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第4話 「洋館」

思いのほか話が進まず、魔法の練習のところまで書けませんでした。本当に申し訳ありません。

 ダーズリの郊外にあるその洋館は、二人で住むには大き過ぎる建物であった。

 意外と手入れされた庭を進み、大理石の床に真っ赤な絨毯がひいてあり、天井からは巨大なシャンデリアが吊るしてある、立派なエントランスに着いた。


「アイリス、帰ったぞ」

「おかえりなさい。もう夕飯出来てますよ」


 アイリスは食堂らしき部屋から出てきた。

 すでに、赤いレザーアーマーを脱ぎラフな格好にエプロン姿をしていた。


「お邪魔します。それにしてもすごく立派な建物だな」

「イズモさんもおかえりなさい。この家は元々貴族が住んでいたらしいのですが、内政の争いに巻き込まれ没落してしまったそうです。それでおばあちゃんが買い取って今は住んでるんですよ」

「ちと広すぎるが、狭すぎるより良いじゃろ? 後魔法の練習じゃが、裏の空き地で行うから。一応魔法で、衝撃や音とか吸収するようになっとるからのう」


 それなら失敗しても大丈夫だな。何が起こるかわからないし。


「とりあえず、夕飯を食べに行くかのう。せっかくアイリスが作ってくれたんじゃから、冷める前に食べたいからのう」


 こうして一同は、食堂へ向かった。


 俺は、貴族が住んでいたと言っていたので、すごい長いテーブルを想像していたが、全くもって普通のサイズのテーブルだった。

 元々は長いテーブルだったらしいが、ギルドマスターが、『一人で食べてるみたいで淋しい』と言ったので、普通のサイズになったそうだ。


「それじゃいただくとするかのう」


 皆席に着き、夕飯をいただいた。

 見たこともない野菜が入った炒めモノとか、昼間食べた肉のステーキなどテーブルいっぱいに料理が並んでいた。


「それにしても、ちと作りすぎじゃないか?」

「男の子がどれだけ食べれるか分からなくて••••••。イズモさんいっぱい食べれますよね?」


 上目遣いでそんな風に言われたら、残すわけにはいかないな。


「全然問題ない。これくらい余裕だよ。いただきます」

「それは頼もしいのう。残したらわかっておるよのう?」


 ニヤニヤしながギルドマスターが言い放ってきた。

 何としてでも食べきらないといけなくなってしまった。


 それから俺は、食べることに集中した。

 味は下手な料理屋より上手いが、何分量が多い。手を休めたら多分食べきらない。


 最後の一切れまで頑張った俺にアイリスが、


「デザートもあるんですよ。お持ちしますね」


 その瞬間、俺はテーブルに崩れ落ちた。



 その後何とかデザートまで完食し、夕食を終えた。


「しかし、よくあの量を食べれたのう」

「イズモさん凄いですね! 明日も沢山作りますね」

「明日はもう少し少なくて良いから!」


 明日も同じくらいの量なら、俺はトイレと友達になれる自信がある。


「そろそろ動けるようになったじゃろ。アイリス、イズモを部屋に案内してあげなさい」

「わかったよおばあちゃん。それじゃイズモさんついて来てください」


 俺はアイリスに連れられ、食堂を後にした。


 かなりの部屋数がある洋館だが、そのほとんどがギルドマスターの倉庫(ゴミ箱)になっているらしい。

 その部屋には鍵はかかっているものの、たまに危険なモノとかがあるので、泊まる部屋以外は開けないでとアイリスに言われた。


 ちなみに俺が泊まる部屋は、階段を上がってすぐの部屋だった。


「こちらがイズモさんの部屋です。急いで片付けたので汚いかもしれませんが、中のものは好きに使って大丈夫ですからね」


 部屋には入ると、高級ホテルのスイートルームみたいにキチッとベッドメイキングされ、棚にはちょっと難しそうな本、壁にはよくわからない絵とかがセンス良く並んでいた。


「それともうお風呂も入れるのですがどうしますか?」


 本当良くできる娘だな。あのギルドマスターの孫とは思えない。


「まだお腹がキツイから俺は後ででいいや」

「わかりました。それでは先に入るので、出たらまたお呼びしますね」


 そう言ってアイリスは、部屋から出て行った。


 一人きりになった俺は、棚から適当に本を手にし、ベッドに横になった。


 話す言葉は、自動で変換されると教えられていたが、意外にも文字まで日本語に変換されていたので、内容はさておき、読むことができた。

 これなら一から文字を覚えなくても済むな。


 小一時間ほど本を読んでいたが、段々とウトウトしてきた時に、ドアがノックされた。


 俺が返事をすると、お風呂上がりのアイリスが、部屋に入ってきた。


「イズモさん、お風呂空きましたよ。もしかして起こしちゃいましたか?」

「いや、ウトウトしてたが寝てなかった。後、風呂の場所がわからないから案内してくれないか?」


 アイリスに風呂まで案内してもらい、汗を流した。


 そこである異変に気付いた。

 神様と契約した時に付けられた、右手首のアザみたいな紋章みたいなやつの形が変わっていた。

 最初は、唯の十字の形みたいなのがうっすらあっただけだったのが、今では濃くハッキリしている。そして一番変わったところは、十字の両サイドに天使の羽根のようなものが浮かび上がっている。

 デザインはあまり好きではないが、これが何なのか聞いとけばよかった。


 俺はなるべく早めに風呂から出た。

 当然新しい着替えを持っていないので、さっきまで着ていた服を着た。


 脱衣所から出ると、アイリスが待っていてくれた。


「ずっと待っていたのか? 風邪引くぞ」

「大丈夫です。そんな寒くないので」

「ならいいけど。ところでギルドマスターは?」


 俺が尋ねるとアイリスは少し困った顔で、


「今食堂にいるんですけど、お酒を飲んでるみたいなので、近づきたくないんですよ」

「酒乱なのか?」

「酒乱というより、やたら甘えたり、絡んできて面倒くさいです。なのでイズモさんが食堂に近寄らない様にここで待ってました」


 アイリスが段々天使に見えてきた。


「面倒くさそうだな。湯冷めすると良くないからアイリスも部屋に戻りな」


 そう言ってアイリスと一緒に二階まで行こうとした。

 しかし、運悪くトイレから戻る途中のギルドマスターに遭遇してしまった。


「イズモさん! 早く部屋に逃げて!」


 アイリスは自ら囮になる為にギルドマスターに立ちはだかった。


「いつの間にそんな仲良くなったのじゃ? わしも仲間に入れてほしいのう」


 お酒のせいか、顔を真っ赤にしながらギルドマスターが言ってきた。

 そんな言葉を無視して俺は階段駆け上がり、部屋の前まできた。そしてドアノブを掴もうとした瞬間、手を握られた。


「イズモ捕まえたぞ。さぁ食堂で一緒に飲もうじゃないか」

「俺は遠慮しとくよ。飲んだことないし、まだ未成年だから」

「何を言っておるのじゃ。皆15歳になれば酒なぞ飲んでおるわい」


 囮になったアイリスと、俺を引きずりながら、

 悪魔の巣窟とかした食堂へ拉致(エスコート)された。



次回こそ魔法の練習編です。

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