ひきこもりブーム到来!?
悪い子じゃないのは分かってるんだけど。でも、ちょっと燈里ちゃんの行儀の悪さは気になるのよね。何せさっきも美波ちゃんの胸元を見て「でかっ」と零したし。確かに美波ちゃんの胸は大きいわよ! 何カップか気になるわよ! でも失礼でしょうが! この場には男性もいる。しかも美波ちゃんの婚約者であるアーク団長もいらっしゃるのに。
そう思ったらついついナキアスとナルヴィを嗜める時のように手が出てしまった。
「……燈里ちゃん」
「あ、ごめん!! つい……」
……今時の女子高生ってこんな感じなのかしら。おばさんジェネレーションギャップを感じちゃうわ。
アーク騎士団長、ナキアス・ナルヴィを含めて改めて自己紹介し終えた所で、再度新たな客人が入室してきた。今度は紅の国のレビエント殿下と白の国の第一王子セドア殿下。王族の年齢は分かりにくいけれど、セドア殿下の見た目はレビエント殿下より上のようね。アーク団長と同じくらいかしら。
レビエント殿下はアカリちゃんを見つけて微笑んだ。
「おや、無事着いたんだね、アカリ」
「うん。イースが一緒だったから大丈夫。レティシアは?」
「今は別室で着替えているよ」
燈里ちゃんってレビエント殿下にも敬語使わないのね。大物だわ。
イースというのは燈里ちゃんと一緒に入室していた男の子で今は部屋の隅に控えている。確か彼はレビエント殿下の部下なのよね。先程の私達の会話に入ってこない辺り、ちゃんと場をわきまえているんでしょう。何せこの場は私達以外皆王族。客人ではない彼は参加できないからね。
「白の国へようこそ。歓迎いたします、お嬢様方」
あら! お嬢様ですって! おっといけない。ついつい口元が緩む所だったわ。
セドア殿下はこの国を象徴するかのように見事な銀髪に銀色の目をしている。セドア殿下といいアーク騎士団長といい、短髪はストイックで良いわねぇ。
ここでも皆名乗りあって簡単な自己紹介。さて、一通り挨拶も済んだことだし、私は燈里ちゃん達と移動しましょうか。そう思っていたのに、それを留めたのは意外にも私達が集まった理由を知らない筈のセドア殿下だった。
「実はご相談したいことがあるのです」
「相談……って、私にですか?」
真っ直ぐ私を見ている殿下に思わず聞き返してしまった。初めて会った、しかも他国の第一王子に相談事の相手に指名される理由なんて思い当たらないもの。首を捻るしかない私にレビエント殿下が指したのは窓の外。つられてそちらに目を向ければ、そこには大きな白い竜が窮屈そうに垣根の中で体を丸めていた。
竜ってことは……つまりあの方も王族って事よね?
「あれは私の弟、第二王子のセナードです」
白の国の第二王子が裏庭に引きこもってる? あれ? この状況たしか、前にもどこかで……
アカリは「あ、鼻毛出てる!」とか平気で言っちゃうタイプだと思います。




