プロローグ
何をしていいか分からない。
理由が、問題が、原因が分からない。
必要性が見いだせない。
関係性が感じられない。
糸口が見つからない。
雨が降っているようだ。
僕は布団の中で雨音を聞き憂鬱な気分になった。
雨は好きだが、用事があるとき以外だ。
時計を確認すると、6時52分と表示されていた。
昨日は試験があったから疲れていて早く寝たので、目覚まし時計が鳴る前に起きられたようだ。
今回の試験の事を思い出す。
必須単位の回復系の科目で魔女術、内容はのハーブによる解毒だった。
別に魔女学ではなく、科学系の医学でも良かったが、折角なので魔法医学を学ぼうととってしまった。
最初は目新しいことばかりで楽しかったが、魔女学という名前のお陰か女の子ばかり友達もいなく話せる人も少しだけ。
おまけに魔法の基礎がみんな分かってると言う基準で作られたカリキュラムだったため、魔の魔の字も分からない僕からすると、気が狂ってるんじゃないかと言う内容だった。
生きた蛇の血を絞り出せと言われたときはさすがに逃げ出した。
この科目を取ったことは後悔している。
無理をしなければ良かったと。
そんなこんなで試験は散々だった。
この世界は科学、魔術、2つの技術で社会が成り立っている。
この世界では、移動するために車を使う人もいれば箒にまたがる人もいる。
しかし、魔術は才能が必要とされることが多く(まあ魔術に限ったことではないが。)僕みたいな出来の悪い者は車に乗るのだ。
そしてこの世界の担い手になる人材を育成するために作られたのが学園都市、無限。
この場所は魔術と科学が共存し、よりよい世界を作ろうと言う趣旨で作られた教育機関だ。
と言っても世界では魔術と科学は対立した存在となっており最近まで戦争もあった。
そのため両者の担い手たちもうすうすだが対抗意識を持っており、さながらここは世界の縮図である。
しかも、インフィニティーにはキャパシティーという名の能力のランキング制度がある。
トライアルストーンという学園都市内での点数でランキングが決まり、抗争に拍車がかかっている。
半期事にある、トライアルストーンの争奪戦、キャパシティーブレイクという行事はさながら戦争である。
しかも、ランキング上位者にはスポンサーがついたりもする。
トップに立った物は最高の資格が得られるとあって富と名誉を求めて沢山の学生が死力を尽くす。
科学と魔術の戦いが見られるとあって、世界的に注目されている行事である。
もう、これが死ぬほどめんどくさい。
実家に一度帰ろうかと思ったほどだ。
しかし、そんな欲望まみれの場所に、調子に乗って来てしまった。
特に目標もなく来てしまった。
魔法使いになるべく、来る物を拒まずのレイブン魔法学校という上位魔法学校に入ってしまった。
なぜこんなに後悔しているかというと、僕が通っているレイブン魔法学校は学境(学校のボーダーライン。科学と魔法を分ける境界。)から一番離れている場所にある。
この学園都市は科学、魔術の境界線がベン図のようにしかれている。
混じってしまうことで、(科学なら、電子機器のデバイスなど。魔術なら魔法陣など。)影響が出てしまうことがあるためである。
よって、ここは生粋の魔法使いが多い場所である。
されど、僕は半端物で魔法も思った通りに使えない。
こんな場所にいると実力の差を思い知らされる。
今思うと、才能のなさに早く気づくべきだったかもしれない。
そんなじめじめした今日の天気の様なことを考えていたら、目覚まし時計の音が鳴ってしまった。
妄想を晒すのがこんなに恥ずかしいとは…
つたない文章ですが良かったら読んでいってください。