第二話
主人公無双
校庭に集まっていた敵は魔族のようだ。
「魔族なら俺の出番か。」
そんなことを日比谷が言った。確かに勇者が戦ってそうなイメージだな。
相手は人間じゃないしそれなりに力使えるな。魔力をためて土属性上級魔法を発動する。大地が変形し敵を呑み込む・・・かのように見えた。しかし次の瞬間土が消滅する。
「どうやら闇属性の法王級以上の使い手がいるみたいだね。」
精霊魔法使いの飯野さんが言う。法王級以上の闇属性魔法には虚無の特性が付与され全てを消滅させる。
「ああ、あいつみたいだね。」
俺が指を差した先には黒い長髪の魔族がいた。
「ちょっと狩ってくる。」
「ちょっ、闇属性の魔法使いはまずいって!」
せっかくの機会だし暴れたい。それに俺の魔法を無力化させたのは許せん。
「よぉ、お前だよな。さっきの闇魔法。」
「ああ、そうだが貴様のような餓鬼が俺に勝てるとでも思ってるのか?」
「そんな餓鬼が集まってるとこを狙ってきてんのはお前らだろ。」
「ごもっともだが実力の差というものを見せてやる。」
言い終わった瞬間に俺の右腕が消し飛んだ。
「次は心臓。」
「勝手にどうぞ。」
本当に心臓が消滅した。
「ふはは!俺を侮るからこうなるんだ。」
「うるさ。」
高密度のエネルギーが魔族を襲う。しかし闇魔法で消したようだ。
「貴様、心臓が再生している・・・?それに右腕もか。」
「ああ、土属性法王級魔法さ。さっきのエネルギーもな。大地の力を操る魔法、自分の回復に当てるもよし、強化に使ってもよし、攻撃に使ってもよし万能な魔法さ。」
「そんなもの聞いたことがないぞ!」
「土属性を極めるやつが少ないしな。重力操作くらいは知っていただろ?」
重力百倍。もはや身動きすら取れないはずだ。
「闇が重力に影響されるわけがないだろう?」
今度は俺の左半身が消える。その次の瞬間には再生しているが。
「いくらなんでもあり得ない!!自然級の光属性でも不可能だぞそんなことは!」
「あー、バレた?再生も出来ないではないけど俺の再生はただの土属性魔法ではないんだよな。ほら、服まで再生してるだろ?これは土属性神話級魔法、通称錬金術だ。」
「そんなものは空想の産物だろう!!」
「だが実際ここに存在する。」
俺は右手に剣を創りだす。そして魔力を纏う。
「悪いがもう終わりだ。お前の闇くらいならこれで十分無効化できる。」
高密度の魔力に触れた魔法は制御しきれずに消滅してしまう。それを利用して虚無の闇を無効化する算段だ。もちろん俺の魔力を上回る魔法は無効化できないが。
手に持った剣を魔族の喉元に突き立てる。やっぱり切れ味いいなこれは。
後方で激しい雷の音。日比谷か?日比谷だった。多分上級なんだけどその威力は絶大で雑魚を一掃するには十分だ。
「東雲だっけ?何でお前が首席じゃないんだろってくらい強いなお前。協力してそこのボスっぽいの倒そうぜ。」
「ああ、いいけど。俺なんてただの土属性魔法使いだぞ。」
「神話級を使えるやつを俺はただのなんて評価はしない。」
「何をごちゃごちゃと言っている。よくも我が部下を殺してくれたな。生かしてはおかんぞ。」
地面を操作し敵の親玉の足を固定する。そこに日比谷が斬りかかる。それは斧で受け止められるが攻撃は二段構えだ。
【土属性自然級魔法 レイジオブガイア】
先程のエネルギーをぶつける技の自然級バージョンだ。法王級のレイジオブガイアも存在する。というかさっきのがそれだな。地面から噴出するようなイメージだ。俺が作った魔法なんだが名前考えるのが面倒だった。
「あ、耐えたぞこいつ。」
「トドメは任せろ!!」
【光属性法王級魔法剣術 無情なる刃】
極太の光で敵を消し去るまさに無情の剣術だった。すごいもん見たなぁ、さすがは勇者。
主人公の能力の秘密はすぐに明かされますよ~。心臓がなくなっても生き残る主人公果たしてどんな能力なのか。錬金術そのものではありません。




