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第1話 「出会い」

3日に1回の更新がリアルが忙しくて2話目にして遅れるところでした••••••本当すみません!

 そういう訳で、絶賛落下中なのだが、そろそろ地表が見えてきた。


 どうやら、大分長いこと説明していたらしい。

 ただ、いろいろあったせいか、もう直ぐ激突してしまうのに、妙に落ち着いている。

 死なないために、異世界に来たのに結局死んでしまうのか、などと思っていると急に頭の中に神様(アイツ)の声が響いてきた。


「元々の世界よりすごく丈夫になっているから、ちょっとやそっとじゃ死なないから」


 だそうだ……。

 そして続け様に、


「痛みとかは、同じだからね。後、立場上これ以上の干渉は、世界に影響が出る恐れがあるから、多分もうあなたと話す機会はないと思うから」


 そう一方的に言い放ち、声は聞こえなくなった。


 いよいよ、広大な森や草原がはっきり見え、後数秒でぶつかる。


 俺は神様(アイツ)を信じ、衝撃に備えて目を閉じた。


 その直後、まるで隕石が落下した様な、すごい音 と、衝撃が辺りに広がった。


「痛ぇぇぇ! 何が丈夫になってるだよ。下手したら完全に死んでる衝撃だよ」


 俺は文句をたれながら、身体に異常がない調べた。

 するとあんなに凄い衝撃だったのに、骨折どころ か、傷一つなかった。


「嘘だろ……。人間じゃなくなったのか?」


 神様(アイツ)、凄いチートを与えてくれやがったな。

 俺はちょっとだけ、神様のことを見直した。


「それにしても、ここはどこだ?」


 俺は辺りを見渡したが、先ほど落下の衝撃で直径数十メートルの大きなクレーターが出来ていた。


「とりあえず、ここは離れないとヤバいな」


 足早に、クレーターの淵の部まで行き改めて、辺りを観察した。


 まぁー、よくあるRPGに出て来そうな森がそこには広がっていた。


「そういえば、神様(アイツ)がこの世界は剣と魔法の世界とか言ってたな。ならモンスターとか出て来たりするのか?」


 ゲームとかなら、村人Aとか、村長とかその辺りが優しく丁寧に説明してくれるが、現実はそうではな い。誰も教えてくれないと言うか、誰もいない。完全に一人で、無人島に放り込まれた様なものだ。


「とにかく、川を探して、水分を補給しないとな」


 俺は、近くに川がないか目を凝らしたり、耳をすましたりしてみた。


 すると、遠くでかすかに水の流れる音が聞こえた。

 俺は草木を分けながら、音のする方へ歩き始めた。


 暫くすると、音は近くなり少し開けたところに出 た。

 そこには、透き通る様な綺麗な川が流れていた。

 川の水を手ですくい、一口飲んでみた。


「冷たくて、うまいな」


 ようやく俺は、一息つけた。


「これからどうするか」


 水を見つけ、少しは安心したが、こんな森の中じゃ家とか人と見つけられないだろうし。

 とりあえず、川下の方に歩くか。


 方針が決まったところ、俺は川下の方に歩き出し た。


 歩き始めて少しすると、ようやく森を抜け、草原地帯に出た。

 すると、奇妙な物体が遠くにいるのが見えた。


「なんだあれ?てか目とか耳とか、前の世界より格段によくなってる気がする」


 前いた世界の時もある程度良かったか、目に至っては、マサイ族の方より良い気がする。


 そうこうしているうちに、その物体がはっきり見えてきた。


「まさかあれ、スライムなのか?」


 RPGでお馴染みの、可愛い感じのスライムとは違い、それはゼリー状の青い物体だった。

 しかも伸びたり縮んだり、膨らんだりと様々な形を成しながら、移動していた。


 俺は、ショックというかあまりの気持ち悪さに、思わず後退りした。

 まじであんなの相手にしたくないのでゆっくり逃げようとしたが、案の定スライムに気づかれてしまっ た。


 まぁースライムなんて雑魚キャラだし、その辺に落ちてる棒で倒せるだろう、なんて思った。

 なので、適当に近くにあった棒を、スライム目掛け振り下ろした。


「せいっ!」


 見事スライムに命中した……が、スライムの柔らかいボディーには全く効果がなかった。むしろ、攻撃した棒の方が、ダメージを受けた。というか、スライムに触れたところが、徐々に溶けてきている。


「全然効いてないじゃん。てか仲間呼びやがって!」


 俺が攻撃したせいで、目の前のスライムが仲間を呼んだらしく、数匹のスライムが背後から現れた。

 そしてその内の一匹が、俺に向かって飛びついてきた。当然、戦いなんてしたことない俺が、うまく立ち回れるはずもなく、右腕に直撃した。

 衝撃は全くなかったが、先ほどの棒と同様に、着ていた服が溶けてしまった。

 痛みとは別の恐怖に、俺はその場から動けなくなった。

 そうなると、スライム達の格好の的である。

 スライム達は容赦なく、ぶつかってきた。

 みるみる俺の服が溶けて、ほぼパンツ一枚みたいな状態になっていた。

 そして、最後の砦をも溶かそうとスライムが飛びついてきた瞬間、赤い光がスライムに当たり蒸発した。

 かなりの爆風で、俺も少し吹き飛ばされてしまったが、最後の砦は死守することに成功した。


「大丈夫ですか? 怪我とかしてないですか?」


 そこには、黒いローブの下に赤いレザーアーマーを見に纏った、少しウエーブがかった金髪で格好と少しギャップのある、童顔な女の子が立っていた。


「全然大丈夫。こう見えて頑丈さだけが取り柄だから」


 俺は、スライムにびびって動けなかった事を隠すように、なるべく堂々と答えた。

 すると目の前の女の子が少し顔を赤らめながら、


「すみません! 私のせいで服まで燃やしちゃって!」


 そう言うと、自分が上に羽織っていたローブを渡してくれた。

 彼女の勘違いだがそれは言わず、俺はありがたく受け取った。

 サイズ的には、やや小さいがそれはこの際良しとしよう。後、微かに甘い匂いがしたのは言うまでもな い。


 落ち着いたところで、彼女が質問してきた。


「この先に何かありませんでしたか? 少し前に凄い音と衝撃があったと、ギルドに報告があり、調査しに来たのですが」

「森の中に、なんかでかい(クレーター)みたいのが出来てたぞ。それ以外はよくわからないが」


 自分が落ちてきた(クレーター)だとは言えず、ほぼ本当の事を教えてあげた。


「ありがとうございます!もしよろしければ、

 案内してもらってもいいですか?」

「俺も慌ててたから、あまり詳しくは覚えてないけ ど、それでもよければ」


 スライム退治と、ローブの借りがあるので、後ろめたい気持ちもあるが、道案内することにした。


「そういえば、まだ自己紹介してませんでしたね。私はアイリス・クロードです」

「俺は東雲 出雲だ。いやこの場合はイズモ・シノノメか。よろしく」


 お互い軽い挨拶を交わし、俺が落ちてきた時にできた(クレーター)に向かうことになった。


 道中、アイリスと話していると、意外なことに、俺とアイリスは歳が一緒でびっくりした。

 アイリスがかなり童顔だから、もう少し幼いものと思っていたからである。


「私はこの近くの、ダーズリという街の出身なのですが、イズモさんはどの辺りの出身なんですか?」


 非常にまずい質問がきてしまった。素直に答えるべきか、答えないべきか。

 まぁ本当の事を言っても、信じてもらえるはずがないので適当に、


「俺、小さい時の記憶があまりなくて、出身とか判らないんだ」


 と答えた。

 するとアイリスが、


「ごめんなさい! 変なこと聞いて」

「慣れてるから大丈夫。気にするな」


 俺は凄く罪悪感でいっぱいになった。


 そうこうしているうちに、俺が落ちてきた(クレーター)まで来た。

 意外と道を覚えていて、驚いた。


「道案内ありがとうございました! 助かりました」

「俺もちゃんと案内できてよかったよ。」

「調査はすぐ終わると思うので、少しここで待っていてもらってもいいですか?」

「別にいいけど、どうした?」


 まさか告白か、などとくだらない妄想をしつつ返事を待った。


「えーとですね……私のせいで服が駄目になってしまったので、そのお詫びをさせてもらいたいのですが」

「別に気にすることはないのに。ただ流石、着る服がないのはあれだから、お言葉に甘えるよ」


 確かに今着ている服はアイリスのだし、サイズもちょっと小さいから、嬉しい申し出である。

 それに、俺はこの世界のお金など持っていないの で、俺一人ではどのみち買えない。


「わかりました。それでは、少し調査して来ますので待っててください。」


 俺は、わかったと手で合図をし、アイリスの調査が終わるのを待った。


 アイリスが調査から戻ってくるまで、特にやることがないので、少し仮眠をとる事にした。


 いろいろあったせいか、すぐ眠ることができた。

 目を覚ますと、既に調査を終えたアイリスが当たりを警戒しながら起きるのを待っていてくれた。

 どうやら寝すぎてしまったらしい。


「イズモさん、無防備すぎですよ。いくらこの辺りは、モンスターが少ないからとはいえ、襲われたらどうするんですか!」

「すみません。すぐ終わるって言うから、少しだけ仮眠を、と思ったら寝過ごしてしまって」


 あまりの剣幕に、震え上がってしまった。


「スライムに襲われた時も、私がいなかったら死んじゃってたんですよ! もうちょっとしっかりしてください!」


 まるで、お母さんが子どもを叱る時みたいな感じで、アイリスに怒られてしまった。


「わかりました……もう少し緊張感を持って行動するよ」

「分かればいいですよ! 分かれば! それでは日が陰る前に、ダーズリの街に行きますよ」


 そう言うと二人は、少し急ぎ足でダーズリの街に向かった。


 (クレーター)に行く時とは正反対の空気でかなり気まずかった。


 終始、無言で前を歩いていたアイリスが、急に速度を緩めた。


「どうしたんだ?」


 俺は警戒しながら小声で聞いた。


「あのですね……さっきはそのごめんなさい。あんなに怒ってしまって」

「全然気にしなくていいよ。悪いのは俺なんだから。俺の方こそ、ごめん」


 これをきっかけに、気まずかった空気が、ようやく解消された。

 大分、早足で来たらしくダーズリの街まではあと少しらしい。

 日が陰る前に着きそうで、安心したと思ったその時だった。


「何かいます! 気をつけてください!」


 その声で俺は、緊張感を取り戻した。

 アイリスの視線の先には、あの青くて気持ち悪い、スライムが数匹いた。

 スライム達もこっちに気づいたらしく、一斉にこちらに向かってきた。


「イズモさんは、離れててください!ここは私が相手をしますから!」

「わかったが、気をつけろよ!」


 今の俺には、どうすることもできないので、大人しくし指示に従った。

 するとアイリスが、意識を集中させた。


火球(ファイア)!!」


 そう言うのと同時に、アイリスの手から火の玉が放たれた。

 それは、見事一匹のスライムに命中し、絶命させ た。

 その後も、アイリスが火の玉(ファイア)で次々とスライム達を倒していく。


(どうなってるの? 街の近くで、こんなにスライムが出るなんて……)


 倒しても倒しても湧いて出てくるスライムに、アイリスは焦り始めた。

 元々、魔力は多いほうだが、流石に精神的にキツくなってきた。


(こうなったら!)


 アイリスは、さっきまでの火の玉(ファイア)とは違う魔法を使う事にした。


紅炎(プロミネンス)!!」


 その瞬間、熱風とともに辺り一面爆発した。


 大人しく邪魔にならないところで様子を見てた俺だが、いきなりの爆発に軽く飛ばされた。

 それにしても、こっちの世界に来てから、やたら飛ばされてないか?


 爆発も収まり、視界が良くなると少し肩で息をしているアイリスと、大分数は減ったがまだ数匹のスライムがいた。


「それなりに手ごたえはあったのに、まだ残ってるの」


 さっきの魔法で、アイリスの魔力は大分減ったのがわかった。


「アイリス大丈夫か? 無理はするなよ」

「わかっています! 多分さっきの爆発音で、街から応援がくるはずです! それまでは頑張ります」


 確かにあれだけ派手にやれば、誰かしら来てもおかしくはないな。

 それにしても、魔法ってかっこいいな。俺も使ってみたい。

 などと思っていると、スライム達が何やら集まっていくのが見えた。


「あいつら何してんだ?」

「えっ!? まずいです!!」


 気づいた時には、既にスライム達が体と体をくっつけ合い、どんどん巨大化していくところだった。


(もう魔力も少ないのに、キングになってしまったら勝ち目がない!)


 アイリスはかなりの魔力をこめ、紅炎(プロミネンス)を放った。


 また辺りは熱風と爆発に包まれた。

 もちろん今回も俺は吹っ飛ばされた。


「やりましたか……?」


 しかし、アイリスの攻撃も虚しく、爆煙の中には、巨大なスライムのシルエットが浮かび上がっていた。


(遅かったですか……)


 アイリスは、かなり魔力を消費してしまい、思うように動けないでいた。

 そんなアイリスに向かって、巨大なスライムが動き出した。巨大化したせいで、通常のスライムより動きは遅いが、格段にパワーアップしている。

 もはや、応援がくるまでもたない、そうアイリスが思った時だった。

 凄まじい熱量の炎と爆発が巨大なスライムを襲ったのだ。


(なにが起こったの?明らかに私より、強力な魔法だった)


 近くには出雲の他誰もいない。


(でもイズモさんは魔法が使えないはずだし)


 魔法が使えるのであれば、最初に出会った時に使ってるはずだと思ったアイリスは、応援が来たのだと思いホッとした。


「アイリス大丈夫か!?」

「なんとか大丈夫です。イズモさんこそ怪我とかないですか?」

「怪我はないのだが、さっきのなんかよくわからない炎出したら、身体がちょっとだるくなったくらいかな」


 応援が来たのだと思っていたアイリスは、目を丸くした。


「さっきの魔法、イズモさんが使ったのですか!?」

「なんかイメージしたらできた」


 俺は、そう言いながら腕をさすった。

 アイリスを見ると、驚きと、困惑が入り混じったような、不思議な顔をしていた。


「そうなんですね……」


 俺は、魔法が使えたことと、初めてモンスターを倒したことで、少し興奮していた。


 さっきスライムがいたところを見ると、握りこぶしくらいの綺麗な丸い水晶みたいなものが落ちていた。

 俺はそれを拾い、アイリス聞いてみた。


「これは何かわかるか?」

「それは、スライムの心臓と呼ばれる水晶でよ。ギルドに持っていけば買い取ってもらえます」


 アイリス曰く、モンスターによっては、こういった貴重品が体内にある場合や、皮や爪などモンスターによっては需要があるため、解体し、剝ぎ取ったりするらしい。


「それにしても大きいですね。さすがキングの」

「キングって?」

「さっきの巨大なスライムのことですよ。そもそも、こんな街の近くに出るモンスターじゃないので、もしかしたらあの(クレーター)の影響かもしれませんね」


 俺は変な汗が出てきた。俺のせいで生態系が崩れてしまったのか。でも、そもそも原因を作ったのはあの神様(バカ)だし、俺は悪くない。

 そう自分に言い聞かせ、心を落ち着かせた。


 そうこうしているうちに、街から応援に来てくれた冒険者らしき人たちが来たので、アイリスが状況を説明した。


 冒険者達は、俺の方を見ながら何か言っていたが、出来事がいろいろありすぎて、頭の中がそれどころじゃなかった。


 俺は兎も角、アイリスは先ほどの戦闘で大分疲弊していたので、冒険者達に後処理をお願いし、ダーズリの街へと向かった。


次回はダーズリの街に着いたところからのお話です。

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