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蒼穹の神滅者(シルヴァリオ)  作者: 1
第2章 堕ちる世界
43/85

第43話 魔法学院編〜激怒〜

色々あって1ヶ月ぶりの更新です。

色々あったんです。

とりあえず最新話を挙げます!

 教会都市ハルテージの南区画に存在する魔法学院。

 その学院にある中庭は施設に比して広く設計されており簡単な実習、実験もできるようになっている。

 いつもの日常ならば昼過ぎは多くの学徒や講師、研究者らが昼食や休み時間として賑わうのが常なのだが今その中庭に立っているのはたった2人だった。

 そしてその周りには学徒、講師陣が気を失って倒れている。

 その場に立っている2人は互いを違う意思を湛えた瞳で鋭く睨み合っていた。


「ラドル……会いたかったよ」


 神を見るように、恍惚な表情を対面する男に向けるグルトミア十星将序列2位ダルタニア。

 その彼女からの信仰に近い思慕を無視するように静かな怒りを滲ませている神滅者ラドル・アレスフィア。


「俺は会いたくなかったよ。……何しに国境を侵してまでここへ来た、ダルタニア」


 ラドルの問いにきょとん、と目をぱちくりしてクスッと笑う。


「いやだ、耳が遠くなった?ローグからも聞いているでしょ?貴方を殺しにきたの。この私の手で」


 その言葉を聞いて、一つ目を閉じてふ、と鼻で笑うラドル。

 それを見て癇に障ったダルタニアがその意味を問いただす。


「何がおかしいの?私には無理だと言いたいのかしら?」

「……お前には無理だ」

「どうかしら?私の力の全てを貴方に見せたわけじゃない。必ず貴方は私の手で殺す為に磨き上げたこの力をーー」

「そういう事じゃない」

「え?」


 ラドルの言葉の意味が理解できずつい聞き返してしまう。その反応にラドルはちら、と周りに倒れている学院関係者を見て手を広げた。


「こんな一施設の、しかも大した力も持たない学生すら一人も殺せない程度の力を持たないお前が俺を殺す?笑い話にもならない」

「私がこんな羽虫に負けたとでも言うつもり!?」

「つもりも何もお前は負けたんだよ。この学院の、特に俺の教え子たちに。何の力も大した力も無いこんな連中を一人も倒せずに時間を稼がれて俺が来るまで持ちこたえられた。完膚なきまでの負けだよ、お前の」

「違う!!」


 ラドルの指摘に反論する答えとしてか尽きたかに思えた体力魔力が再び漲り溢れ出す。

 その表情に先程までの恍惚さはどこかに吹き飛んでいた。


「私に勝っていいのはラドルだけ!貴方以外のヤツに負けるなんて認めない!貴方の命は私だけのモノだから!貴方を救えるのは私だけ!だから殺す!私の手で!」

「やれやれ、自己妄想の激しい信奉者だとは知っていたがこれほどとはな。だがな」


 そこまで言った時ラドルの瞳が急激に青みを増して行く。それと同時にダルタニア以上に魔力を放出していく。

 その双眸もまた激しく鋭くなる。


「お前は俺の逆鱗に触れた」


 その力の底知れなさにダルタニアは怯むどころかむしろ自然に笑みがこぼれ、身震いしていた。

 そんな力を見せつけられながらもまだ余裕の表情でラドルの言葉の意味を問う。


「何のことかしら?」

「何故こんな大勢の人間がいる前で俺の「忌み名」を出した?」

「……ああ」

「俺がその名を忌避しているのは知っているはずだ。何故それをこんな人前で軽々に口にした?」

「貴方がその名を嫌っているのは知っている。でも貴方はそんな名に縛られるべきじゃない。私が解き放ってあげたのに何をそんな風に怒っているの?」


まるで感謝されてしかるべき、と言わんばかりの口ぶりにラドルの表情が一気に険しくなる。


「まだたかだか20年そこそこしか生きてない小娘が何を宣うつもりだ!!世界の表も裏も知らぬただ戦いだけが生き甲斐のような修羅の娘が俺の何を知るつもりだ!お前のその軽過ぎる口を塞がなかったのは俺の失策だった。それを今思い知らせてやる」


 右手に顕れた黒い神剣をして膨大な神霊力が注ぎ込まれていく。

 その姿を確認したダルタニアは更に背筋に走るものを感じると身体の芯から震える。


「神剣リーグヴェイン……!やっと私と本気で戦ってくれるのね。でもね、ラドル」


 そう言ってみせるとダルタニアも自らの手の中に在る火剣に強大な炎を纏わせる。


「私にだってあるんだよ、最強の武器がね」

「場所を変えるぞ。ここじゃ邪魔が多すぎる」

「ここでも別に構わないけど?どうせ死ぬ運命の連中だしね」

「そうかもな。だが俺の本気を多少なりと見たいなら素直に従っておけ」

「……そうね。分かった」


『『大地に縛る理よ 反転し天駆る身を授け給え 疾飛翔(セイシール)』』


 2人同時に呪印を結び詠唱を唱える。

 詠唱の締めも同時に終え、魔力が放出されるとその身が重力から解き放たれたかのように浮き上がると一気に加速しあっと言う間に空の彼方へ飛び立っていく。

 一陣の風が巻き起こると動くもののいなくなった学院中庭でもそりと動くものがあった。

 倒れながらも始終成り行きを見ていた学院長はゆっくりと立ち上がり足を引きずって同じく倒れているレナの元に寄っていく。


「……これは酷い。かなり強力な呪術を行使したようじゃな。……じゃがこれを解呪するとなると強力な触媒が必要になる。もしくは……」


 学院長フィリップが逡巡していると軽い足音が近づいてきた。

 その足音の正体を確認しようと振り向くとルイーゼが足早に駆けてくる姿があった。


「おお、ルイーゼ君!無事じゃったか」

「学院長!これは一体何があったのですか?……!

 エリナ!」


 倒れているクラスメイトの中に親友の姿を認めると急いで駆け寄りその身体を抱え起こす。


「エリナ!しっかりして!」

「大丈夫、気を失っているだけじゃ。ルイーゼ君、君はラドル君に助けられたのじゃな?」

「はい。先生はどこに?お礼を言いたいのですが……」


 お礼。

 その言葉にフィリップは違和感を感じる。

 普通なら助けたその時に礼が言えた筈。

 言えなかったとする理由があるとすれば。

 だがそれを考えるよりも先にする事がある。


「それよりも皆を介抱しなくてはのう」


 手にした杖を地に打ち付ける。


『意識の軛よ 肉体に繋ぎ止める深層の鎖を解き放て 覚醒光(メナー・ルファ)


 コォンと甲高い音と共に学院長を中心に柔らかい光が学院全体に広がっていく。

 金の光の胞子が意識を無くした学院講師や学徒たちに降り積もっていくと次第にその意識を取り戻していく。

 それはルイーゼの腕の中のエリナも同様に、ううん、と一つ呻いたあとゆっくりと瞼を開けると一言絞り出すように呟く。


「ル…イーゼ……?私……?」

「大丈夫、私は大丈夫だから。今はエリナの方が大変なんですよ?」


 ぎゅっと強く抱きしめてくるルイーゼを止める事なくされるがままにするエリナ。

 だが意識は取り戻しても身体が思うように動かない感覚はもどかしく何とか微笑み返すことしかできない。


「良かったね……お互い無事で。先生に助けられたんなら……本望だね」

「?何の話ですか?」

「ふふ。後で話すよ……」


 親友2人の会話は微妙に食い違うも今はまだそこに気づかないままに再び介抱するルイーゼ。

 一方こちらも意識を取り戻したレナは自らの腕が黒く変色した確認したあと傍らで介抱している学院長に礼を言う。


「ありがとうございます、学院長。助かりました」

「……腕の感覚はどうかね?」

「……完全に麻痺しています。感覚もありません。自分へのリバウンドは覚悟していましたが……まさかここまで強力だとは思いませんでした」

「そうじゃな、流石は白い魔女の呪術構築式じゃ。簡単に解ける代物ではないな」

「ですが手がないわけではありません」

「なんじゃと?」

「学院長に提供した母の研究報告書。解除構築式もありましたでしょう?母は必ず術者に対してのリバウンド軽減法も組み込んだ呪術を私に施していたのです」

「馬鹿な!それは呪術の常識を根本から覆す事じゃ。基本的に呪術や魔法は力量保存の法則が鉄則。それを覆すとは一体……?」

「それはまた後ほどに。……ところであの火龍は?」


 とりあえず辺りを見回して死者は出ていない事に安堵しながら意識の無い時に何が起きたのか事情を学院長に求める。


「飛んで行ったよ。神滅者と共に」

「……え?」


 ラドルが飛び立って行った空を目で後を追うフィリップ。

 だがそれよりもフィリップの胸中にあるのは別の事であった。

 それを見抜いたのか。

 それとも表情に出ていたのか。

 右腕を左手で抱えながらゆっくりと立ち上がったレナがフィリップの疑念の元である単語を口にする。


「学院長。ファーク……とは一体なんでしょうか?」


 確かマースも同じ単語を口にしていた。単一で聞けば名前だとは思うが学院長の狼狽ぶりが印象に残っていた為つい興味が頭をもたげて聞いてみる。

 少しの逡巡を見せた後、フィリップは重々しく口を開く。


「……はるか昔。邪神崇拝の指導者とも言える家系の名前じゃよ。じゃがそれは口にする事も禁じられた呪われた家名でな。今やそれを知る者は殆どいない。わしの様な歴史学者……それも神代を専門とした者しか知らぬような古い……古い呪いの名前じゃ」


 ラドルは神滅者としての記録は少なからず残されている。

 しかし神滅者以前の記録、つまり普通の人間だった頃の記録は皆無に等しい。

 かつて。

 急に顕れた源神とも主神とも違う神に多くの信徒が信仰した。その神はやがて邪神認定されその信徒は改宗か処断されその神教は廃絶された。

 その指導者たる家名は邪神の神使であるラドルにはある意味似合いではあるが。

 そもそもにおいてその邪神は何故邪神に認定されたのか。何故急に顕れた神にそこまで信徒が集まったのか。

 それは全て今や忘失された事案として扱われ記録も抹消された。

 レナは改めて理解する。

 ぎゅっと黒くなった感覚のない右腕を強く左手で握りラドルが飛んで行ったであろう遥か蒼穹に思いを馳せながら一言呟く。


「そうか……私たちはまだ何もあの方の事を……何も知らないのね……」

1ヶ月ぶりの投稿になってしまいました。

前書きでも書きましたが色々ありました。

まぁそれは置いといて自分の脚本家としての仕事もあり、つい自分の書いた脚本のノベライズとか書きたくなってしまったのもありと色々してたら1ヶ月経ってしまいました。

ホントすいません。

次回はもっと早くに続編投稿しますのでお付き合い下さい!

ではまた次回〜m(_ _)m

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