣を指さし、リゼルに指示。
リゼルは何も言わずただ頷くと、
「リゼルッガイザァァァー!!!」
両人差し指と中指で額を指さし、二筋の電撃をクラーケンに突き刺さる剣目掛け照射。
放たれた電撃は剣を伝い、クラーケンの体を内側から焼き尽していく。
身体を内側から焼かれたクラーケンは激しく身もだえするが、やがてその動きも鈍くなり、
しばらくするとクラーケンはその場にうつ伏せに倒れ動かなくなった。
「やったのか…?」
「焼かれて刺されて痺れさせて…これで生きてたら本当に化け物ね」
そう言うとリゼルはクラーケンに近づき、頭を軽く蹴りつける。
クラーケンはピクリとも動かない。
「大丈夫。もう死んでる」
「そうか…。これで、最初の依頼は成功と言う訳だな。グレゴリーさん」
コウに呼ばれてか、それとも戦いが終わってか物陰からグレゴリーがひょっこりと姿を現す。
「クラーケンは倒しました。報酬の方ですが…」
「えぇ解ってます。漁に出れない辛さに比べれば50万なんて安いもの。ゴレゴンの名産品は後日郵送でお送りいたしますので」
「あっ」
依頼の話をしていると急に思い出したかのようにリゼルが声を上げる。
「どうしたリゼル?」
「師匠に依頼で店を開ける事言うの忘れてた…」
「そりゃ大変だ。どうする?伝書バトでも飛ばして帰り遅くなるって伝えるか?」
「伝書バトって…それいつの時代の話?」
そう言うとリゼルは懐から掌に収まるくらいの大きさの長方形の物体を取り出す。
長方形の物体を握る手の親指で手慣れた様子で操作するそれを、コウは知っていた。
そう、リゼルが今操作している長方形の物体、それは……!!
「…この世界、スマホあんのかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ファンタジーの世界観にあまりに似つかわしくない、下手をすれば世界観をぶち壊しかねないその万能ツールを眺めながらコウは叫んだ。
その叫びは、平和を取り戻したゴレゴンの街の青空に思いのほか長く響き渡った。




