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蒼穹の神滅者(シルヴァリオ)  作者: 1
第1章 廻る時計
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第14話 幕間〜開戦〜

「ねぇ兄様」

「何かな。リーテス?」


 2人の兄妹が和気藹々と話している。

 片や黒いとんがり帽子にローブを纏う少女。

 片や白い法衣に聖杖の青年。

 場の緊迫した空気を無視しているのか、それとも感じていないのか。

 どちらにせよその会話は目の前に広がる光景とは全く噛み合っていない。

 眼前の光景ーそれは。

 2人に向かって矢がこちらに向いているように布陣している大軍団。

 神聖王国バルカード三大軍団の一つ、騎兵主体の聖印騎士団3万。

 その圧倒的威容にも関わらず軍団の目と鼻の先で和むように会話する2人。

 尤も。その会話の中身は和みから程遠いものだった。


「あいつらブチ殺したあとあの目障りな城塞都市の城壁……壊しちゃっていい?」

「駄目だよ、リーテス。城塞都市に手出しは無用だ」

「えーなんでー⁉︎」

「この戦いはあくまで俺たちは受け手であるという名分が必要だ。城塞都市に手を出してはその意味を失う。……だが」

「だが?」

「俺たちグルトミアに喧嘩を売るという行為がどう言う事か、奴らの命で教えてやろう」

「じゃあ……あたしたちの目標は変わらず……」

「……惨殺爆殺焼殺鏖殺だ……‼︎」


 2人して下卑た邪悪な笑いを浮かべて騎士団が動くのを待つ。

 ここクステルム平原は神聖王国バルカードとグルトミア帝国の国境にして昔から幾度となく2か国がその領有権を争った古戦場でもあった。

 遮蔽物のないこの地では騎馬軍団の真価を遺憾無く発揮できるため騎兵主体の聖印騎士団はまさに国を守る盾として幾度もグルトミアの侵略を防いできた。

 国の盾としての矜持を持つ聖印騎士団はここで剣として初めて他国に侵攻しようとしていたのだが。

 意気上がる騎士たちは目の前の敵がおよそ戦う装備でない上に2人だけという事に苛立っていた。


「おのれ……!あんな魔道士2人だけで我が騎士団を止められるとでも思っているのか……‼︎第一軍突撃だ‼︎」


 その号令一下の元、第一軍5000騎が解き放たれた矢の様に怒涛の勢いで鬨の声を上げて魔道士2人に襲いかかる。

 その馬上から放たれる一撃は鋼をも貫く威力を持ちなんの装備も無い魔道士の身体などひとたまりも無い。

 だが。

 その槍が2人に届く事はなかった。

 法衣の青年が魔法の詠唱を終えると大地が急激に隆起し、またその勢いで打ち上げられた岩や土砂が雨となって騎馬隊に降り注いだのだ。

 更に。

 兄が騎馬隊の脚を止めていた隙に兄よりも強大な魔力をもって長大な魔法を練り上げた妹は上空に立体層式魔法陣を組み上げていた。

 その魔方陣に急速に魔力が集約していきその容量が飽和した瞬間。陣内に激しい落雷、放電、迅雷が迸る。

 ある者は岩に潰され土砂に呑まれ。

 ある者は降り注ぐ雷の柱にその身を焦がした。

 ほんの数秒の出来事。

 ほんの数秒の交戦。

 その数秒で起きた事象の結末は。

 第一軍団5000人の全滅という一方的な虐殺であった。


「ま、こんなものかな?兄様」

「そうだね。だがまだ目の前に獲物が残っている。油断なくそして後悔させてやろう。グルトミア十星将序列5位銀星のドリムーラとーー」

「同じく序列4位金星のリーテスに喧嘩を吹っかけた事をね‼︎」


 屍が累々と積み上げられたその場に悪魔の様な笑い声が木霊したーー。


 ーーーーーーーーーー


「ーーと言った感じだろうな」


 まるで見てきたかの様にラドルはその情景が目に浮かぶ。

 ラドルがグルトミアに隠棲していた頃から2人の、いや十星の殆どを幼少の頃から知っている。

 リーテスもドリムーラも出自が苛烈であった為、力を持った今他人を見下す傾向が強い。

 その力を指南した一人がラドルであるが手にした力をどう扱うかは本人次第だ。そう考えるラドルは2人を責めるような気にはならなかった。

 だが。

 その力に溺れる事はいつか自分の身を滅ぼす。特に魔法の使い手はそんな結末があっても不思議ではない。それは自分の望む結末ではない。

 魔法は出来るだけ負担を減らすのが基本であり、その為の術式構築であり触媒仕様があるのだ。

 リーテスとドリムーラは幸か不幸かその身に尋常ならざる魔力を身に宿していた。

 そして今身に付けたその力で敵を虐殺している。いつか己が身を焼くかもしれないその力で。

 ならば。


「……ラドル?どちらへ?」


 ローグ曰く燐界の砂時計をそのままにして踵を返すラドル。

 それを見た魔獣ローグはラドルに声を掛ける。


「2人を助けに行くのですか?」

「……逆だ」


 言葉の真意を確かめる間も無くラドルは小屋を出ていく。

 その姿を見たローグは後をつけるべく翼をはためかせてラドルの前に出る。

 ふとラドルの表情を見てローグは戦慄する。

 その瞳が無意識なのか蒼く鋭く輝いていたー。


ちょっと間が空きましたが14話投稿です!

で、ここまで来て気づきました。

まだタイトルの聖堂騎士が一度も出てきてないコトに。

というわけでちょいタイトル変更しました!

蒼穹の聖堂騎士改め蒼穹の神滅者(シルヴァリオ)をよろしくお願いします!

感想評価お待ちしておりまーす!

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