第3話 「ギルド」
今回はなるべく早めに書き上げました。誤字脱字がありましたら、ご教授よろしくお願いします。
ギルドマスターの部屋に入ると、机らしき所には書類やら、本やらがグチャグチャに置かれ、棚やにはよくわからない器具やもの、床にはゴミだどが、まるで空き巣にでも入られたかのような散らかっていた。
「おばあちゃん! いつも片付けてって言ってるでしょ!」
「ごめんごめん。これでも片付けた方なんじゃが」
これでも片付けた方だなんて、いつもはどれだけ汚いんだ?そもそも何がどこにあるかもわからないのに、仕事なんかできるのか? などと思ってたら、アイリスがあって言う間に、埋もれていたテーブルとソファーの周りを片付け、座れるスペースを作ってくれた。
「アイリスありがとう。そういえば、自己紹介をしておらんかったな。儂はこのギルドのマスターでフィル・クロードじゃ」
「俺は知っていると思うが、イズモ・シノノメだ。アイリスに穴の近くでスライムに襲われているところを助けられた」
軽い感じでお互い自己紹介を済ませ、ギルドマスターが、
「早速じゃがイズモ、お主の魔法属性を調べようかの」
そう言うと、さっきアイリスに片付けてもらったソファーに座らせ、俺の頭に手を置こうとした。
さっきのサリーの件があったので、俺はとっさに避けてしまった。
「叩きはせんよまったく••••••ちょっとだけ動かずにおれ!」
怒られてしまった。
俺は、恐怖のあまり、目をつぶりビクビクしながらなるべく動かないよう我慢した。
「お主は本当臆病者だな。兎に角そのまま動くんじゃないぞ」
ギルドマスターが手をかざすと、水晶の時の様に頭の上が白く光りだした。
「ほぅ••••••お主なかなかおもしろいのう! さすがあの水晶を割っただけのことはある」
ギルドマスターは俺の頭から、手を離した。
「あの水晶は、今儂が使った魔法がかかっておったんじゃが、あまりに強い魔力だったり設定範囲外だと、負荷がかかりすぎて壊れてしまうんじ」
「という事は、相当すごいのか?」
「すごいと言うか、異常じゃな。しかも魔法属性は普通一つか、稀に二つや三つとかおるのじゃが、お主は全部の属性が使えるの」
俺には、あまり凄さが分からなかったが、アイリスは目を丸くしていた。
「おばあちゃん、それは本当なの!?」
「儂が、嘘を言ったことあるかの?」
「部屋を片付けるっていて片付けなかったり、仕事がないって言ってたのに実はただのサボりだったり、ご飯前には、お菓子食べちゃダメって言ってるのに、隠れて食べたりとか、あとは••••••」
「アイリス、もうやめておくれ••••••。儂が悪かった!」
何だか、ギルドマスターが普通のだらしがない子どもに見えてしかたがない。
威厳というものが、音を立てて崩れたところで、
「イズモの事については、本当じゃ。しかし、なぜ今まで分からなかったのかの?」
つい数時間前に、この世界に来たとは言えず、俺は、
「小さい時の記憶がないし、ずっと森で育てられてたから、教えてくれる人がいなかったんだよ」
「それなら仕方ないのう。なら儂が魔法の使い方教えてやろうか?」
「本当か!? でもギルドマスター直々にとか大丈夫なのか?」
ただでさえ、書類が山積みになっているのに、そんな時間があるとは思えない。
「問題ない。儂には優秀な人材がおるのでな」
アイリスの方をチラリと見た。
「確かにギルドマスターより、デスクワークはできそうだな」
「••••••すんなり納得されるのもシャクじゃな」
ギルドマスターは、少し遠い目をしていた。
「というわけじゃアイリス、しばらくの間儂はイズモに魔法を教えるから、その間ギルドをよろしく頼むのう。まぁ付きっきりというわけじゃないがのう」
「もう! いつも勝手なんだから!」
怒って顔を膨らますアイリスを見て、俺は可愛いと思った。
「今日はもう遅いから、明日の朝から始めるとするかの。ところでイズモ、もう宿とか取ったのか?」
やばい、すっかりそんな事考えてなかった。
「今からでも宿って取れるか?」
「時間的に厳しいじゃろうな」
「そうだよな••••••」
野宿とかしたことないし、そもそも街自体、安全なのかわからない。
「イズモさえよければ、うちに泊まるかい? 明日迎いに行くのもめんど••••••大変だからのう」
今絶対面倒くさいとか思ってたなコイツ!
「そんな簡単に、今日あったやつを泊めても大丈夫なのか?」
「こう見えても、人を見る目は確かだと自負しとるわい。それに儂一人じゃなく、アイリスも一緒に住んどるからのう」
なら尚更良くないだろう!とか思っていたら、
「アイリス、お主イズモの事まんざらでもないじゃろ? 儂としてもそろそろ、男の一人や二人連れてきてくれんと心配でのう」
「おばあちゃん何言ってんのもう! 私の事は今関係ないでしょ!イズモ、おばあちゃんの事は気にしなくていいからね」
アイリスは、まるで茹でタコの様に真っ赤になっていた。
「すまんすまん。冗談じゃよ。それじゃ書類をサリーに渡してきて登録してきな。それが終わったら、またここに来な」
俺は、ギルドマスターから書類を受け取り、サリーの元へ出しに向かった。
受付に行くと、サリーが欠伸をしながら座っていた。
「ずいぶん長かったねぇ。もうほとんど帰っちゃったよぉ」
辺りを見渡すと、ほとんど人がいなかった。
「そんな遅くなってたのか。全然分からなかった。てか、書類もらったから登録よろしくな」
「了解でーすぅ。そういえばアイリスは••••••ってイズモさん! 魔法属性、全属性なのぉ!?」
「ギルドマスターが言うからにはそうらしい。アイリスは先に家に行って片付けするって言ってたぞ。それと声デカイから」
かなり大きな声でサリーが驚いたので、ギルドにまだ残っていた連中がざわついた。
「すみません! ギルドマスターが判断したのなら間違いないですが、私初めて見ましたよぉ!」
「アイリスもかなり驚いてたな。それより早く登録してくれよ」
段々と視線が集まりだし、面倒くさい事になってきてる。
少ししてサリーが、
「お待たせしましたぁ。登録終わりましたよぉ。一応換金したスライムの心臓から登録料を引いときましたぁ。」
「ありがとう。あれいくらになったんだ?」
「状態が良かったので、銀貨2枚になりましたよぉ」
そう言って、赤いギルドカードと、登録料を引いたお金が入った袋を出してきた。
「これがイズモさんのカードです。お金の方はどうしますかぁ? ギルドに預けておけば、加盟店のみですが、カード払いの時につかえますけどぉ?」
お金が入った袋を持ってみたら、意外と重かったので、
「とりあえず銀貨だけもらえるか?」
「わかりましたぁ。ではこちらは預かっときますねぇ」
銀貨を抜いた袋をサリーに預け、ギルドマスターの部屋に戻ろうとした時、
「そういえばぁ、今日アイリスのところに泊まるんですねぇ。頑張ってくださいねぇ」
サムズアップしながらサリーが、ニヤニヤ笑っていた。
「何もしないからな! 明日アイリスに怒られてしまえ!」
つくづく馬鹿にする連中だな。
そんなやり取りを終え、ようやくギルドマスターの部屋行けた。
「何やら騒がしかったのぉ」
「ここの連中は、やたら馬鹿にしたがるもんで、対応に困ってたからな」
「そうか。そろそろアイリスが夕飯を作り終わってる頃じゃから、早めにかえるとするかのう」
そう言うとギルドマスターは、何やら呪文の様なものを唱えた。
すると今まで何もなかった所に、いきなりドアが出現した。
「ほれ、イズモ帰るぞ」
もう驚き疲れた俺は、何も反応できず黙ってついて行くことが精一杯だった。
ドアをくぐると、立派な洋館が目の前にあった。
「ここが我が家じゃ。アイリスも待ってるから早く入るぞ」
俺は覚悟を決め、洋館へと突入した。
自己満の書物でしたが、思っていた以上に読んでくださる方がいて、本当に感謝しています。
次回は出雲が魔法を練習する回になるとおもいます。
楽しみに待っている方おりましたら、ブックマークよろしくお願いします。