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信じ合う二人

作者: レモン
掲載日:2026/09/28

 私の名前は、本庄カナ、28歳。もうすぐ、結婚することになっている。彼氏の名前は、佐倉五郎、同じく28歳。同じ会社で働いている。大学も同じだった。とても、気心が知れた仲だ。

 だが、私には、五郎に秘密にしていることがある。それは、会社の上司、山上達郎、45歳との不倫だ。それは、会社に、入社した頃から、続いていた。五郎には、知られないように、うまくやってきた。

 結婚するにあたって、達郎との関係を清算するかどうか迷っていた。結婚してからも、関係を続けることは、可能だった。

 私は、結婚しても、仕事はやめないことにしている。その方が、達郎と、毎日会えるからだ。

 達郎は、もちろん、カナと別れることは、考えられなかった。もう、6年の付き合いだからだ。気心が知れているといえば、知れている。週に1度、会ってきた。それは、誰にも知られずにいた。

 私も、達郎と、別れたくはなかった。五郎より、むしろ、達郎との方が、相性が、良かったからだ。もし、別れることになったら、私は、生きていけないだろう…こうして、私は、五郎と結婚しても、達郎との関係を続けていくことを、選んだ。

 私と五郎の結婚式の準備が、進められていた。いろいろ、大変だったが、もうすぐ、結婚式を迎える。私は、楽しみというより、憂うつになっていた。五郎の事は、もう、ただの友達的感覚になっていた。トキメキは、もうなかった。

 結婚式当日、新郎の控え室に、1通の手紙が届いた。その内容は、「あなたの奥さんになる人は、不倫をしています。」だった。五郎は、目を疑った。あまりのショックに、言葉が出なかった。カナに、聞かない訳にはいかなかった。新婦の控え室に行き、カナを問い詰めた。

「これは、いったい、どういうことなんだ。」

私(カナ)は、うろたえた。まさか、今日、この場で、こんなことになるとは、思ってもいなかったのだ。

 私は、一瞬で、いろいろ考えた。素直に告白すべきか、しらをきり通すか、2択だった。私は、後者を選んだ。「なんのこと。私は、知らないわ。」五郎が、信じても、信じてくれなくても、今は、こうするほかなかった。

 五郎が、怒りに満ちた顔で、「ねもはもないのに、こんなことを書く人がいるのか?」私は、言った。「私を信じてくれないの?」五郎は、怒りを少し弱めて、「信じたいよ。でも、誰かが、こうやって、手紙をくれたことにも、何か、意味があると思ってる。とにかく、式が、終わったら、ちゃんと、話し合おう。」そう言って、部屋を後にした。

 無事、結婚式も終わり、新婚旅行も、終わった。

 家に戻って、落ち着いた頃、五郎は、また、あの手紙のことを、話しだした。「あの手紙のことは、本当は、どうなの?」私は、「嘘に決まってる。」と、どうにか、切り抜けることを考えていた。でも、五郎は、「事実がしりたいから、正直に話してほしい。」と、言ってきた。私は、正直に話すことはできなかった。五郎は、「興信所を使って調べてもらおうかな?」と、言ってきた。私は、愕然とした。そうなったら、すべてが暴かれることになる…そう思った。

 私は、正直に話すべきか、すごく、迷っていた。この結婚が、間違いだったことになってしまう、と、思っていた。事実、間違いかもしれないが…五郎と別れることには、なんの未練もなかったが、結婚生活は、やめたくはなかった。自分勝手だとは思ったが。達郎とは、結婚できない間柄だったから、なおさらだった。達郎も、離婚は、考えていなかった。

 やはり、隠し通した方が、いいと思った。私は、五郎に、「お互い、長い付き合いだから、いろいろ、不満もあると思うけど、頑張ってやっていきましょう。」と、言った。五郎も、事を荒立てたい訳でも、なかった。カナと、仲良くやっていきたかった。でも、真実は、知りたかったのだ。五郎も、釈然としない感じで終わるのは、嫌だったが、これ以上、話し合いをしても、結論は、でない気がしていた。五郎の方は、カナのことを、すごく、愛していた。もし、間違いが、あったとしても、1回は、許そうと、思い始めていた。そして、カナと、うまくやっていく事を選んだ。

 私は、内心、ホッとしていた。これで、離婚には、ならないだろうと、確信していた。私は、これに懲りて、達郎との、危ない火遊びは、完全にやめようと思っていた。私は、やはり、五郎との、安定した生活に、身を置きたいと、改めて、思った。結婚した以上は、家庭を守らなければならないからだ。私は、結婚によって、こんなにも、考え方が、変わるものなんだなと、気づかされた。

 そして、別れをきり出す為に、達郎と、会うことにした。達郎と、誰にも知られないように、隠れ屋的なお店で、会った。私は、達郎に、「別れてください。」と、言った。達郎は、「なぜ?」と、聞いてきた。私は、言った。「あなたが、家庭が、大事な様に、私も、家庭を大切にすることにしたの。」五郎は、何も、言う事ができなかった。離婚は、できないから、仕方ないと、思っていた達郎は、「それなら、わかったよ。今までありがとう。」そう言った。私は、「こちらこそ、ありがとうございました。」とだけ、言って別れた。

 これで、五郎と、やり直せると、私は、思った。そう思っていた矢先、また、1通の手紙が、自宅に届いた。今度は、別れるために会っていたのを、見られていたみたいで、「あなたの奥さんは、W不倫をしています。隠れ屋で、会っていました。」との、内容の手紙だった。

 私は、もう、終わりになるかもしれないと、恐れていた。でも、五郎は、その手紙を、破り捨てて、私に、「気にするな。」と言って、私を抱きしめた。私は、嬉しかった。五郎の優しさに、涙が出た。五郎は、私を信じてくれたのだ、と思った。私も、今までの気持ちは、捨てて、五郎を信じて、ついていこうと、思った。今までの事を、心のなかで、詫びながら…



 



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