第7話 「買い物」
読んでくださっている方、いつもありがとうございます。
一度家に戻り色々準備を整えてから、街に向かう事になった。
今回はあのドアみたいなやつではなく、徒歩でだ。
後から聞いた話なのだが、ギルドがある中心街までは、徒歩で7、8分位らしい。
それなのですぐにお目当の店に着いた。
「ここってギルドカードつかえるのか?」
「もちろん使えますよ」
一応銀貨1枚は持ってるから足りるとは思うが、量が多くなるから使いたくはない。
この間来た防具屋ではなく、日用品から謎の薬品まで様々なモノが売っている道具屋に来た。
「いらっしゃいませにゃー!」
ん? なんだ、にゃーって
「こんにちは。今日はティアが店番なんですか?」
「そうだにゃー。お父ちゃんは仕入れにいってるにゃ」
ティアと呼ばれたその女の子は、肩に着かない位の栗毛のボブヘアーで、俗に言う猫耳の可愛らしい子だった。見た目的には俺よりかなり歳下そうに見える。
「ところでその人は誰なんだにゃ?」
俺の事を少し警戒する感じてアイリスに聞いてきた。
「こちらはイズモさんです。今一緒に住んでるんですよ」
アイリスさん、その言い方は誤解を招くからやめてください。
「イズモ・シノノメだ。ちなみに、ギルドマスターに魔法を教わるので家に泊めてもらってるだけだからな」
「ふぅーん••••••これが噂の男のかにゃ。ウチはティア・ミーパだにゃー。ところでご用件はなんだにゃ?」
何の噂なんだか。完全に誤解されてしまった。後でアイリスからも訂正してもらおう。
のちに、この誤解のせいで面倒くさい事に巻き込まれるのだが、それはまた別の時に。
「とりあえずこのリストに書いてあるモノを見繕ってくれるか」
そう言って俺は手書きのリストを渡した。
「了解だにゃー。用意出来るまで店の中で待ってるにゃ」
ティアはリストに書いてあったモノを用意する為店の奥に消えていった。
「それにしても色々あるな」
「たぶんある程度のものなら何でもあると思いますよ」
少しお店の中をふらふらと見ていたが、店の中に居た客からの視線がすごい。
「アイリス、この間のギルドの時もそうだったが、結構有名なのか?」
「そんなことはないと思います。どちらかと言うとイズモさんの方が今は有名ですから」
「アイリスもなかなか有名だにゃー」
いつの間にかリストに書いてあったモノを揃え終わったティアが隣に立っていた。
「だってアイリスは、あのギルドマスターの孫でAランク保持者にゃー。だからこの街では知らない人はいないにゃ」
確かに有名そうだよな。
「ところで、Aランクってどれくらい凄いのか?」
「普通の人が凄く頑張ってDランク位かにゃ。その上は本当に才能があって努力をしなきゃ行けないところだにゃ。ちなみにSランクはこの世界に5人しかいないにゃ」
「たった5人しかいないのか? そいつらはやっぱりかなり努力したんだな」
意外とSランクになるのは厳しそうだな••••••
「努力したかはわからにゃいけど、Sランクは次元が違うというか、バケモノだにゃ••••••」
「ちなみにSランクの方々は、一人で国を潰せる位の戦力があるそうですよ」
そんな危険人物達には関わりたくないな。
「それより商品を持って来たから確認してくれにゃ」
「わかった」
俺が何故有名なのかを聞くタイミングを逃してしまった。
その後、しっかり漏れがないか確認した。
「大丈夫、全部あったぞ」
「よかったにゃー。全部で銅貨40枚だにゃ」
「カードで頼む」
「了解だにゃー」
無事に支払いを終え帰ろうとした時、ティアがアイリスに何やら耳打ちされて顔が真っ赤になっていた。
「ありがとうごさいましたにゃー。またよろしくにゃー」
「はいよー」
そうして俺達は店を出た。
アイリスはティアに耳打ちされてからずっと俯いていた。
「この後どうすらる?」
「ひゃぁい!? す、すみません! 考え事していて••••••」
よほどティアに変な事言われたんだな。
「もしよろしければ、街を色々見て回りますか? バタバタしていてギルドの辺りしか見てないと思うので」
確かに拠点にするからには、ある程度把握しておいた方がいいな。
「よろしく頼むよ」
「わかりました!」
こうして俺達は街をぶらぶらする事になった。
ダーズリの街はギルドのある中心街と貴族が住む区域、一般人が住む区域に分かれている。
中心街は様々なお店が立ち並び、王都も近い事から多くの行商人が行き交い活気に満ちている。
先ほど行った道具屋や前に行った防具屋、武器屋に魔導具屋なんていうのも中心街街にある。
他には酒場とか食堂とかもあり、本当に賑やかであった。
「あの建物はなんだ?」
中心街より少し離れたところに結構立派な建物があった。
「あれは教会ですよ。お祈りしたり、軽い怪我とか病気なども直してくれたりします」
「便利なところもあるんだな」
「結構高額なので、一般の人はお祈り位しか行かないですけどね」
下手に病気にもなれなそうだな
「この後どうするか?」
色々見て回ったのでだいぶ日が落ちてきた。
「あまり遅くなってもおばあちゃんが心配するのでそろそろ帰りましょうか」
「そうだな。お腹も減ってきたし」
「それじゃ今日も沢山料理作りますね!」
「普通くらいでいいからな!」
こうして俺達は家へ帰った。
****
家に着くとアイリスはすぐ食堂へ行き夕飯の準備始めた。
俺はというと、部屋にもどり買ったモノの整理と、ギルドマスターとの練習で使っていた本を借りたのでそれを読む事にした。
その本には中級魔法までだが、かなりの数の魔法が載っている本で、かなり勉強になった。
ただ、闇の魔法だけ数が極端に少ない。
「後でギルドマスターに聞いてみるか」
しばらく本に夢中になっていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
「イズモさんご飯できましたよ」
「ありがとう。すぐ行く」
食堂に行くと、すでにギルドマスターが座っていた。
「気分転換はできたかのう?」
「色々見てきたから疲れたが楽しめたよ」
「ならよかったわい。それじゃ冷めないうちにいただくかのう」
夕飯は品数こそ多いものの、料理はそれほど多くなかった。
あっという間に夕飯を食べ終わり、ギルドマスターに本のことを聞いてみた。
「あの本、闇の魔法が極端に少ないのはなんでなんだ?」
「それはあまり闇の魔法を使える奴がいないからじゃな。だから報告例とか、新しい魔法とかがなかなか出来ないんじゃ」
「そうなんだ。それじゃ俺が例えば新しい魔法とか作ったら、本に載るのか?」
「作る気なのか?色々審査してからじゃが載ると思うのう。その時はギルドから開発に対する奨励金が支払われるからのう」
これは一攫千金のチャンスじゃないか。
「ただモノによって金額は変わるがのう」
明日から練習の合間を見て頑張ろう。
「話はかわるんじゃが、明日から昼までは魔法の練習で昼過ぎからはアイリスが剣を教える事になったからのう」
「俺剣なんて使ったことないが大丈夫か?」
「だから練習するんじゃろ。アイリスはああ見えて剣の才能に秀でてる。いい練習になるじゃろ」
「頑張ってみる」
明日からかなりハードワークになりそうだな••••••
「イズモさん、あまり無茶はしないで下さいね」
「わかってる。身体は丈夫だから大丈夫。それともう風呂は入れるか?」
「大丈夫ですよ」
「なら明日は疲れそうだから早めに入って寝るよ」
俺は部屋に買ったばかりの着替えを取りに行き、風呂に入りに行った。
これでようやく下着が替えられる。
体を素早く洗い、浴槽に勢い良く浸かった。
「風呂はやっぱいいな」
心も体も癒される。ただ俺はすぐのぼせてしまうので長湯が出来ない。
ほんの数分浸かり、のぼせる前に風呂から上がった。
新しい下着だけを着て、またすぐ浴室へ戻った。
さすが下着をアイリスに洗ってもらう訳にはいかないので、自分で洗うことにした。
ある程度水気を切り俺は魔法を使った。
「涼風」
すると熱い乾いた風が吹き、あっという間に下着が乾いた。
今まで着替えが無かったのでやる勇気が無かったが、今は違う。無事成功しよかった。
「やっぱり魔法って便利だな」
俺は意気揚々と部屋に戻っていった。
話が中々進まなくて申し訳ありません。これから徐々に物語りが進んで行く予定なのでよろしくお願いします。